†With me a waltz†
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やっとのことで辿り付いたその場所は
相変わらず冷えきっていた
元々
雪が降るような地域なので
寒いといえば寒いのだが…
埋葬された人々を除いて
全てが凍っていた
あの日から
何も変わってはいない
変わったのは
―私だけ・・―
町の中に入ると
肌を刺すような冷気を感じた
逆にこの冷気を心地よいと感じるのは
自らが生み出した物だからか…
それとも…
考えるのを辞め
私は自分の家であった場所へと向かった
あの日
この場所で
始まった
「ここで終わるのも…悪くない・・かな…」
本当なら死んでいた命
今更惜しむほどでもない
凍った壁に爪を立てて練成陣を描き
氷のナイフを創る
国家錬金術師が自殺となるとそれだけで問題になるので
病院を抜ける前に書いておいた辞表を銀時計に挟んで地面に置いた
今更死ぬことが怖いとは思わない
ただ
愛してしまっただけ
自分を必要としてくれた温もりを
ただ
手放せないだけ
氷のナイフが
情けない私の顔を映し出す
「アクア・ガーラント少尉」
突然声がかけられる
視認するまでもなく声の主は解った
「…ヒューズ中佐…。大佐の・・命令ですか…?」
「あぁ…。帰るぞ」
「嫌です……帰りません…」
即答で返した言葉に彼のため息が聞こえる
「お前…どれだけアイツに想われているか解ってんのか?」
言われなくても解ってる
「解っています…解っているからこそっ…・・私のせいで彼の立場を危うくさせたくない。私はエルリック兄弟と違います…死ぬ時も…人並みに死ね無い…!」
後 半年生きられるか…
「それでも、男は受け入れてやりたいって思うもんなんだよ」
「中佐、この銀時計と手紙を大佐に渡しておいてください」
帰るわけにはいかない
「…事と次第によっちゃ…力づくでって言われてんだけどな」
「私と一戦交える気ですか…?」
近づいてくる彼に全神経を集中する
「いんや…。よっこらっしょと」
そう言って中佐は私のナイフを叩き落し
あろう事か
私を肩に担いだ
「ちょっ…ちょっと、中佐!降ろして下さいっ!!」
もがいても何故だか中佐はバランス一つ崩さない
私は
必死になって中佐の肩の上で暴れた
死ぬためだけに…