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……結局、いっしょに昼食を、という誘いはOKしてしまった。なぜなのかは分からない。シオバナの顔が良かったからかな。

いまは午前最後の授業…それも、あと10分で終わる。窓から見える雲ひとつない空に、マジかァめっちゃ綺麗やん以外の感想が出ない自分をソッと悔やむ。…でもま、どうせシオバナがいい感じの言葉にしてくれるだろ……と、ここまで考え、はたと気付く。私、いまシオバナの言葉に期待した?
イヤ、イヤイヤイヤイヤ…………まさかだろ。

や、なにも彼を軽んじて見てたんで期待した自分が信じらんない〜ってなワケじゃあないけども、だ。いやいやいや…オイオイオイあの彼からの口説きまがいな言葉を期待してるって…あまりに、その…私が彼に惚れてるみたいでは……?

いやでも…よく考えたら、イケメンに耳心地のいい言葉を言われたいってのは何ら不思議なことではない。そうだった。ウン。それにだいいち、彼に釣り合うのは安室ちゃんぐらいのものだし。や、ピンポイントで“彼女しか”ってなワケではないけども、まァ…そのくらいの全体的なレベルがないと。

そう考えていると、スゥと頭が冷やされていく感覚を覚えた。


授業終了のベルが鳴り、空気がなんだかホッと緩んだ。シオバナがこちらを向く。

「じゃ、行こう」

その笑顔はスゴく素敵だった。青空に映えるのはきみの方じゃないのってほど。

なんでかは分からんが、こんな調子じゃ、手のひらでコロがされてるって感じがしてツラいなぁ。現に私、彼に対して悪い印象を持てずにいるし。

席を立ち、シオバナについていく。ツンとした美女風、カワイイ少女風、マジメなお姉さん風…とちゅうで彼に話しかける女子たちを目で追うたび、シオバナがいかにモテるのかを戦慄とともに実感する。

彼ぐらいだと女子生徒も引く手あまただろうに、なんだって私を構うのか。変わったモンに手ェ出したいお年頃なのかな。




……やっぱ、モテるやつの考えることは分からん。
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