鬼の手短編
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デートの前に確かめたいこと
約束の駅前広場で朱美は俺の気持ちなんて知らずに呑気に本なんて読んでいる。
張り切って早い時間に家を出て約束の時間より前に着いた俺は、落ち着かないからその辺をブラブラして戻ってきたら君はその場所に立っていた。
どんな風に過ごすのだろうと悪戯心に火がついて隠れて見守ることにしたのだ。
何やってるんだ俺。
早く会えばいいのに。
彼女は時折顔を上げてあたりを見回したかと思えば本に再び視線を落とす。
その辺の霊が建物の影から彼女を窺う俺を不審な目で見ているが気にしない。
彼女は相変わらず本を読む。
ペラペラとページを戻したかと思えば、また先に進む。
その後本を閉じ、スマホを見てはあたりを見回す、なんていう行為を10分の間で何度もしていた。
あれ。
これはもしかして。
俺を待ってくれている?
楽しみにしてくれている?
そうだよ、と呆れ顔の通行者ならぬ通行霊が頷いている。
………そうだ。
何を疑ってしまっているんだ俺は。
なんてったって両想いなんだ!!
こんなところでコソコソしてないで、早く彼女のもとに行かねば。
そしてラブラブでイチャイチャでアツアツなデートを実行するんだ!!
と意気込む俺の肩を誰かが叩いてきた。
「もしもし?お兄さん?そこで何をしてるの」
「………………へ?」
肩を叩かれ、振り返れば二人の呆れ顔の警官。
周りを見渡せば不審そうに俺を見る無数の目。
俺への視線は霊だけではなかったようだ。
そして
「鵺野先生?!」という彼女の叫び声。
ーーー
「ふふっ………」
小さく笑ったかと思えば「あははは!」と涙目で大笑いする朱美。
「そんなに笑わんでもよいでしょう?!」
彼女とは真逆の意味で涙目の俺は叫ぶ。
「だって………通報されるくらい……怪しかったんだなって…ふふふ」
あぁぁもう!最悪なデートだ!
そうしちまったのは他ならぬ俺だけど!
数駅先の繁華街を歩く俺たちを気に留めるのは、まばらに紛れている幽霊だけであった。
「遠くから見た私はどうでしたか?」
不意に顔を覗かれる。
ほんのりと流れてくる甘い香りに、俺は固まってしまう。
「可愛かったよ………」
正直に答えたら今度は朱美が動かなくなる。
数歩分先を歩いた俺は振り返って立ち止まっている彼女を見る。
「………」
真っ赤になって口元を隠す君は、やっぱり可愛い。
「どうしました!?」
「ずるい。鵺野先生は」
「ええ?!」
小走りで俺の隣に来た彼女の耳はまだ朱い。
「落ち着かなくて早く来て、その辺を散策していた私が馬鹿みたい」
早口だったが地獄先生の地獄耳はしっかりその言葉を拾った。
「え………」
彼女は恨みがましそうに俺を見上げている。
ああ。
彼女も俺と同じように。
「………あっははは!」
可笑しくなって大笑いする俺に彼女は目を丸くする。
「おそろいですね」
愛しくて。
俺はその頬に唇を落とす。
大衆の面前でイチャイチャする……そんな事をする日がやってくるなんて、思いもしなかった。
彼女の柔らかな頬はもっと朱くなった。
約束の駅前広場で朱美は俺の気持ちなんて知らずに呑気に本なんて読んでいる。
張り切って早い時間に家を出て約束の時間より前に着いた俺は、落ち着かないからその辺をブラブラして戻ってきたら君はその場所に立っていた。
どんな風に過ごすのだろうと悪戯心に火がついて隠れて見守ることにしたのだ。
何やってるんだ俺。
早く会えばいいのに。
彼女は時折顔を上げてあたりを見回したかと思えば本に再び視線を落とす。
その辺の霊が建物の影から彼女を窺う俺を不審な目で見ているが気にしない。
彼女は相変わらず本を読む。
ペラペラとページを戻したかと思えば、また先に進む。
その後本を閉じ、スマホを見てはあたりを見回す、なんていう行為を10分の間で何度もしていた。
あれ。
これはもしかして。
俺を待ってくれている?
楽しみにしてくれている?
そうだよ、と呆れ顔の通行者ならぬ通行霊が頷いている。
………そうだ。
何を疑ってしまっているんだ俺は。
なんてったって両想いなんだ!!
こんなところでコソコソしてないで、早く彼女のもとに行かねば。
そしてラブラブでイチャイチャでアツアツなデートを実行するんだ!!
と意気込む俺の肩を誰かが叩いてきた。
「もしもし?お兄さん?そこで何をしてるの」
「………………へ?」
肩を叩かれ、振り返れば二人の呆れ顔の警官。
周りを見渡せば不審そうに俺を見る無数の目。
俺への視線は霊だけではなかったようだ。
そして
「鵺野先生?!」という彼女の叫び声。
ーーー
「ふふっ………」
小さく笑ったかと思えば「あははは!」と涙目で大笑いする朱美。
「そんなに笑わんでもよいでしょう?!」
彼女とは真逆の意味で涙目の俺は叫ぶ。
「だって………通報されるくらい……怪しかったんだなって…ふふふ」
あぁぁもう!最悪なデートだ!
そうしちまったのは他ならぬ俺だけど!
数駅先の繁華街を歩く俺たちを気に留めるのは、まばらに紛れている幽霊だけであった。
「遠くから見た私はどうでしたか?」
不意に顔を覗かれる。
ほんのりと流れてくる甘い香りに、俺は固まってしまう。
「可愛かったよ………」
正直に答えたら今度は朱美が動かなくなる。
数歩分先を歩いた俺は振り返って立ち止まっている彼女を見る。
「………」
真っ赤になって口元を隠す君は、やっぱり可愛い。
「どうしました!?」
「ずるい。鵺野先生は」
「ええ?!」
小走りで俺の隣に来た彼女の耳はまだ朱い。
「落ち着かなくて早く来て、その辺を散策していた私が馬鹿みたい」
早口だったが地獄先生の地獄耳はしっかりその言葉を拾った。
「え………」
彼女は恨みがましそうに俺を見上げている。
ああ。
彼女も俺と同じように。
「………あっははは!」
可笑しくなって大笑いする俺に彼女は目を丸くする。
「おそろいですね」
愛しくて。
俺はその頬に唇を落とす。
大衆の面前でイチャイチャする……そんな事をする日がやってくるなんて、思いもしなかった。
彼女の柔らかな頬はもっと朱くなった。