6 崩れた壁から現れたもの
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山田は自室で明日の実習の準備をしていた。
忍器の取扱いについてどのように教えるべきか、改めて書物を読み直し、授業の構想を練る。
もう少しで食堂から彼女が手伝いのためにやってくるから、屋根裏から感じる視線の正体を暴くべく山田は溜息を付きながら天井を仰ぎ見た。
「そこにいるのは分かってるぞ」
数秒間、天井を睨み続けると、侵入者は苦笑しながら降りてきた。
深緑の忍装束。
六年の食満留三郎だ。
彼が何故ここで盗み聞きをしようとしたのか。それはこの時間に、ここに彼女が来るからだ。あまり知られていない彼女の一日を、彼は、いや彼らは把握しているらしい。
「さすが山田先生…いつから見抜いていらしたのですか?」
「最初からだ…」
山田はここで「何の用だ」と敢えてとぼけた聞き方をすべきか迷ったが、彼女がここへ来る前に食満を追い出したい。
話を短く切り上げようと、不本意ではあるが、山田はさっと変装する。麗しき、艶やかなる蝶に。
「留三郎さんったらやぁねぇ。アタシと朱美ちゃんの乙女の会話を盗み聞きするつもりだったのね!」
「お、おとめ……」
この距離から見ても食満の肌が粟立っているのが分かる。失礼極まりない。
食満は数歩後ずさり、真っ青な顔で部屋を飛び出していった。
「何よもう!失礼しちゃう!」
ここ最近、六年による彼女を探る頻度が増えた。
彼女の部屋や風呂に入っている隙に着替えを調べる…なんてことは良心が咎めるのか、さすがにやってはいないようだが実行するのも時間の問題だろう。
もう彼女の事を皆に明かしてもよいのではないか。
学園長から待てと言われている以上、彼らを阻止しなくてはならない。
彼らが彼女のことを探っているのは怪しんでいるのではない。
単純に秘密を明かしたいだけなのだろう。
食堂のおばちゃんも、小松田も、他の先生方も彼女を嫌っていない。正確に言うならば、好きになりたがっている。そして、人と距離を置きたがる彼女と、もっと関わりたがっている。
真実を告げたところで支障はないはずだ。
そう考えつつ変装を解いた頃、朱美はやって来た。
忍器の取扱いについてどのように教えるべきか、改めて書物を読み直し、授業の構想を練る。
もう少しで食堂から彼女が手伝いのためにやってくるから、屋根裏から感じる視線の正体を暴くべく山田は溜息を付きながら天井を仰ぎ見た。
「そこにいるのは分かってるぞ」
数秒間、天井を睨み続けると、侵入者は苦笑しながら降りてきた。
深緑の忍装束。
六年の食満留三郎だ。
彼が何故ここで盗み聞きをしようとしたのか。それはこの時間に、ここに彼女が来るからだ。あまり知られていない彼女の一日を、彼は、いや彼らは把握しているらしい。
「さすが山田先生…いつから見抜いていらしたのですか?」
「最初からだ…」
山田はここで「何の用だ」と敢えてとぼけた聞き方をすべきか迷ったが、彼女がここへ来る前に食満を追い出したい。
話を短く切り上げようと、不本意ではあるが、山田はさっと変装する。麗しき、艶やかなる蝶に。
「留三郎さんったらやぁねぇ。アタシと朱美ちゃんの乙女の会話を盗み聞きするつもりだったのね!」
「お、おとめ……」
この距離から見ても食満の肌が粟立っているのが分かる。失礼極まりない。
食満は数歩後ずさり、真っ青な顔で部屋を飛び出していった。
「何よもう!失礼しちゃう!」
ここ最近、六年による彼女を探る頻度が増えた。
彼女の部屋や風呂に入っている隙に着替えを調べる…なんてことは良心が咎めるのか、さすがにやってはいないようだが実行するのも時間の問題だろう。
もう彼女の事を皆に明かしてもよいのではないか。
学園長から待てと言われている以上、彼らを阻止しなくてはならない。
彼らが彼女のことを探っているのは怪しんでいるのではない。
単純に秘密を明かしたいだけなのだろう。
食堂のおばちゃんも、小松田も、他の先生方も彼女を嫌っていない。正確に言うならば、好きになりたがっている。そして、人と距離を置きたがる彼女と、もっと関わりたがっている。
真実を告げたところで支障はないはずだ。
そう考えつつ変装を解いた頃、朱美はやって来た。