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最近とても暖かくて過ごしやすくなって来た。
なので折角の休日は染谷先輩と一緒に居たい。デートしたい。
なのに!
部屋を訪れても、最近染谷先輩は留守にしている事が多い。
メールや電話をしてみても応えてくれる事は無く、夕方になってやっと「どうした?」とメールが来るのみだ。
とある休日。
またしても染谷先輩は何処かに出掛けている。
駄目元で電話を掛けてみると、珍しく彼が電話に出た。
『唯、どうした?』
「んー、特にこれといって用事は無いんだけど…。それより、なんか久々に電話に出てくれましたね」
『ああ…悪い。ちょっとな』
はぐらかす様に答える先輩に、前から思っていたネガティブな考えが頭を過る。
いっそ聞いてしまおうかな。
そんな事を思っていると、電話の向こうから思いがけない言葉が聞こえる。
『ちょっ…舐めんな、くすぐってぇだろ』
「先輩?」
何、今の。
誰と居るんですか。
いつもその子と居たんですか。
気付けば私は通話を切っていた。
先輩が今何処に居るか分からないので、彼の部屋の前まで行き帰りを待つ。
程無くして、染谷先輩が帰って来た。
扉の前に居る私に気付くと、居心地の悪そうな顔をする。
「お帰りなさい、先輩。何処行ってたんですか?」
「…公園だ」
「私以外の女の子とデートですか?」
「はあ?唯、何言ってんだ」
先輩は眉間に皺を寄せて言う。
私は負けじと彼を睨み畳み掛ける。
「最近全然会ってくれないし、電話も出ないしメールも返事来ないし、さっきの、電話……っう…」
やばい、涙が出て来た。
此処で泣くのは反則だろうか。
先輩もびっくりしている。
「唯、お前、絶対勘違いしてる」
「ひぐ……何がッ、ですかぁ…」
「俺は浮気なんてしてねぇ」
「嘘」
「嘘じゃねーよ」
先輩は観念した様に溜め息を吐き、本当の事を話し始めた。
「前に学校帰りに公園の近く通ったら、その…子猫が居て」
「子猫?」
「少し遊んでやるかと公園に入ってじゃれてたら、猫の溜まり場になってるみてーで、たくさん猫が居たんだよ」
「はあ……」
「それで…か、可愛くて…」
「休日の度に、猫たちを構いに行ってた…と?」
染谷先輩の話をまとめると、彼は顔を赤くして頷いた。
「お前の事だから絶対からかって来ると思って言わずにいたら…。これだったら言ってた方がマシだったな」
困った風に笑う先輩は、私の頭を優しく撫でた。
「なんだ、浮気相手は猫でしたか」
「だから浮気じゃねーって」
「先輩、疑ってすみませんでした。今度は私も誘ってくださいね」
猫よりも、猫とじゃれる先輩の方が見たいという事は秘密にしておこう。
─ END ─
【あとがき】
2015/05/04
なので折角の休日は染谷先輩と一緒に居たい。デートしたい。
なのに!
部屋を訪れても、最近染谷先輩は留守にしている事が多い。
メールや電話をしてみても応えてくれる事は無く、夕方になってやっと「どうした?」とメールが来るのみだ。
とある休日。
またしても染谷先輩は何処かに出掛けている。
駄目元で電話を掛けてみると、珍しく彼が電話に出た。
『唯、どうした?』
「んー、特にこれといって用事は無いんだけど…。それより、なんか久々に電話に出てくれましたね」
『ああ…悪い。ちょっとな』
はぐらかす様に答える先輩に、前から思っていたネガティブな考えが頭を過る。
いっそ聞いてしまおうかな。
そんな事を思っていると、電話の向こうから思いがけない言葉が聞こえる。
『ちょっ…舐めんな、くすぐってぇだろ』
「先輩?」
何、今の。
誰と居るんですか。
いつもその子と居たんですか。
気付けば私は通話を切っていた。
先輩が今何処に居るか分からないので、彼の部屋の前まで行き帰りを待つ。
程無くして、染谷先輩が帰って来た。
扉の前に居る私に気付くと、居心地の悪そうな顔をする。
「お帰りなさい、先輩。何処行ってたんですか?」
「…公園だ」
「私以外の女の子とデートですか?」
「はあ?唯、何言ってんだ」
先輩は眉間に皺を寄せて言う。
私は負けじと彼を睨み畳み掛ける。
「最近全然会ってくれないし、電話も出ないしメールも返事来ないし、さっきの、電話……っう…」
やばい、涙が出て来た。
此処で泣くのは反則だろうか。
先輩もびっくりしている。
「唯、お前、絶対勘違いしてる」
「ひぐ……何がッ、ですかぁ…」
「俺は浮気なんてしてねぇ」
「嘘」
「嘘じゃねーよ」
先輩は観念した様に溜め息を吐き、本当の事を話し始めた。
「前に学校帰りに公園の近く通ったら、その…子猫が居て」
「子猫?」
「少し遊んでやるかと公園に入ってじゃれてたら、猫の溜まり場になってるみてーで、たくさん猫が居たんだよ」
「はあ……」
「それで…か、可愛くて…」
「休日の度に、猫たちを構いに行ってた…と?」
染谷先輩の話をまとめると、彼は顔を赤くして頷いた。
「お前の事だから絶対からかって来ると思って言わずにいたら…。これだったら言ってた方がマシだったな」
困った風に笑う先輩は、私の頭を優しく撫でた。
「なんだ、浮気相手は猫でしたか」
「だから浮気じゃねーって」
「先輩、疑ってすみませんでした。今度は私も誘ってくださいね」
猫よりも、猫とじゃれる先輩の方が見たいという事は秘密にしておこう。
─ END ─
【あとがき】
2015/05/04
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