「おやおや……なまえさんが泣いているだなんて珍しいですね。いい顔です」


「花粉症です天海先生。あと最後の一言に関しては聞き逃したことにしますね」


「貴女のそんな顔が見れるなら悪くないですね、この季節も」


「いや悪いですけど？こっちは必死なんですけど？」


「ククク……すみません。しかしまあなまえさんの顔、ぐちゃぐちゃですね」


「は？殺されたいんですか？」


「いえ、可愛らしいと思いまして」


「…………なんなんですか」


「おや、照れましたね」


「ち、違いますけど！？」


「いいですねぇ……なまえさんが羞恥に駆られている姿を見るのは」


「ほんっと趣味悪いですよね」


「でもなまえさんは、そんな趣味の悪い私が好きなんでしょう？」


「……うるさいです」


「それは肯定の返事だと捉えてよさそうですね。私もなまえさんが好きですよ」


「…………」


「なまえさん、照れると黙りますよね」


「……知りませんそんなの！」


「そういうところもたまらなく好きですよ」


「そろそろ本当に調子狂うんで、やめてくれませんか！？」


「おやおや、それは困りますね。なまえさんをからかうのは私の生きがいのひとつなのですが」


「そんなこと生きがいにしないでください！」


「酷いですねなまえさん、私をここまで堕としたのは貴女だというのに」


「そっちが勝手に堕ちてきたんですよね！？勝手なこと言わないでくれませんか！？」


「ちゃんと責任は取ってもらいますよ……ククク……」


「なんで私この人のこと好きなんだろう……」


「…………なまえさん、ちゃんと私のこと好きなんですね」


「えっ、いや、まあ……一応？それなりに優しいし、それなりに、かっこいいと思うし」


「そうですか……私はなまえさんがどうしようもなく好きみたいでしてね。花粉症でぐちゃぐちゃになった顔も全然愛せます」


「やっぱ喧嘩売ってます？」


「辛そうにしているなまえさんを見ると、"そういう行為"の時もこんな表情をするのだろうかと考えてしまいまして」


「…………馬鹿なんですか？」


「なまえさんのことになると馬鹿になるみたいです。正直に言ってしまうと、なまえさんの顔が歪むのは私に関することだけがいい。花粉ごときで顔を歪ませないでほしいです」


「えっ、ええ……？」


「重いですか？でも、それだけの感情がなまえさんに向いているんです。私をここまで堕としたのはなまえさんなんですからね」


「な、なんですか、突然……怖いです」


「_______と、まぁなまえさんの怯えた顔を見ることができましたので。狂気を表に出すのはこれくらいにしておきましょうか」


「え、ええ〜……やっぱり怖いですよ天海先生」


「ククク……しばらくは花粉症のなまえさんを楽しむとします」


「やっぱ喧嘩売ってますよね？」