【毛利元就編】



「つまり嘘なのであろう？あの噂は」


「も、元就さん！話が早くて助かりますっ」


ぶらぶらと歩いていたら、元就さんに出会った。ここまで怒涛の展開が続いているので、もう知り合いと会わない方がいいんじゃないかとさえ思ったけど、元就さんは大丈夫そうだ。


「しかし、何故斯様なことに……我もその彼氏候補とやらに名が挙がっているようだが」


「そ、そうなんですね！？……ん？」


そういえば、半兵衛さんと会った時に！



『君の彼氏候補として、僕以外に何人も名前が挙がっているというのはどういうことなのかな？』



……とかなんとか言われたよね！？も、もしかして"彼氏がいるらしい"という噂から、"彼氏ってこの人じゃない？"の流れになってしまっている可能性がある！？


「あ、あの。元就さんがこの噂について知っていること……全部教えてくれませんか？」


「連日わけのわからぬ連中から、根掘り葉掘り聞かれて困っておる……その煩わしい連中から聞いた話にはなるが」


元就さんの話はこうだった。


まず、噂を広めた張本人は分からない。
そして、私に彼氏がいるらしいという憶測から、彼氏は誰なのかという予想合戦が行われるようになったらしい。


……今はそれがヒートアップしつつあり、私に想いを寄せている人たちが暴走？しているということらしい。



「暴走しておらぬ者など、我くら……ゔっ！？」


「！？ど、どうしたんですか元就さん！？」


「ゔ……やめ……」


元就さんが急に、その場にうずくまった。ちゃんと聞き取れないけど、頭を抱えながら何か言っている。


「ど、どこか痛いんですか！？だ、誰か……っ」

「や、やめ……我は、愛など…………っ」



……愛？



なんか、嫌なフレーズが聞こえたような気が……。



「＿＿＿なまえ！我の愛しいなまえ！」


「こ、これは……っ」


「我が名はサンデー毛利！」


さ……


サンデーさん降臨！！？？？？


「な、なんで突然サンデーさんが！？」


「おーーーっと！これは僕の出番ですか！？」


「そ、宗麟くん！？」


聞き覚えのある声がしたと思ったら、突然宗麟くんが飛び出してきた。い、いつからここにいたの！？


「普段の姿では愛を解放できないのですよ、彼は素直じゃないですからねえ……しかーーし！サンデー毛利となった今、彼は愛に満ち！愛を解放しているのです！」


「な、なるほど！つまり三成くんと同じ暴走パターンということね！」


拗らせて蓄積された想いを、一気に解き放つタイプだ！



……や、厄介！！



「この際なまえも、レッツ！ザビー！！」


「しないからね！？私は……レッツ、エスケープ！！」


……とにかく逃げなきゃ！この人たちから！！