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放課後。
私は久々に藤吾先輩が居る生徒会室へ足を運ぶ。
扉をノックすると、中から会長の返事が聞こえた。
「失礼します」
生徒会室に入り中を見渡すが、先輩の姿が見当たらない。
「会長、藤吾先輩はまだ来てないんですか?」
朝に先輩を見掛けたから、休みという事は無いはずだ。
図書室で仕事でもしているのだろうか。
先輩を待つ為ソファに腰をおろすと、会長が口を開いた。
「悟史なら早々に帰ったぞ」
「珍しいですね」
「まぁ、この時期だからな…。あいつにとっては珍しい事ではない」
会長は苦笑しながら言った。
私は首を傾げながらも、挨拶をして生徒会室を出る。
最近雨の日が多い所為か、なんとなく憂鬱だ。
お気に入りの傘をさし、雨が跳ね返るコンクリート道を歩く。
寮に着きそのまま藤吾先輩の部屋を訪れる。
ノックをすると、弱々しい先輩の声が聞こえた。
「お邪魔します。藤吾先輩、体調でも悪いんですか?」
ソファに仰向けで寝転がり、だるそうな顔を向ける先輩。
思わず駆け寄ると、ぎゅっと抱き締められた。
「先輩?」
「あかん…俺もうあかんわ…」
「ちょっ、一体どうしたんですか?」
「どうせ俺なんて……」
彼の突然の行動に驚いたが、私はふと思い出した。
「そういえば先輩、先月も同じような事言ってましたよね」
「なんやねん…こないな俺は嫌いか…?」
「そういう訳じゃないですけど」
そうだ、藤吾先輩は意外とメンタルが脆い人だった。
先月だって見事に五月病になりそれはそれは大変だったのだ。
私が、雨が続きジメジメとした空気で憂鬱な気分になるのと同じように、先輩も憂鬱になっていたのだろう。
彼の場合、その数値が高いだけなのだ。
「先輩、やまない雨はありませんよ」
「同じく永遠に続くカップルなんかも居らへんよ……」
「ほ、ほら!雨があがったら虹も見えますし」
「幸せの先に見えるのは絶望のみや…」
もうやだこの豆腐メンタルネガティブ眼鏡。
でも彼のそんな姿を見ても不思議と冷めないのだから、恋とはつくづく厄介なものだ。
「先輩となら絶望の果てにも希望が見えます。それ以上ネガティブな発言したらもう先輩が作る衣装着ませんよ」
「……それは困るな」
翌日から藤吾先輩は生徒会業務を再開した。
これには会長も驚いていた。
「いつもならまだ10日程ふさぎ込んでいる時期だが…これもプリンセスのお蔭だな」
「なんかもうすごいですね藤吾先輩って」
─ END ─
【あとがき】
2015/06/15
私は久々に藤吾先輩が居る生徒会室へ足を運ぶ。
扉をノックすると、中から会長の返事が聞こえた。
「失礼します」
生徒会室に入り中を見渡すが、先輩の姿が見当たらない。
「会長、藤吾先輩はまだ来てないんですか?」
朝に先輩を見掛けたから、休みという事は無いはずだ。
図書室で仕事でもしているのだろうか。
先輩を待つ為ソファに腰をおろすと、会長が口を開いた。
「悟史なら早々に帰ったぞ」
「珍しいですね」
「まぁ、この時期だからな…。あいつにとっては珍しい事ではない」
会長は苦笑しながら言った。
私は首を傾げながらも、挨拶をして生徒会室を出る。
最近雨の日が多い所為か、なんとなく憂鬱だ。
お気に入りの傘をさし、雨が跳ね返るコンクリート道を歩く。
寮に着きそのまま藤吾先輩の部屋を訪れる。
ノックをすると、弱々しい先輩の声が聞こえた。
「お邪魔します。藤吾先輩、体調でも悪いんですか?」
ソファに仰向けで寝転がり、だるそうな顔を向ける先輩。
思わず駆け寄ると、ぎゅっと抱き締められた。
「先輩?」
「あかん…俺もうあかんわ…」
「ちょっ、一体どうしたんですか?」
「どうせ俺なんて……」
彼の突然の行動に驚いたが、私はふと思い出した。
「そういえば先輩、先月も同じような事言ってましたよね」
「なんやねん…こないな俺は嫌いか…?」
「そういう訳じゃないですけど」
そうだ、藤吾先輩は意外とメンタルが脆い人だった。
先月だって見事に五月病になりそれはそれは大変だったのだ。
私が、雨が続きジメジメとした空気で憂鬱な気分になるのと同じように、先輩も憂鬱になっていたのだろう。
彼の場合、その数値が高いだけなのだ。
「先輩、やまない雨はありませんよ」
「同じく永遠に続くカップルなんかも居らへんよ……」
「ほ、ほら!雨があがったら虹も見えますし」
「幸せの先に見えるのは絶望のみや…」
もうやだこの豆腐メンタルネガティブ眼鏡。
でも彼のそんな姿を見ても不思議と冷めないのだから、恋とはつくづく厄介なものだ。
「先輩となら絶望の果てにも希望が見えます。それ以上ネガティブな発言したらもう先輩が作る衣装着ませんよ」
「……それは困るな」
翌日から藤吾先輩は生徒会業務を再開した。
これには会長も驚いていた。
「いつもならまだ10日程ふさぎ込んでいる時期だが…これもプリンセスのお蔭だな」
「なんかもうすごいですね藤吾先輩って」
─ END ─
【あとがき】
2015/06/15
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