†Hold me tight†
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「ロイ…」
日の暮れ始めた頃
今だ墓標の前に立ち尽くすロイに声をかけた
返事は無い
「こないだは・・笑っていたのに…いい人が長生きできないって・・ホントだった・・」
何言ってるんだろ私
「…さっき…あの子に言っていた事…あれは自分にか・・?」
「…そう・・だと思う…」
「アクア…悪いが、独りにしてくれないか…?」
「…あ・・うん…ごめん…気が回らなくて…宿で待ってる…」
言って踵を返した
ねぇ
解ってる?
次は
私だっていう事
その日の夜
私は
彼のいない間に
練成陣を描いた
昔見た
基、私が造られた
人体練成の練成陣に改良を加えたもの
彼はまだ生きれる人だったから
この理論さえあっていれば
彼自身の魂の記憶が
―彼にもう一度命を与える―
彼の生きるはずだった命を
私の命と引き換えて
「アクア!?これはっ…」
間が悪いとしか言い様がない
―ロイが帰ってきた…―
「下がってて」
「アクア、練成陣など描いて何をする気だ?」
近づこうとした彼に
ホルスターから引きぬいた銃を向ける
「…こないで・・何が起こるか・・ホントに解らないから…」
『まさか』と彼がうめく
「これは人体練成の理論。私の母が完成させた理論をより高めたもの…賢者の石がなくても…成功させれるかもしれない」
「アクア!!」
彼の鋭い一喝
「…言わなかったけど…後半年もつかどうか妖しいの…」
「何だと…?」
「半年って言った。それなら、コレであの人が傍に居た方が良い」
そう
これは必ず成功する
完璧な人体練成の理論
「アクア、もういい…辞めるんだ」
呟くような彼のセリフ
「どうして…?」
「…後半年…そう言えば私が引き下がると思ったか…?」
私は
あなたに笑っていてほしい
あなたの足枷になりたくない
「これ以上…私を惨めにしてくれるな…」
彼が俯く
「ヒューズは死んだ。それは何をどうしようとも変わらない事実なんだよ…アクアは・・私の事を何も解っていないんだな…」
胸が痛む
彼が一歩ずつこちらに近づいてくる
人差し指を銃爪にかける
「君には私を撃て無い」
解ってる
「何より、安全バーが外れていない」
始めから撃つ気など無い
彼が銃を取り上げて床にほおり投げる
つま先で練成陣を踏み消し
私を見つめる
いつもとは違う
憂いの瞳
「ヒューズを生き返らせれる『かも』しれないような事で…私はアクアを喪いたくない」
「解ってる…?後、半年もつか解ら無い体だってこと」
「さっき聞いた事を忘れるほど、私は愚かでないつもりだ」
再び喪う時がいつか来て
その度に
傷つくのに
それでも何故
私と生きようとするの
「君は、私を理解していない。私が…アクアを失う事にどれだけ脅えているか解ら無いだろうっ!?」
叩き付けるような言葉
銃を奪われた時に掴まれた腕が強く握られる
「解ら無いのかっ!?ヒューズを喪って、その喪失感に侵されているというのに…まだそれを私に教え込むのかっ…?」
喪う事の痛みは
この間知ったところ
「・・いたぃ…」
「アクアが死ぬと解っていて、何もできない私の悔しさなど・・君には解ら無いだろう?遺された者の事など、君は考えていない!違うかっ!?」
「いたっ・・!」
折れそうなほど強く握られ
思わず悲鳴をあげた
彼の瞳が狼狽を持って私を見つめる