12 開講、異世界ゼミナール
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前回のあらすじ。
土井先生の前だとギクシャクする朱美さんを何とかしようとしたら、安藤先生の挑発によって、彼女の土井先生への思いの強さのほか、おれ達のことを結構気にしてくれてたんだなと感動したのも束の間。
今度の算数のテストまでの三日間、朱美さんによる補習授業を毎日受けることになった。
以上が前回のあらすじ。
異世界ゼミナールを開講します、なんて宣言してたけど、ハッとした様子でがくりと膝をついた朱美さん。
ちょっと前は土井先生にギクシャクしてて、さっきまで安藤先生に激怒してたのに、今は落ち込んでいる。
なんていうか、朱美さんって結構忙しい人なんだなと思った。
「どうしたんすか朱美さん」
「お腹空いたの?」
「しんべヱじゃあるまいし」
「乗せられてしまった」
と、心底悔しそうにいう朱美さん。
「怒車の術だよ…!目的も理由も分からないけど、私に怒車の術をかけて、安藤先生の思い通りになってしまったの……」
朱美さんの言葉に乱太郎としんべヱと顔を見合わせた。
「どしゃ…?」
「土と砂の?」
「それは土砂」
「お菓子の?」
「それはラング・ド・シャ。美味しいけどポロポロ崩れちゃう……違うそういうやり取りしてる暇はないの」
おおー、と は組の皆は朱美さんの流れるようなノリッコミに拍手する。真顔で言うんだからノッてるのか分かりづらいんだよなぁ。
「怒車の術とは」
「怒車の術とは!相手を怒らせて冷静さを失わせ、自分の思惑通りに物事を運ばせる忍術のこと!」
庄左ヱ門が朱美さんの説明を遮った。
朱美さんは台詞が取られても特にショックを受けるわけでも悔しがるわけでもなく「あぁ、うん」と頷いただけだった。
説明する手間が省けた、知ってる人がいて良かったとか、そんな顔だった。
「そういえば朱美さんは今日から補習授業を行うと仰いましたが、もしかして今からですか?」
相変わらず冷静な庄左ヱ門。
朱美さんはすっと立ち上がる。再び闘志が燃え始めていた。
「そうです。乗せられたとしても、いや、乗せられたのなら勝負に勝つまでです。何としてでも。だから今日からです」
静かに、でも一言一言が重々しかった。
「えー。やだよ、おれ。内職あるし」
「せっかく補習が無いのに」
「ナメクジさんのお散歩が」
「カラクリ作りしたいです」
「お昼寝したーい」
「わかりました。では夕食後、庄左ヱ門くんと伊助くんの部屋に集合してください。いいですか?」
ですます調で語る朱美さんは圧が凄い。
庄左ヱ門も伊助も無言で頷いた。
「そうそう。今日は算数の宿題なんですよね。ならば、宿題を持ってきてください」
だめだこれは。止められない。
あーあ。
観念しておれ達は夕食後、庄左ヱ門の部屋へと向かったのだった。