†Time of Drop†
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「チェックメイト」
上に乗りかかられ動く事すらできない
部下達が向けた銃口もこの至近距離では使うに使えないといった様子だ
『何が目的だ』
聞こうとして口を開きかけた瞬間
女のそれで口を塞がれる
「!?」
「…熱烈な女性は結構だが…素顔を見せないのは感心しないなっ!」
「うわっ!?」
女の手を引いて逆に敷き返す
「っ…!?」
「えっ!?」
「うそ…!?」
驚愕の声が上がる中、女は不敵に笑った
「Hi☆」
帽子が外れ、青銀の髪が踊る
アメジストの双眸がしっかりと私を映した
「まさか…」
うめくように漏れた呟きに彼女は私の下から這い出て敬礼する
「アクア・ガーランド大尉、本日をもって東方司令部勤務となりました!!」
「マジかよ…」
「マジ☆」
タバコを取り落としたハボックにアクアは言う
「…何故だ…あの時……」
言葉にならない私にアクアは言った
「…私も驚いた…あの後、気がつくと一枚の扉の前に立っていて…」
『…あれ?なんでこんな所にいんだよ』
かろうじて人の形をしているととれる物体が声をかけてきた
「…誰…」
『…真理とでも名乗っとくよ。お前・・死んだんじゃないの?』
「そのハズだけど…」
『あ、その指輪が魂の分解を止めたんだ…おもしろい』
顔が無いはずなのにニヤリと笑ったような錯覚にかられる
「何の話…?」
『なぁ…生きたくない?』
「生きたいに決まってる」
『だったら…賭けをしよう。お前の後ろの扉を開けば、錬金術師が望む真理に遭える…お前が最後まで辿り着けたら、その指輪と交換に返してやるよ』
「…等価交換…この指輪に人間一人分の価値があるの…?」
『お前の魂を繋いだんだ。それぐらいはあるさ…嫌なら俺が分解して還してやるけど…?どうする?錬金術師』
「やる」
『じゃあ見せてやるよ…真理を…』
そう言って開いた扉から幾つもの黒い触手が現れて私を扉の奥へ引きずり込んだ
言葉にできない程の情報
理解という次元を超えた感覚
身体が分解されていく恐怖
それでも指輪のある左手だけが原型を留めていた
暗闇の先に見えた人影に向かって必死にその左手を伸ばす
それは
知らないはずの母の姿に見えた
瞬時に抱きとめられて
その光と同化した錯覚に捕らわれる
再び目を開けると、そこには果てしなく広がる空間と真理の姿
「はぁ・・はぁ…最後までいったの…っ…はぁ…」
『いったさ。人間って図太い生き物だね、錬金術師』
「待ってっ…!!」
消え失せた視界に叫んだ時、私は次の瞬間には凍った村にいた
何故かそこには大総統がいて
私は
大総統にかくまってもらっていた
「まさか…そんな事があるわけ・・」
「じゃあ…ここにいる私は…?」
呟いた私にアクアが訴えた
「また…作りモノ…?」
「いや…・・でも…大総統閣下はどうして…」
「知らない…でも・・全部ご存知だった…私が辞職する時…黙認してくれてた事もその時に知った…」
相変わらず大総統は読めない人だ
「ロイ…指輪は無くしてしまったけど・・また…傍に置いてくれる…?」
アクアが泣きそうな顔をしていう
泣きたいのは私だ
「愚問だなアクア…おかえり・・」
言って触れるだけのキスをする
「ただいま…ロイ・・」
「アクア…もうどこにも行かないでくれ…」
強く抱きしめて…
ふと気付く
「大佐、俺等邪魔っスか…?」
「中尉とブレダ少尉はすでに戻られてます」
「僕等も戻った方が…」
「みんな…久しぶり…」
私を押し退けるようにしてアクアはハボック達に向き直る
「「「おかえり」」」
異口同音に言われてアクアはまた泣いた
「大佐ぁ!!こんな所で何……アクア!?」
寒そうに身を縮めながらエルリック兄弟が階段を駆け上がってくる