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放課後の忍術学園。
裏庭や忍たま長屋にてそれぞれが思い思いに過ごしているなか、朱美は乱太郎、きり丸、しんべヱ達と裏庭の草むらに寝そべり、空を見上げていた。
今日は宿題も補習も委員会の仕事も無い。
乱太郎達にとっては奇跡のような日。
そして朱美も、夕食の支度は忍たま達が行う日であり、任された事務仕事も終わっていた。
恋人の半助の手伝いに行こうとしたが、半助と伝蔵は授業の下見のため不在であり、手持ち無沙汰であった。
何か面白いことが無いか探していた乱太郎達は、せっかくの空き時間に半助が不在でしょぼくれていた彼女の姿を見つけ、こうして昼寝に誘ったのである。
暑すぎず、寒すぎず。
日向に寝そべり、空を見上げるに最適な気候であった。
「空いた時間は自主学習に充てたら?」などとつまらぬ事を言う異世界から来た事務員は、そう言いつつも寝そべったのである。
「改めて聞きますけど」
「何?」
目で追っていた小さな雲が視界の端に消えていく頃、きり丸は口を開いた。
「土井先生のどこがいいんすか?」
さぞ締まりのない顔を浮かべてくどくどと半助を褒めそやすのだろうと期待していたが、返ってきたのは
「は?」
何とも不機嫌そうな声だった。
「言う必要ある?」
「言いたくないなら別に言わないでいいすけど」
不機嫌な彼女に慣れているきり丸は欠伸をしながら言い返せば、彼女が首を何度も振るのが音でわかった。
「違う違う。………言わなきゃ分かんないかな?」
「そっちすか」
乱太郎としんべヱが小さく笑った。
「私よりも長くいるのに分かんないの?」
「朱美さんの口から聞きたいんじゃないすか」
「ねぇ、きりちゃん、土井先生にも同じことを聞いたの?」
「朱美さんが帰る前の時、『いつから』って聞いた気がすんだよなぁ」
「その時、土井先生はなんて答えたの?」
「出会ったときから、って」
「ほんっとにそういう記憶力はいいんだから」
ざあ、と風が少し強く吹いてきて、辺りの木々を揺らした。
「ぼくも聞いてみたことあるよ。朱美さんのどこが好きですか?って」
この手の話より、新しい団子屋や格別に美味いうどん屋の方に興味があるかと思っていた。
しんべヱの一言でその場の三人は思わず身を起こして彼を見た。
そんな彼らの驚きに気づかず、しんべヱは空を見上げながら話を続けた。
「そしたらね」
三人は静かに頷き、彼の言葉を待つ。
「えーっと…………」
辺り一帯、緊迫した空気になる。
それは何より朱美が鬼気迫る顔で彼を見ているからだろう。
朱美も半助に尋ねたことはあったが、生徒にはどのような回答をしたのか気になって仕方がないのだ。
ギュルルルルルルルル
突如、獣の咆哮とも鬼の叫びともとれる凄まじい轟音が鳴り響いた。
途端にしんべヱは全身を脱力させ、穏やかな彼の顔は更にフヤケたものになる。
「お腹空いたあぁ」
ガックリと三人は肩を落としたのだった。
ーーー
いつもの場所。
と、もう呼んでもいいだろう。
夜に半助さんと過ごす、学園の目立たぬところに建てられた演習用の小屋。
小皿に油を注いで灯芯に火を付ければ、ぼんやりと橙の光が生まれ、私達の影が揺らぎながら壁に映る。
その後は何も言わないで互いを貪る時もあれば、
今日起きた事を向かい合って話しながら、だんだんと口数が少なくなってそのまま……という時もある。
今日は後者だ。
「と、そんなことがありまして」
「何て答えたか知りたいと」
半助さんは呆れたようにため息をつく。
「そんなに気になる?」
「はい」
食い気味に返事をすれば、小さく笑われてしまった。
「相手は生徒だぞ?無難な答えを言ったよ」
「それでは無難な答えと、そうじゃない答えを教えて下さい!」
全く、と半助さんは呆れながらも、その頬は緩んでいる。
「おいで」
その言葉に私は喜々として半助さんの膝の上に乗って彼の首に腕を回す。
半助さんも私を抱き締めてくれる。
「自分のことだけではなく、一年は組の良い子達にも一生懸命なところ。だよ」
無難な答えなものか。
嬉しさで胸がいっぱいになる。
「そ、それで………無難じゃない方の答えは……なんですか?」
くすりと笑う半助さんは、本当に本当にカッコいい。
整った顔が近づき、そっと耳元で囁かれる。
「前にも話したじゃないか」
「っ………」
低く色っぽい声にぞくぞくしてしまう。
「それでも。です」
ぐらりと体が傾き、床へと倒れる。
勢いのわりに床に優しく着いたのは、半助さんが支えてくれながら押し倒してくれたから。
「教えてあげる」
私を見下ろす半助さんの瞳は、もう完全に欲している顔で。
そういう私も欲しくて欲しくてたまらなくて。
「全部だよ」
そう囁かれ、半助さんはそのまま私の耳を舌で嬲り、その後、深い深い口づけをされたのだった。
「私も。………全部好き」
お互いの荒い息遣いを聞きながら、相手の服に手をかける前に私もそう伝えてみせれば、半助さんは嬉しそうに、けれども泣きそうな顔で私を強く抱き締めてくれた。
そう。
そういうところも全部好き。