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日曜日の午前10時25分。
現在私は、執間先生の自宅の玄関前に居る。
インターホンを押すだけなのだが、毎回緊張するのだ。
深呼吸して、人差し指でグッと押す。
中で軽快な音が響くのが聞こえた。
後は執間先生がドアを開けてくれるのを待つだけ…なのだが、やけに遅い。
「おかしいな…」
約束して来たのだから、留守という事は無いだろう。
私はもう一度インターホンを押した。
しばらくして、足音が近付いて来るのが聞こえる。
緊張して待っていると、ゆっくりと扉が開いた。
「ん、唯。いらっしゃい」
「先生、お邪魔します」
私はいつもの様にリビングのソファに腰を下ろす。
執間先生も私の隣に腰を下ろした。
「今日は出て来るの遅かったですね。もしかして、部屋の片付けとかしてたんですか?」
「はは、ごめん。ついさっき起きたんだ」
先生の顔を見ると、目が開ききっておらずとても眠た気に見える。
声も寝起きだと分かるような低く掠れた、それでいて色気を含んだ独特の声音だ。
「夜更かしでもしてたんですか?体壊しますよ」
「ちょっと急ぎの仕事を片付けてたんだ。目覚ましセットしてたし、イケると思ったんだけどなぁ…」
そう言いながら、ふわぁとあくびをする先生。
その無防備な表情にドキドキする。
「そういえば、朝ごはんまだ…ですよね、先生」
「朝は食べないから心配しなくても良いよ」
逆に心配になる返答だ。
執間先生はゆっくりソファから立ち上がると、軽く伸びをして私を見る。
「コーヒー淹れようと思うんだけど、唯もコーヒーで大丈夫?」
「はい。大丈夫ですよ」
「分かった。ちょっと待ってて」
そう言ってキッチンへ消えていく先生。
彼がよく飲む、ブラックに挑戦してみようかな。
「執間先生、私もブラックで飲んでみたいです」
「唯には早いんじゃないかな?」
ふふ、と笑いながら、それでも淹れてくれたのはブラックコーヒーだった。
「いただきます」
「砂糖もミルクもあるからね」
「……砂糖とミルク、お願いします」
ひとくち飲んでみたけれど、それは大人の味だった。
─ END ─
【あとがき】
2015/04/06
現在私は、執間先生の自宅の玄関前に居る。
インターホンを押すだけなのだが、毎回緊張するのだ。
深呼吸して、人差し指でグッと押す。
中で軽快な音が響くのが聞こえた。
後は執間先生がドアを開けてくれるのを待つだけ…なのだが、やけに遅い。
「おかしいな…」
約束して来たのだから、留守という事は無いだろう。
私はもう一度インターホンを押した。
しばらくして、足音が近付いて来るのが聞こえる。
緊張して待っていると、ゆっくりと扉が開いた。
「ん、唯。いらっしゃい」
「先生、お邪魔します」
私はいつもの様にリビングのソファに腰を下ろす。
執間先生も私の隣に腰を下ろした。
「今日は出て来るの遅かったですね。もしかして、部屋の片付けとかしてたんですか?」
「はは、ごめん。ついさっき起きたんだ」
先生の顔を見ると、目が開ききっておらずとても眠た気に見える。
声も寝起きだと分かるような低く掠れた、それでいて色気を含んだ独特の声音だ。
「夜更かしでもしてたんですか?体壊しますよ」
「ちょっと急ぎの仕事を片付けてたんだ。目覚ましセットしてたし、イケると思ったんだけどなぁ…」
そう言いながら、ふわぁとあくびをする先生。
その無防備な表情にドキドキする。
「そういえば、朝ごはんまだ…ですよね、先生」
「朝は食べないから心配しなくても良いよ」
逆に心配になる返答だ。
執間先生はゆっくりソファから立ち上がると、軽く伸びをして私を見る。
「コーヒー淹れようと思うんだけど、唯もコーヒーで大丈夫?」
「はい。大丈夫ですよ」
「分かった。ちょっと待ってて」
そう言ってキッチンへ消えていく先生。
彼がよく飲む、ブラックに挑戦してみようかな。
「執間先生、私もブラックで飲んでみたいです」
「唯には早いんじゃないかな?」
ふふ、と笑いながら、それでも淹れてくれたのはブラックコーヒーだった。
「いただきます」
「砂糖もミルクもあるからね」
「……砂糖とミルク、お願いします」
ひとくち飲んでみたけれど、それは大人の味だった。
─ END ─
【あとがき】
2015/04/06
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