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放課後。
依然として真っ直ぐ寮に帰る事は叶わず、私は現在進行形で王国民に追われていた。
「一緒に帰りましょう唯様~!」
「いや俺と帰りましょう、姫様!」
「いいや僕と!」
「私は一人で帰りたいんです!てか早く帰りたいんですけど!」
いくら走っても疲れる様子のない王国民を凄いと思いながら、私は曲がれる所では曲がり階段があればとりあえず渡る。
「はぁ…上手く撒けたかな…」
乱れた息を整えるように深呼吸をする。
周りに人の気配は無く、しかも見慣れない場所まで来てしまったらしい。
「寮まで帰れるかな…」
溜息を吐いた時、どこからかピアノの音色が聞こえてきた。
キョロキョロと辺りを見ると、音楽室が目に入る。
扉の窓から中を覗くと、真希沢先輩がピアノを弾いていた。
思わず聴き入っていると、演奏が終わったらしい先輩が楽譜を片付けながら声を出す。
「何か用ですか、一条さん」
「あ…」
気付かれていたらしい。
私は扉を開けて、真希沢先輩に歩み寄る。
「ピアノの音が聞こえたので……すみません…?」
「いえ。謝らなくても結構ですよ」
先輩は楽譜を鞄に仕舞うと、ピアノの蓋を閉め帰り支度をする。
「いつもココで練習してるんですか?」
「普段は寮でしていますが、今日は薬師先輩が友人とバンドの練習をしていて」
「薬師先輩はギターでしたっけ。2人でセッションみたいな事したりするんですか?」
「俺と先輩は演奏するジャンルが真逆なので…した事はないですね」
真希沢先輩は淡々と質問に答える。
そういえば、帰る準備をしていたのだから先輩はそろそろ帰りたいはず。
そう考えて、私はつい言ってしまった。
「良ければ、一緒に帰りませんか?もっと真希沢先輩と話したくて…あ、嫌なら良いんですけど…!」
「奇遇ですね。俺も、貴女と話していたい気分です」
私は、初めて真希沢先輩の笑顔を見た気がした。
─ END ─
【あとがき】
タイトルは「ルネの青に溺れる鳥」様よりお借りしました。
2014/03/06
依然として真っ直ぐ寮に帰る事は叶わず、私は現在進行形で王国民に追われていた。
「一緒に帰りましょう唯様~!」
「いや俺と帰りましょう、姫様!」
「いいや僕と!」
「私は一人で帰りたいんです!てか早く帰りたいんですけど!」
いくら走っても疲れる様子のない王国民を凄いと思いながら、私は曲がれる所では曲がり階段があればとりあえず渡る。
「はぁ…上手く撒けたかな…」
乱れた息を整えるように深呼吸をする。
周りに人の気配は無く、しかも見慣れない場所まで来てしまったらしい。
「寮まで帰れるかな…」
溜息を吐いた時、どこからかピアノの音色が聞こえてきた。
キョロキョロと辺りを見ると、音楽室が目に入る。
扉の窓から中を覗くと、真希沢先輩がピアノを弾いていた。
思わず聴き入っていると、演奏が終わったらしい先輩が楽譜を片付けながら声を出す。
「何か用ですか、一条さん」
「あ…」
気付かれていたらしい。
私は扉を開けて、真希沢先輩に歩み寄る。
「ピアノの音が聞こえたので……すみません…?」
「いえ。謝らなくても結構ですよ」
先輩は楽譜を鞄に仕舞うと、ピアノの蓋を閉め帰り支度をする。
「いつもココで練習してるんですか?」
「普段は寮でしていますが、今日は薬師先輩が友人とバンドの練習をしていて」
「薬師先輩はギターでしたっけ。2人でセッションみたいな事したりするんですか?」
「俺と先輩は演奏するジャンルが真逆なので…した事はないですね」
真希沢先輩は淡々と質問に答える。
そういえば、帰る準備をしていたのだから先輩はそろそろ帰りたいはず。
そう考えて、私はつい言ってしまった。
「良ければ、一緒に帰りませんか?もっと真希沢先輩と話したくて…あ、嫌なら良いんですけど…!」
「奇遇ですね。俺も、貴女と話していたい気分です」
私は、初めて真希沢先輩の笑顔を見た気がした。
─ END ─
【あとがき】
タイトルは「ルネの青に溺れる鳥」様よりお借りしました。
2014/03/06
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