彼らの日々
主人公お名前をどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
忍足くんが彼女を作ったことは、テニス部の取り巻きの間ではちょっとした事件として扱われた。それも彼の方からのラブコールだという噂なのだから、それはそれはもう多くの女子生徒が涙した。
化学の授業のあと、渦中の楪さんはわたしとは違う女子のグループで教室に移動していた。忍足くんは忍足くんで、男子のグループに紛れて移動していた。
あの2人の距離の取り方や周りへの配慮はなんというか、中学生ならもっとはしゃいでいちゃいちゃしてもいいのにと思う。
けれども、それだからこそ忍足ファンはあっという間に悲しみにふけることも嫉妬心をこじらせることもなく現実を受け入れられたのだと思う。
「忍足くん、部活忙しそうで大変だね。」
広義では楪さんと同じグループなため、一緒にお昼を食べていたとき、そのうちの1人が言った。
でもわたしはテニスをしている彼が好きだからという優等生的な発言か、はたまた素直にそうなんだよね、寂しい、という言葉が出て来るのかは見当もつかなかった。
「しゃーないよ。その分わたしも相当好きにさせてもらってるから。」
「えーなにそれ。でもねろりほんとすごいよね!あの忍足くんだもんね。忙しくても仕方ないよ、あーほんとに羨ましい!!」
「どうやって付き合うことになったの?」
「その場の雰囲気、かな。」
この話は終わりにしよう、鈍感力しか取り柄のなさそうな彼女達でもそれには気付いたようで、不自然に話題は変わっていった。
=====
美術室の鍵を閉め、学校を出る。
18時とはいえ、この時期はまだまだ蒸し暑い。夕立後ということも合わさり、ムッとした空気が立ち込める。あまりの蒸し暑さに駅前のコンビニに立ち寄った。
あ、楪さん。隣にいるのは忍足くん。2人でいるところを見るのは初めてだった。中学生離れした体型の忍足くんに、長身の楪さんはやっぱりお似合いだ。
その場にいるのが少し申し訳なくなり、2人に気付かれる前にコンビニを後にし、駅の自販機で冷たいお茶を買った。あの2人はどんな会話をするんだろうな。どう笑い合うんだろうな。他人事ながらに素敵な2人の想像は止まらない。
ホームで電車を待つ。二つ隣の駅で来週末開催されるお祭りの広告が目に留まった。
「あ、来週末お祭りあるんだね。」
楪さんだ。
「あ。あれ?今帰り??」
さっきまでいた忍足くんは?という言葉が喉まで出かかった。
「駅まで忍足と一緒で。あいつバスだから、帰りは駅までとかも結構あるんだよね。」
「寂しくないの?」
「半々かな。お互いに相手よりももっと優先度が高いものがあって、異性の中の1番が忍足だったというだけだし、それは忍足も同じ。わたしたちはその考え方が合ったから付き合ってるんだよね、多分。」
確か前に忍足くんは忍足ファンのそれはそれは可愛らしい後輩と付き合っていた。でもやはりありがちな「わたしとテニスどっちが大事なの」というあれに行き着いてしまったと聞いたことがあった。
それを思えば楪さんのような人と付き合うのは当然の流れのように感じた。
「あ、でも。大前提として顔が大好きとかはあるんだけどね。」
楪さんは笑顔で教えてくれた。
この笑顔よりもテニスが好きなんて罪な男だ。
化学の授業のあと、渦中の楪さんはわたしとは違う女子のグループで教室に移動していた。忍足くんは忍足くんで、男子のグループに紛れて移動していた。
あの2人の距離の取り方や周りへの配慮はなんというか、中学生ならもっとはしゃいでいちゃいちゃしてもいいのにと思う。
けれども、それだからこそ忍足ファンはあっという間に悲しみにふけることも嫉妬心をこじらせることもなく現実を受け入れられたのだと思う。
「忍足くん、部活忙しそうで大変だね。」
広義では楪さんと同じグループなため、一緒にお昼を食べていたとき、そのうちの1人が言った。
でもわたしはテニスをしている彼が好きだからという優等生的な発言か、はたまた素直にそうなんだよね、寂しい、という言葉が出て来るのかは見当もつかなかった。
「しゃーないよ。その分わたしも相当好きにさせてもらってるから。」
「えーなにそれ。でもねろりほんとすごいよね!あの忍足くんだもんね。忙しくても仕方ないよ、あーほんとに羨ましい!!」
「どうやって付き合うことになったの?」
「その場の雰囲気、かな。」
この話は終わりにしよう、鈍感力しか取り柄のなさそうな彼女達でもそれには気付いたようで、不自然に話題は変わっていった。
=====
美術室の鍵を閉め、学校を出る。
18時とはいえ、この時期はまだまだ蒸し暑い。夕立後ということも合わさり、ムッとした空気が立ち込める。あまりの蒸し暑さに駅前のコンビニに立ち寄った。
あ、楪さん。隣にいるのは忍足くん。2人でいるところを見るのは初めてだった。中学生離れした体型の忍足くんに、長身の楪さんはやっぱりお似合いだ。
その場にいるのが少し申し訳なくなり、2人に気付かれる前にコンビニを後にし、駅の自販機で冷たいお茶を買った。あの2人はどんな会話をするんだろうな。どう笑い合うんだろうな。他人事ながらに素敵な2人の想像は止まらない。
ホームで電車を待つ。二つ隣の駅で来週末開催されるお祭りの広告が目に留まった。
「あ、来週末お祭りあるんだね。」
楪さんだ。
「あ。あれ?今帰り??」
さっきまでいた忍足くんは?という言葉が喉まで出かかった。
「駅まで忍足と一緒で。あいつバスだから、帰りは駅までとかも結構あるんだよね。」
「寂しくないの?」
「半々かな。お互いに相手よりももっと優先度が高いものがあって、異性の中の1番が忍足だったというだけだし、それは忍足も同じ。わたしたちはその考え方が合ったから付き合ってるんだよね、多分。」
確か前に忍足くんは忍足ファンのそれはそれは可愛らしい後輩と付き合っていた。でもやはりありがちな「わたしとテニスどっちが大事なの」というあれに行き着いてしまったと聞いたことがあった。
それを思えば楪さんのような人と付き合うのは当然の流れのように感じた。
「あ、でも。大前提として顔が大好きとかはあるんだけどね。」
楪さんは笑顔で教えてくれた。
この笑顔よりもテニスが好きなんて罪な男だ。
1/1ページ