†Attempted murder†
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何故
こんな事になったのか…?
あぁ
躊躇いなく
その咽を掻き切ってやれば良かった
何を躊躇していたのか
アレは
私の
―仇だ…―
ロイ・マスタングの執務室前
その扉をノックするのを
何故か私は躊躇った
昼過ぎに出勤してきた私のデスクの上に
『返してほしければ執務室まで』
とメモされたものがあった
上着と
クナイの入ったケース
私が返してもらえる物といえばそれ以外に無い
私は
意を決してその扉を叩いた
「失礼します」
扉を開けて中に入ると
窓の外を見つめて立つ奴の姿を見付けた
「昨日忘れていっただろう?」
デスクの上に置かれた上着とケースを指差して言う
「わざわざありがとうございます」
こちら側に回って上着を差し出した奴に言って手を差し出す
その手が引かれたと解ったのは次の瞬間
背中に固い感触を感じた
両腕を捕らえられ
どうあがいてもその拘束から抜け出す事ができない
「昨日…スカーが出たそうだ」
「それで」
何かを企んだような瞳がこちらを見つめた
「イシュヴァール人同士で助け合ったかと思ってね」
「えぇ。手当てしました」
まさか
そういいたげな瞳で奴は黙り込んだ
「それとこの体制の意図が掴めません」
言って足を反動に後転を試みるが
強い力によって抑えつけられる
「っ…」
その瞬間に垣間見た瞳が
とても
冷たく
暗く
見えた
「ゃ…」
ゾワリとした感覚が背筋を通り
口をついて
無意識に拒絶の言葉が漏れる
「スカーに何人の国家錬金術師が殺されたと思っている…?」
「っ……お言葉ですが…」
その言葉を言うだけなのに
何故だか息苦しく感じる
「たった数名の国家錬金術師に何人のイシュヴァール人が殺されたとお思いですか…?」
「イシュヴァールの戦争後に資格を取った者もいる」
「私と彼は違います」
断言すると奴は少しだけ笑った
「確かに…」
そして首筋に舌を這わせる
「ゃ…!!辞めて下さい大佐!!」
「そろそろ…気付くべきじゃないのか…?」
力が
「失敗にはそれなりの報復が付く事」
入らない
「黙って殺されてやるとは言ってい無い…殺されるのを待つ趣味も無い…」
勝てない
「狩りに失敗した獣は他の獣に狩られて血肉と化す」
あの時と
「身体で覚えたまえ」
同じ
「いゃっ!!離してっ!!いやぁっっ!!!!」
暴れる
恐い
触れられてる感覚に
背筋が冷たくなる
勢いあまって奴の頬をひっかいた
「やっ…この・・ケダモノっ!!お前達なんかっ…」
そうだ
殺すのはこの男だけじゃない
アイツも…
レイオットと名乗ったあの男も…
「アズサ!!落ち付きなさいっ!!」
鋭い一喝が
耳朶に滑り込んだ
強い言葉の戒め
「私が悪かった…悪ふざけが過ぎたようだ…」
両手の拘束が外れて
デスクに半身を預けていた身体は
ずるずると重力にしたがって落ちていった
「…・・」
「アズサ中佐…泣かないでくれ」
震える身体に合わせて、頬を涙が伝った
「矛盾してる…」
言って右袖に忍ばせたクナイを奴の肩口に差し込む
「っ!?」
関節部を狙ったが、すんでの所で避けられ
狙いとは別の場所に刺さった
立ちあがって距離を取ろうとする奴の胸を押し
床に押しつけて腹の上に乗る
「所詮はあの男共と同じかっ…」
「誰の事を言ってるのかね?」
この状況で奴は笑いを浮かべる
今すぐ殺してやりたい衝動に狩られる
「楽に…楽に死ねると思うな…」
「恐ろしいな」
およそ本気ともとれない口調
何なんだこいつは…
そう思っていた時だった