†Forget-me-not†+†Toward†
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どれくらい時間がたっただろうか…
いや
思うほど経ってはいない
たかが一ヶ月
されど一ヶ月
あの後すぐに任務を与えられて遠方へに飛ばされた
そして
帰ってきた
・・報告を…
報告をしなければならない
会わなければいけない
どんな顔をすればいい?
私の事なんて
忘れた?
ううん
ホントは
忘れたりなんかしないで欲しい
ねぇ
一ヶ月の間に
私
変わったよ?
一つだけ歳もとった
ねぇロイ
離れるのって
辛いね
「ご苦労だった、ガーラント少尉。下がっていい」
「失礼します」
敬礼をして部屋を出る。
彼は
相変わらず
めんどくさそうだった
『辛い』などと手前勝手な感傷が余計なものだったと思うほどのそれに少し安堵していた時だった。
「おーい!アクア!」
廊下を歩いていた私を呼びとめる声。
「な、賢者の石について何か聞かなかったか?」
エドワードが真剣な眼差しでこちらを見上げていた。
「すまないな。何も聞いていない…そういう事はマスタング大佐に聞くべきだと私は思うが・・?」
「そうなんだけど…なんか最近機嫌悪くてよ」
エドワードは頬を掻いて言った。
「ま、いいや。ありがとな」
言って踵を返したエドワードは思い出したように駆け戻ってくる。
「そうそう、今こっちにヒューズ中佐が来ててさ。お前のこと探してたぞ?解るよな?ヒューズ中佐」
知らないわけがないのに何故念を押されたのか。と少し不快に感じる
でも
よく考えれば
少尉と中佐では
知らない関係にあるのも珍しくないのかもしれない
部署が違えば尚更
同じ部署でも…
「アクア…?どうした?」
「なんでもない。解った…探してみる」
言って今度は私が踵を返した
ヒューズ中佐とは、その後に廊下で出会った。
中佐は私を見付けると、私服に着替えるように言い、私服に着替えた私は、あの日と同じ公園に来ていた。
「中佐…あの、そろそろ何か言ってくださいませんか…?」
ベンチに座ったまま、顔を見ることもできずに声をかける。
連れて来られてから、一言も話していない。
「なぁ…アクア・・」
「はい」
「奴と何があった?」
「奴…とおっしゃいますと?」
誰の事を言ってるかなんてのはすぐにわかった。
「ロイだよ」
面倒くさそうに中佐は言った。
「何と…言われても・・特に・・何も…」
「うそつけ」
胡散臭そうな顔をして中佐がこちらを見る
「お前、自分でわかってないのか?」
大げさにため息をつき、片手で顔を覆うと、一つ一つ指さしてく。
「その口紅、ピアス、色薄いけどマニュキア、んでもってその顔。どう見たって恋する乙女だ」
…
・・
「ぷっ…」
その前までの大仰さとは違って、真剣な顔をして言うものだから思わず吹いてしまった。
「ごめんなさいっ…でも、あんまり真剣な顔でそんな事言うものだから…あははっ・・おなか痛い…」
笑ったのは
どれくらいぶりだろう?
ずっと
泣いていた気がする
「そんな笑うことかぁ?ま、いいけどよ。で、どうなんだ?」
「そうですね…じゃあ、ヒューズ中佐には言っておきますね…私、別に大佐との地位についてを問題にしているんじゃないです」
「あん?」
「そんなもの…どうだっていいんです・・」
「アクア…?」
「ヒューズ中佐、お聞きして良いですか?」
「何をだ?」
「中佐は、どうやって好きだとか、大切だとか、そういう気持ちを伝えますか?」
また小さな沈黙。
「…マジメな顔してお前もこっぱずかしい事聞くなぁ…」
中佐は少し照れた顔をしてソッポを向くと口を開いた
「そうだなぁ…マジメに口に出すのは柄じゃないから…態度か?こう…なんだ、優しく抱きしめてみるとか…」
「そう…ですか…」
聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい、誰とどんな時を思い出したのか見てわかる空気がにじみ出ている
でも
なんとなく解る
「・・あいつは不器用だからな。そんな事すらできないかもしれないが…」
「いいえ、中佐。マスタング大佐は…お優しい方ですよ・・。ごめんなさいと…伝えておいてください・・。失礼します」
中佐に一礼して歩き出す。