†Possessiveness†
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「大佐!奴が現われましたっ!!」
ロイの執務室に駆けこんで来たハボックが言った。
「駐在の警官が、ガーラント少尉と戦闘しながら駆けていくのを…―」
「アクアとっ!?バカがっ・・逃げろと言ったハズなのに…」
ロイが歯噛みしながら呟くのを、ホークアイが見逃さなかった
「大佐、どうされますか?」
「追う。このままではアクアが死ぬことにな…」
言いかけたロイの言葉を轟音が遮った
とっさに振りかえって窓の外を見た一同はそこに巨大な氷柱を見る
「っ…すぐに人を集めろ!急げ!」
たたき出すようにハボックに指示を出し
ロイはコートを片手に執務室を飛び出した…
ロイ達がそこにたどり着いた時、雨は上がっていた
しかし、その代わりというようにそこは極寒の地と化していた
氷晶とは大気が0℃以下に冷却された時にできる小さな氷の結晶の事を言うのだが、大気はアクアの二つ名に相応しく冷えきっていた
ロイが足を踏み入れる
冷気をかき分けて現れた氷柱の中には二つの人影
顔を歪めているスカーに対して
アクアは会心の笑みを浮かべていた
「アクア…っ」
ロイの拳が氷柱を殴る
そんな痛々しい表情のロイを見ていられなかったのか、ホークアイが口を開いた。
「…まだ5分と経っていません…この氷を溶かす事ができれば…蘇生も可能だと思いますが…あるいは、大佐の焔であれば可能かと…」
―溶かす事ができたら―
ロイは反射的にリザの顔を見た
そして静かに指先で摩擦を起こし焔で氷柱を一瞬にして溶かしたのだった…
その後、二人はなんとか救出できたが、スカーは療養中に警備兵を殺して逃走したという
「・・そう…」
アクアが見舞いにきたロイの報告に興味無さげに返事をした
脳に障害も無く、無事に蘇生に成功したアクアではあったが、服に覆われていなかった部分が酷い凍傷となって残った。
そのせいで、顔は言うに及ばず、全身が包帯に覆われたままである。
それだけならまだしも、検査が残っている為、一ヶ月経った今も病院の中で安静の指示が出ていた
「すまない…お前の命がけの行動を無駄にしてしまった」
「気にしなくていい・・そうでもしないと奴を押さえれなかった私にも責任はあるし…」
「それより…アクア、身体はどうなんだね?」
俯いていたアクアの顔を無理やり自分の方に向けて問うた
冷気の放出
即ちそれは寿命を縮めるという事
「さぁ…?医者には異常に体温が低いって言われたけど…?」
なんだか彼を直視できない
「…また、私と目を合わせないのだな・・」
「…」
「何があった」
「何も…っん・・」
強引に唇を重ねられる
舌が入り込んできて口内を侵す
「強情なその口を開かせようか・・?」
「ちょっ…外に警護がいるのにっ…」
「…そうだな・・その包帯が取れるまではお預けとしよう…。さて、私は仕事に戻る。あまり遅いとホークアイ中尉にどやされてしまうからな」
ほら
また
あの人のところに帰って行く
「ロイっ…」
思わず彼を呼びとめてしまう
「何だ」
「いえ・・貴重な時間を裂いてのお越し、ありがとうございました・・」
「…バカなことを言う暇があるなら、自分の身体に気を使え」
そう言って、ロイは病室を後にした
気を使うほどの身体じゃない
どうせもうすぐ死ぬのだから
どうせならスカーに殺されておけば良かった
これから
彼の元を離れる事を思えば
死んでいるのと同じだった
私が
警護の目を盗んで病院を抜け出したのは
その日の夜だった
服は軍服を練成陣にほおりこんで別なものにした
窓からこっそりと抜け出し
そして街へ繰り出す
しかし出てきたものの、何かできる訳じゃない
あの日と同じ
暇を持て余していた
でも
あの日と違うのは
私がここを離れようとしているという事
大事にされてるのは解ってる
でも
ホークアイ中尉の言っている事は私も頷けるから…
駅に向い列車に乗り込む
東部にあって
凍ってしまった場所
もう
今は地図にも載っていない
自分の死に場所はここだと決めていた
また
雨が降ってきている
私は
あの人達から
―逃げ出した―