†Attempted murder†
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「大佐ぁ・・書類でき・・ま………何してんッスか…?」
煙草を咥えてハボック少尉が入室してきた
間が悪い
「何してるように見える?」
それでも奴は余裕を持って訊いた
「え……新しい遊びッスか…?」
「そう…」
「っ!?」
そちらに気を取られていた私は
逆に難なく奴に組み敷かれてしまう
「しまっ…」
「…お取り込み中だ。後にしろ」
言いかけた口を唇で塞がれ
私が戸惑ったのをいい事に奴は勝手な事を口走った
「へーい。2時間後ぐらいにまた来ますから、ちゃんとしてて下さいよ」
ハボック少尉も納得して行ってしまう
「アズサ中佐…辞めにしないか…?」
「何を…」
訊き返すと、奴はいたく真剣な顔で言った
「私は大総統になり、この国のあり方を変えたいと思っている…君にもその為の力を貸して欲しい」
「本気?」
「本気だ」
嘘を言う瞳じゃない
見れば解る
でも…
「私に得がない…むしろ、お前の死こそ私の得だ」
「私を殺して……その後どうするんだね…?」
「っ…」
答えれなかった
里に帰る事はできない
否
帰る権利は残されている
ただ
会わせる顔がなくて…
「答える必要性が無い」
「確かに…」
言って奴は私を離す
立ちあがって何をするかと思えば
デスクの引出しから銃を取り出し、私に投げてよこした
「どうも接近戦で『殺す』という作業が苦手なようだ。それなら引きがねを引くだけで殺せる」
使った事の無い鉛の塊
鈍い光を放つそれをじっと見つめる
「狙うなら、ここかここだ」
眉間と心臓をさして言う
銃口を向けて
引き金に手をかけて
引いた
弾は
奴の頬を掠めて
背後の壁に埋もれた
「どうした…?」
息が詰まる
手に力が入らなくて
銃を取り落とす
「ど…して…」
憎いのに
殺したいほど
憎かったのに
何故
狙いをハズしたの…?
「アズサ、すまなかった」
「な…に…」
「謝って済む事ではないのは解っている。イシュヴァールの民を殺した事について言い訳するつもりも無い。だが、素直に殺されてやるつもりも無い…私は私なりの償いの仕方を考えている」
真剣な眼差し
真剣な言葉
「…ただの…自己満足じゃないっ…」
それは自分も同じだ
「そうだな」
殺して満足するのは私だけ
「何で…私を殺さなかったの・・?」
そうだ
あの時
私も一緒に
焔に飲まれていれば・・
刃を向けた時
銃を向けた今
私を殺してくれれば…
私は
変わらずに済む
何も
変わらず…
「殺してほしかったのか?」
そうだ
私は
死に場所を探していたんだ…