償いの薬師
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―………虚しくありませんか?
―例え、土井先生が……いえ、学園長先生が今回の戦を止めたとしても、またどこかの城で企む者が生まれるでしょう。
次の朝。
学園を出て目的の場所までの道すがら。
昨晩まで絶え間なく星屑へ届かそうと歌い続けていた虫達は草間で息を潜めている。
半助の脳裏で繰り返されるのは、学園長からの命ではなく朱美の表情と言葉だった。
海の底のような瞳。
感情を削ぎ落とした顔。
―そう………ですね
そして彼女は微笑んでいた。
微笑んでいたのに、泣いていた。
彼女は戦で家族を失ったと聞いた。
―今もどこかで戦は起きています
―………それでも、止めに行くのですね
それなのに試すような言葉を返してきた。
「貴女は…一体、」
やめよう。
今は、忍務に集中すべきだ。
思案を振り払うように半助は足を早めたのだった。