†Deadly sin†
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「アズサ中佐!ここにいたのか!!」
今は聞きたくない声が耳朶に滑り込む
「…っ…泣いていたのか…?」
答えたくない
ほおっておいて
「中佐!?その血は…」
「あ…これは…」
軍服についた血
まだ乾かない
「怪我をしたのか!?」
必死になって奴が聞く
どうして
どうして
そんな
心配そうな顔をしてるの…?
私は…
「貴方を殺すつもりだったのに…」
ハンカチで軍服についた血を拭きながら
奴は
優しい、笑顔を
私に向けた
「君は私の大切な部下だ。それ以外の理由が必要かね?」
「私はっ…!」
人差し指で唇を塞いで
自然な早さで私を抱きしめる
「そんな張り詰めた顔でいるもんじゃないよ…私が憎いならそれでも構わないが…・・今の君は酷く痛々しく見えるんだがね…」
何故か
その腕の温もりが心地よくて
不覚にも
私は
意識を手放した
『…アズサ……アズサ…』
優しく私の名を呼ぶ声
少し低くて
響きのある
それでいて
独特の冷たさを失わない声…
彼の声が聞える…―
『…ハヤテ…?』
言ってからそれが愚かな発言だという事に気付き、慌てて口を抑えた
「気がついたか?」
ぼやけた視界がはっきりとしてくる中で
それでも聴覚だけは幻聴を訴えている
黒い髪…
奴が私を…?
「何か食うか?…とりあえずアイツを…」
違う…!?
それを認識した瞬間
私は飛び起きていた
ありえない
まさか…
「ケ…ャ…」
声帯が上手く音を作らない
「………・・ケイヤ…どうして…」
服装こそこちらのものだが
間違えるはずもなくて
彼に似たあの声と
面影が…
「アズサ」
「…どうして…・・?」
狼狽を隠す事も出来ず
思わずベッドから足を踏み外す
「っ!?」
「おっと!…まだ寝てた方が良いぞアズサ」
優しく言われて
その労わりが
痛くて
「ごめん…ケイヤ…」
それをいうのが
とても辛かった…
「ま、いきなり俺がいたらビビるのも当然だよな」
軽く笑って
私をベッドへ座らせる
「………ケイヤ…里はいいの・・…?」
「サイカに任せてきた」
「サイカ…」
懐かしい名前を反芻しながら
ふとこの場所に見覚えがない事に気付く
「あぁ…倒れたお前を、アイツが自分の家に運んだんだ。俺が来てるから医務室じゃ困るだろうし、お前の家知らないからって」
良く出来た上司だよな
そう付け足してケイヤは立ちあがった
「何処へ行くの…?」
何を思ったか口をついた言葉
「アイツを呼びに行ってくる。アズサが起きたら教えてくれって言ってたし…心配してたぜ?」
「…うそ・・」
「嘘ってお前…」
あきれたようなケイヤの声
ケイヤは知らない
ハヤテしか
知らない
「………アレが……あの男がっ……!!ハヤテを殺してまで殺したかった相手なのよっ!!」
「…っ…!!」
「あの男がっ………」
いつの間にかシーツを強く握り締めていた