【雑賀孫市編 】


「あぁなまえ、探したぞ。大変なことになっているようだが……」


「うわぁぁぁぁあん孫市先生！！！！」


私は孫市先生に思わず抱きついた！
な、なにこの安心感！孫市先生がすごく輝いて見える！！


「どうしたなまえ。お前がこんな風に抱きつくなんて珍しいが……そういうのは恋人にやってやれ、きっと喜ぶぞ」


「いないからいいんです！……もういっそ孫市先生がなっちゃいます？私の恋人に」


「……本気か？」


「……わりと」


孫市先生、かっこいいし綺麗だし、優しいし。
なってくれるものなら正直なっていただきたいのですが。


「なら、こういうことをされても文句は言わないことだな」


「え？」


孫市先生が私に急接近したと思ったら、顎に手を添えられて……ってこれ、顎クイってやつですか！！？


「え、あの……！？」


「…………」


な、なんでここでお黙りになるんですか！？それにしても孫市先生、近くで見ても綺麗だな……。


……え、ええと。いつまで顎クイされるんでしょうか、私！！


「……フフ、すまないな。少し揶揄っただけだ」


「な、なんなんですかあ……すごいドキドキしちゃったじゃないですか」


「そうか、それはすまなかったな。お前もなかなか可愛かったぞ」


「孫市先生、そういうことほんっとストレートに言いますね！？」


「……？事実を述べただけだが」


「じッ……」


事実ってなんなんですか……！！


「ところで、いつまで抱きついているんだ？私はこのままでも構わないが」


「え……？あっ！！ごめんなさい！離れます離れます！！」


「このままでも構わないと言ったのに……案外照れ屋なんだなお前は」


今日の孫市先生はどうしちゃったんでしょうか。どきどきさせられっぱなしなんですけど！？いや、いつもかっこいいけどさあ！？なんかこう……わ、わかる！？


「あ、あー！！そうだ聞いてくださいよ孫市先生っ！今、私にまつわる大変な噂がですね……」


な、なんとか話を逸らそうとしたんだけど不自然だったかな！？でも、流石にずっとあの感じだと身がもたないし……！！


「あぁ、その話か……私も恋人候補に入れるか？私は構わないぞ」


「ま、孫市先生！！？？」


「フフ……なんてな」


し、心臓に悪すぎる。一枚も二枚も……いや、何枚も上手(うわて)すぎます、孫市先生！！