cappuccino
主人公お名前をどうぞ
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「お疲れ様でーす」
部活後のバイト。高校生っぽくて良いんじゃないと、忙しいながらに充実した気持ちでもあった。女の子とデートに行くことも多くあったから、コーヒーはもともと好きだ。もとい、格好つけてブラックを飲んでいたらブラックが大好きになった。バイト先のカフェに来るたびに、様々な女の子の顔が浮かんでは消えた。
「あれ、千石くん。今日シフト入っていたっけ?」
思い出してみると、今日は来なくても良いと言われていた日だった。
「あ、すみません。つい火曜はクセで来ちゃったみたいです。せっかくだから一杯飲んで行こうかな、なんちゃって。」
「あー待って待って。今日結構混んじゃって。洗い物かなり手付かずなの。よかったら、手伝ってくれない?」
楪さん。
前に会った時と違い、一つに結ばれた髪の毛で綺麗な輪郭が強調されていた。
「はじめまして。今月からここでお世話になってる千石清純です。楪さんの頼みなら喜んで手伝いまーす」
二人で山盛りの食器を片付けた。お客さんの前だから、大した会話もなかったけれども、楪さんがここで頼られていることがよく分かった2時間だった。とにかく効率が良く、要領が良く、愛想が半端ない。
「千石くん、お疲れ様。高校生はもう上がりの時間でしょ?」
一緒に上がって少し話したいなと思ったものの、こればかりは仕方ない。今日のところはこれで帰ることにしよう。
「お疲れ様でーす。楪さんも気を付けて帰ってくださいね。」
ありがとうと笑顔で手を振られた。あ、なんかいいなと。でも世の中、大体の女の子は可愛い。楪さんに限ったことではない。女の子は須らく、可愛く、尊い存在なんだ。
=====
それから1ヶ月ほど、楪さんとは何度か数時間シフトが被ることはありながらも、基本的には俺の年齢のせいで一緒に帰るなどのイベントが発生することはなかった。
けれども、少しずつ彼女のことを知る機会は増え、多少の世間話はするようになった。
国立大学の文系で院生、バイトはここの他に知り合いの子供の家庭教師を1人。内定先はシステム系の会社らしい。実家はここから3時間くらいのところにあり、現在は隣の駅で一人暮らし。
健全な男子高校生故に一人暮らしというのはとても甘美な響きだった。ちょっと可愛いなと思っていた程度が、急にポイントアップ的な。どんな部屋に住んでいるんだろう、どんな部屋着で過ごしているんだろう、妄想は止まらない。
「今日はお客さん少なかったし、楪さんも千石くんと上がっちゃって良いよ。いつも遅くまでありがとうね。」
リーダーナイスアシスト!これでせめて駅くらいまでは俺にチャンスがやって来る。
「女性なんで、駅まで送らせてください。」
帰り道にたくさんの話をした。というか、楪さんのペースに乗せられてたくさんの話をしてしまった。
「元カノとは別れたばかりで。相手はこの間中学三年生になったばかり。」
一緒に歩く俺と楪さんは兄弟くらいに見えているだろうか。まあ普通に考えたらそうかもしれない。解かれたセミロングの髪の毛からはシャンプーの匂いとコーヒーの匂いが少しした。
「なんか楪さんと話していると、話しすぎちゃうなあ。」
今時の高校生事情が分かって楽しかったと彼女はいたずらっぽく笑った。
=====
「南ぃ」
「部活の帰りのファーストフードはなんでこんなに美味しいんだろうね。」
そんなこと言いたい顔じゃなかっただろうと南は笑った。中学時代から苦楽を共にしてきた友人は察しがよくて困る。
「メイちゃんに困ってるとか?」
うん、君はそれで良い。俺のこのまだ名前のつけられない気持ちは誰にも分からなくて良いんだ。
「なんでもないよ」
部活後のバイト。高校生っぽくて良いんじゃないと、忙しいながらに充実した気持ちでもあった。女の子とデートに行くことも多くあったから、コーヒーはもともと好きだ。もとい、格好つけてブラックを飲んでいたらブラックが大好きになった。バイト先のカフェに来るたびに、様々な女の子の顔が浮かんでは消えた。
「あれ、千石くん。今日シフト入っていたっけ?」
思い出してみると、今日は来なくても良いと言われていた日だった。
「あ、すみません。つい火曜はクセで来ちゃったみたいです。せっかくだから一杯飲んで行こうかな、なんちゃって。」
「あー待って待って。今日結構混んじゃって。洗い物かなり手付かずなの。よかったら、手伝ってくれない?」
楪さん。
前に会った時と違い、一つに結ばれた髪の毛で綺麗な輪郭が強調されていた。
「はじめまして。今月からここでお世話になってる千石清純です。楪さんの頼みなら喜んで手伝いまーす」
二人で山盛りの食器を片付けた。お客さんの前だから、大した会話もなかったけれども、楪さんがここで頼られていることがよく分かった2時間だった。とにかく効率が良く、要領が良く、愛想が半端ない。
「千石くん、お疲れ様。高校生はもう上がりの時間でしょ?」
一緒に上がって少し話したいなと思ったものの、こればかりは仕方ない。今日のところはこれで帰ることにしよう。
「お疲れ様でーす。楪さんも気を付けて帰ってくださいね。」
ありがとうと笑顔で手を振られた。あ、なんかいいなと。でも世の中、大体の女の子は可愛い。楪さんに限ったことではない。女の子は須らく、可愛く、尊い存在なんだ。
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それから1ヶ月ほど、楪さんとは何度か数時間シフトが被ることはありながらも、基本的には俺の年齢のせいで一緒に帰るなどのイベントが発生することはなかった。
けれども、少しずつ彼女のことを知る機会は増え、多少の世間話はするようになった。
国立大学の文系で院生、バイトはここの他に知り合いの子供の家庭教師を1人。内定先はシステム系の会社らしい。実家はここから3時間くらいのところにあり、現在は隣の駅で一人暮らし。
健全な男子高校生故に一人暮らしというのはとても甘美な響きだった。ちょっと可愛いなと思っていた程度が、急にポイントアップ的な。どんな部屋に住んでいるんだろう、どんな部屋着で過ごしているんだろう、妄想は止まらない。
「今日はお客さん少なかったし、楪さんも千石くんと上がっちゃって良いよ。いつも遅くまでありがとうね。」
リーダーナイスアシスト!これでせめて駅くらいまでは俺にチャンスがやって来る。
「女性なんで、駅まで送らせてください。」
帰り道にたくさんの話をした。というか、楪さんのペースに乗せられてたくさんの話をしてしまった。
「元カノとは別れたばかりで。相手はこの間中学三年生になったばかり。」
一緒に歩く俺と楪さんは兄弟くらいに見えているだろうか。まあ普通に考えたらそうかもしれない。解かれたセミロングの髪の毛からはシャンプーの匂いとコーヒーの匂いが少しした。
「なんか楪さんと話していると、話しすぎちゃうなあ。」
今時の高校生事情が分かって楽しかったと彼女はいたずらっぽく笑った。
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「南ぃ」
「部活の帰りのファーストフードはなんでこんなに美味しいんだろうね。」
そんなこと言いたい顔じゃなかっただろうと南は笑った。中学時代から苦楽を共にしてきた友人は察しがよくて困る。
「メイちゃんに困ってるとか?」
うん、君はそれで良い。俺のこのまだ名前のつけられない気持ちは誰にも分からなくて良いんだ。
「なんでもないよ」
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