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20点満点の化学の小テスト。
私は5点だった。
「10点以下は放課後に再テストやるからな~」
笑顔で言った執間先生が忘れられない。
あらゆる休み時間を使ってテストの内容を覚えようと頑張ったけど、なかなか頭に入らない。
そんな感じで放課後。
教室に残ったのはなんと私一人。
…マジか。
一人という事に焦っていると、プリントを持った執間先生が教室に入ってきた。
「再テストって、私一人じゃないですか」
だから笑ってたんですか先生。
「はは、唯はホント化学苦手だよなー」
そう言って先生はプリントを渡す。
「わかんないですよ、こんなの」
「お喋りしないで集中!」
「はーい…」
とは言ったものの、1問目で手が止まる。
気を取り直して次に行くも、また分からず手が止まる。
「執間先生~ヒントを…」
「テスト中にヒント求める奴は初めてだぞ」
「ダメですか?」
「そんな可愛い顔してもダーメ」
先生との交渉を諦め、涙目になりながらも分からないプリントに再び目を落とす。
「でもまあ…俺の事を呼び捨てで呼んでくれたら、ヒントをあげない事も無いかも知れない」
「呼び捨て、ですか」
「そ。俺達付き合ってる訳だし、呼び捨てで呼ばれるの待ってたりするんだよねぇ」
「それはもう癖というか…先生を呼び捨てで呼ぶとか出来ないというか…」
「唯は俺の事を『先生』としか見てないの?」
急に、真面目な顔で問われる。
「そんな事無いです。先生は私の大切な恋人です」
「なら呼び捨てで呼べるんじゃない?」
「それとこれとは別です!…緊張します」
「…そう言うなら気長に待つか」
私は未だ真っ白なプリントを眺め、溜め息を吐く。
全然分からない。
「もしこれも出来なかったら、私どうなりますか?」
「ん~、また後日テストを受けてもらう事になるよ」
先生がにっこり笑う。
白紙で提出する考えは打ち砕かれた。
こうなったら仕方ない。
「ヒントください……和虎」
恥ずかしくて顔が熱い。
緊張からか心臓がうるさい。
そんな私とは裏腹に、執間先生は爽やかに笑って言った。
「やっぱ恋人から呼び捨てで呼ばれると良いね。ヒントはあげないけど」
「執間先生の鬼ぃぃ!」
「教えると断言はしてないぞ?」
「先生の策士!詐欺師!」
「さっきの録音しておけば良かったかなぁ」
結局、いつまで経っても解けない私にしびれを切らし、先生は問題の解き方を教えてくれた。
「分かったか?また明日テストやるからな」
「はーい。ありがとうございました、先生」
「今のは名前を呼ぶ空気だろ」
「名前はさっき呼びました。…緊張したんですよ?」
「はいはい」
先生は優しく私の頭を撫でてくれた。
なんだかんだで優しくしてくれる先生。
たまには呼び捨てで呼んであげようかな…?
─ END ─
【あとがき】
2013/10/15
私は5点だった。
「10点以下は放課後に再テストやるからな~」
笑顔で言った執間先生が忘れられない。
あらゆる休み時間を使ってテストの内容を覚えようと頑張ったけど、なかなか頭に入らない。
そんな感じで放課後。
教室に残ったのはなんと私一人。
…マジか。
一人という事に焦っていると、プリントを持った執間先生が教室に入ってきた。
「再テストって、私一人じゃないですか」
だから笑ってたんですか先生。
「はは、唯はホント化学苦手だよなー」
そう言って先生はプリントを渡す。
「わかんないですよ、こんなの」
「お喋りしないで集中!」
「はーい…」
とは言ったものの、1問目で手が止まる。
気を取り直して次に行くも、また分からず手が止まる。
「執間先生~ヒントを…」
「テスト中にヒント求める奴は初めてだぞ」
「ダメですか?」
「そんな可愛い顔してもダーメ」
先生との交渉を諦め、涙目になりながらも分からないプリントに再び目を落とす。
「でもまあ…俺の事を呼び捨てで呼んでくれたら、ヒントをあげない事も無いかも知れない」
「呼び捨て、ですか」
「そ。俺達付き合ってる訳だし、呼び捨てで呼ばれるの待ってたりするんだよねぇ」
「それはもう癖というか…先生を呼び捨てで呼ぶとか出来ないというか…」
「唯は俺の事を『先生』としか見てないの?」
急に、真面目な顔で問われる。
「そんな事無いです。先生は私の大切な恋人です」
「なら呼び捨てで呼べるんじゃない?」
「それとこれとは別です!…緊張します」
「…そう言うなら気長に待つか」
私は未だ真っ白なプリントを眺め、溜め息を吐く。
全然分からない。
「もしこれも出来なかったら、私どうなりますか?」
「ん~、また後日テストを受けてもらう事になるよ」
先生がにっこり笑う。
白紙で提出する考えは打ち砕かれた。
こうなったら仕方ない。
「ヒントください……和虎」
恥ずかしくて顔が熱い。
緊張からか心臓がうるさい。
そんな私とは裏腹に、執間先生は爽やかに笑って言った。
「やっぱ恋人から呼び捨てで呼ばれると良いね。ヒントはあげないけど」
「執間先生の鬼ぃぃ!」
「教えると断言はしてないぞ?」
「先生の策士!詐欺師!」
「さっきの録音しておけば良かったかなぁ」
結局、いつまで経っても解けない私にしびれを切らし、先生は問題の解き方を教えてくれた。
「分かったか?また明日テストやるからな」
「はーい。ありがとうございました、先生」
「今のは名前を呼ぶ空気だろ」
「名前はさっき呼びました。…緊張したんですよ?」
「はいはい」
先生は優しく私の頭を撫でてくれた。
なんだかんだで優しくしてくれる先生。
たまには呼び捨てで呼んであげようかな…?
─ END ─
【あとがき】
2013/10/15
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