†Possessiveness†
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いつからだろう
あの人に嫉妬していたのは
あの人が
側にいる事
あの人に
救われた事
あの人に
頭を下げる事
私は
自分が今日ほど
嫌に思えた日はない
「氷晶の錬金術師…アクア・ガーラントか?」
その声は突然だった
振りかえると、傷の男…スカーがそこに立っていた
「スカー…?」
問いかけには答えない
―奴に遭ったら逃げろ―
そう言っていた彼の声が頭に響くが
どうにも相手は逃がしてくれそうに無い
それどころか
私は今
彼の言う事を聞きたくも無い衝動にかられていた
「大佐と距離をおいてちょうだい」
呼び出された中庭
銃をこちらに向けるホークアイ中尉
「どういうことですか…?」
「大佐から、全て聞いたわ…解るでしょう?貴方の存在があの人の目的を果たす為に障害となる事」
知ってる
人体練成の成功例がなく
それを知りながらかくまっている彼が
自らの立場を危うくしているという事
「もう一度言うわ。大佐と距離を置いて。返答如何によっては撃つわよ」
中尉の目は本気だった
―この人は本気だ―
そう思った途端私は口の端を吊り上げて小さく笑った
「中尉…大佐を愛していますか…?」
聞かなくても知ってる
「…えぇ。だからこそ、彼の夢の実現の妨げとなるものは私が排除するわ」
「そうですか」
この人の立場に
私はいつでも嫉妬していた
「もう少しすれば死ぬ体に銃を向ける必要はないですよ…中尉」
「死んでからじゃ遅いわ。上層部が知る前に消えろと言っているの…酷い事を言ってるのは解るわ…でも―」
自嘲か中尉の瞳が揺れた時、その顔に水滴が落ちる
―雨だ―
「ロイが…私を邪魔だというなら…それでも構いませんよ?中尉」
『ロイ』という言葉に中尉が反応する
「言わないでしょうけど」
「言わないでしょうね」
言葉は同時
彼は時として甘いから
「時間はいただけないのですか?考える時間…」
「…いいわ。明日もう一度聞くわ…それまでに考えておいて」
中尉はそう言って建物の中に姿を消した
言われなくても解ってる
彼が私の存在をもてあましているということ
中尉が
私を良く思っていない事
中尉が
彼を愛しているということ
中尉が
彼の信頼を得ている事
私が
信頼において中尉に勝てない事
何に対しても
―私が蚊帳の外である事―