聖夜のとある恋人たち
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夏が終わったと思ったら急に寒くなって、いつのまにか12月も後半だ。そしてもうすぐクリスマスがやってくる。
サンタさんはもう私のところへやってこないみたいだけど、街の雰囲気が華やぐからこの季節は大好きだ。
「ね、半兵衛さんは好きですか?クリスマス」
隣を歩く半兵衛さんに問いかけてみる。
少なくともクリスマスで浮かれる、なんてことはなさそうな人だけど……。
「どうだろう、考えなこともなかったな……でも浮かれる君を見るのは好きだよ。可愛いから」
「えっ」
な、なんだか予想外の回答をいただいてしまった。いやなにそれ!?なんでそんな急に、直球に口説いてくるんですか!?
「わかりやすくていいね、なまえは」
半兵衛さんは私を見ながら微笑んでいる。
しまった。私の動揺が表に出過ぎていたらしい。
「半兵衛さんは、急にとんでもないことを言うのでよくないです……」
「とんでもないことでもないだろう?それに常日頃伝えているつもりなんだけどな、なまえが可愛いってことは」
半兵衛さんが私をじっと見つめてくる。
可愛い可愛い言いながら見つめてくるの、やめてくれませんか!?恥ずかしいんですけど……!
「なまえはすぐ目を逸らすね。いつになったら慣れてくれるんだい?」
「一生慣れないと思います……!」
「それは困るな」
困ると言いつつも何故かちょっと嬉しそうだ。
この人、私が慌てたり照れてるところ見るの大好きだもんなあ……!
私は半兵衛さんが照れてるところとか、見たことないのに。なんか半兵衛さんだけずるいなあ、いつも余裕で。
……こっちから何か仕掛けたら、そういう顔見れたりする?
そんな考えがふと脳裏をよぎったので半兵衛さんを横目でちらっと見てみる。半兵衛さんは私の視線に気付いたらしく、また私の方を向いて微笑んだ。
だめだ、この人には敵いそうにない。
「あぁ、そうだなまえ。今年のクリスマスイブは日曜日らしいね」
「え?そ、そうですね……?」
「残念ながら学校では会えないね」
「えっ!?い、イブに会えないんですか……?」
クリスマスイブに半兵衛さんと会えない……?
……どうしよう、かなりショックだ。私、勝手にクリスマスイブは半兵衛さんと過ごす気でいたから。
「僕は学校では会えない、と言っただけだよなまえ。だから、当日は学校以外の場所で会えないかと思って」
「え……?」
「生憎、君以外の人と過ごすことは考えていないものでね」
「な、そ、そういう……そういうことですか!?びっくりしたじゃないですか!当日はもう会えないって言ってるのかと」
「僕がそんなこと言うと思うかい?」
「……ごめんなさい半兵衛さん。ちょっとだけ、思いました」
だって、クリスマスとかそういう行事にはあんまり興味ないのかと思って……。
「そうか……僕はそんな風に思われていたのか。なまえにはもっと僕の想いを伝えるべきだね」
「そ、それはもう十分です!」
私がそう伝えると、半兵衛さんは「そうかな?」と言いながら微笑んだ。
*
「……はぁ〜、なんで買っちゃったかなあ」
先日、ふたりでクリスマスイブを過ごす約束をした日。私はその日の夜、とあるものを通販で買ってしまった。
「ていうかまず披露する機会がないって……」
私が現在手にしているのは下着……いや、ランジェリーって言うべき?ちょっと特別な感じのやつだ。
それが今日届いた。届いてしまった。
「イブ当日は何を着ていこうかな」なんて考えて調べて。
そしたらランジェリーの画像が目に止まって色々と見繕って……挙句購入まで果たしてしまった。
半兵衛さん、こういうの好きかな……とか考え始めたら止まらなくなっちゃって。
ていうかそもそも、まだそういうこともしたことないのに。ホント馬鹿だなあ私!
「いや引くでしょ、こんなの着てたらあからさまに……」
無駄な紐が付いてる割に布面積はやや少なめだ。なんだこれ本当に。なんで私こんな大胆なの買ったんだろう!?似合わないとか考えなかったの!?
……これ、当日着る勇気ある?いや着れるわけがない。
「いや、でも……」
半兵衛さんの驚いた顔はちょっと……かなり見たい。
そもそもこれで驚くかどうかすら微妙なところではあるけど。ただ引かれて終わるだけな気もしてきた。
でもせっかく買ったんだし着なきゃもったいないよ、もしかしたら喜んでくれるかもしれないし!可能性は低いかもしれないけど!
……いや、そもそもまだそういう段階に進まない可能性だって大いにあるけどね!?
*
─────あれから数日。
今日はクリスマスイブだ。半兵衛さんとのデートの日。お昼に駅前で待ち合わせるって約束だけど、今日はいつもより人が多い気がするなあ。カップルはもちろん、お友達同士で集まっているであろう人たちや、家族連れも多い。
自分なりに精一杯かわいくしてきたつもりだけど、半兵衛さんは可愛いって言ってくれるかな。なんだか今日は周りの女の子がみんな可愛く見えるから不安になってきた。
色々と考えながら歩いていると、目の前に謎のオブジェが出現した。ここが今日の待ち合わせ場所だ。半兵衛さんはまだ来ていない……かな。ちょっと早かったかな。
「なまえ」
後ろから声がしたので振り返ると、半兵衛さんの声がした。
……ど、どうしよう、なんか今日の半兵衛さんかっこいい。私服なんて何回も見てるはずなのにな。私が浮かれすぎてるのかな。
「は、半兵衛さん……こ、コンニチハ」
めちゃくちゃぎこちない挨拶をしてしまった。
絶対変だと思われた……。
「…………うん」
な、謎の間があった。絶対不審に思われてる……!なんかちょっと疑ったような目で見られている気もするし……。
「今日のなまえ、すごく可愛いね」
「……えっ!?」
今度は大きな声がでてしまった。そ、そんな突然言います……!?で、でも嬉しい!
「いつも可愛いけど、今日は特に」
「よ、よかったです!半兵衛さんにかわいいって言ってもらいたかったから……」
「……可愛いって、いつも言っているのに?」
「今日言われたかったんです!」
「……人前じゃなかったら抱きしめてたよ」
「だっ……!?」
「キスもしたと思う」
「な、なにいってるんですか……」
「今日はまだ始まったばかりだからね、このふたつは最後に取っておこうか」
「は、はい!」
今日、もしかしたらキス以上のこともするかもしれないなんて思っていたけど、どうやらキスが最終着地点らしい。
ほっとしたような、ちょっとだけ残念なような……。
サンタさんはもう私のところへやってこないみたいだけど、街の雰囲気が華やぐからこの季節は大好きだ。
「ね、半兵衛さんは好きですか?クリスマス」
隣を歩く半兵衛さんに問いかけてみる。
少なくともクリスマスで浮かれる、なんてことはなさそうな人だけど……。
「どうだろう、考えなこともなかったな……でも浮かれる君を見るのは好きだよ。可愛いから」
「えっ」
な、なんだか予想外の回答をいただいてしまった。いやなにそれ!?なんでそんな急に、直球に口説いてくるんですか!?
「わかりやすくていいね、なまえは」
半兵衛さんは私を見ながら微笑んでいる。
しまった。私の動揺が表に出過ぎていたらしい。
「半兵衛さんは、急にとんでもないことを言うのでよくないです……」
「とんでもないことでもないだろう?それに常日頃伝えているつもりなんだけどな、なまえが可愛いってことは」
半兵衛さんが私をじっと見つめてくる。
可愛い可愛い言いながら見つめてくるの、やめてくれませんか!?恥ずかしいんですけど……!
「なまえはすぐ目を逸らすね。いつになったら慣れてくれるんだい?」
「一生慣れないと思います……!」
「それは困るな」
困ると言いつつも何故かちょっと嬉しそうだ。
この人、私が慌てたり照れてるところ見るの大好きだもんなあ……!
私は半兵衛さんが照れてるところとか、見たことないのに。なんか半兵衛さんだけずるいなあ、いつも余裕で。
……こっちから何か仕掛けたら、そういう顔見れたりする?
そんな考えがふと脳裏をよぎったので半兵衛さんを横目でちらっと見てみる。半兵衛さんは私の視線に気付いたらしく、また私の方を向いて微笑んだ。
だめだ、この人には敵いそうにない。
「あぁ、そうだなまえ。今年のクリスマスイブは日曜日らしいね」
「え?そ、そうですね……?」
「残念ながら学校では会えないね」
「えっ!?い、イブに会えないんですか……?」
クリスマスイブに半兵衛さんと会えない……?
……どうしよう、かなりショックだ。私、勝手にクリスマスイブは半兵衛さんと過ごす気でいたから。
「僕は学校では会えない、と言っただけだよなまえ。だから、当日は学校以外の場所で会えないかと思って」
「え……?」
「生憎、君以外の人と過ごすことは考えていないものでね」
「な、そ、そういう……そういうことですか!?びっくりしたじゃないですか!当日はもう会えないって言ってるのかと」
「僕がそんなこと言うと思うかい?」
「……ごめんなさい半兵衛さん。ちょっとだけ、思いました」
だって、クリスマスとかそういう行事にはあんまり興味ないのかと思って……。
「そうか……僕はそんな風に思われていたのか。なまえにはもっと僕の想いを伝えるべきだね」
「そ、それはもう十分です!」
私がそう伝えると、半兵衛さんは「そうかな?」と言いながら微笑んだ。
*
「……はぁ〜、なんで買っちゃったかなあ」
先日、ふたりでクリスマスイブを過ごす約束をした日。私はその日の夜、とあるものを通販で買ってしまった。
「ていうかまず披露する機会がないって……」
私が現在手にしているのは下着……いや、ランジェリーって言うべき?ちょっと特別な感じのやつだ。
それが今日届いた。届いてしまった。
「イブ当日は何を着ていこうかな」なんて考えて調べて。
そしたらランジェリーの画像が目に止まって色々と見繕って……挙句購入まで果たしてしまった。
半兵衛さん、こういうの好きかな……とか考え始めたら止まらなくなっちゃって。
ていうかそもそも、まだそういうこともしたことないのに。ホント馬鹿だなあ私!
「いや引くでしょ、こんなの着てたらあからさまに……」
無駄な紐が付いてる割に布面積はやや少なめだ。なんだこれ本当に。なんで私こんな大胆なの買ったんだろう!?似合わないとか考えなかったの!?
……これ、当日着る勇気ある?いや着れるわけがない。
「いや、でも……」
半兵衛さんの驚いた顔はちょっと……かなり見たい。
そもそもこれで驚くかどうかすら微妙なところではあるけど。ただ引かれて終わるだけな気もしてきた。
でもせっかく買ったんだし着なきゃもったいないよ、もしかしたら喜んでくれるかもしれないし!可能性は低いかもしれないけど!
……いや、そもそもまだそういう段階に進まない可能性だって大いにあるけどね!?
*
─────あれから数日。
今日はクリスマスイブだ。半兵衛さんとのデートの日。お昼に駅前で待ち合わせるって約束だけど、今日はいつもより人が多い気がするなあ。カップルはもちろん、お友達同士で集まっているであろう人たちや、家族連れも多い。
自分なりに精一杯かわいくしてきたつもりだけど、半兵衛さんは可愛いって言ってくれるかな。なんだか今日は周りの女の子がみんな可愛く見えるから不安になってきた。
色々と考えながら歩いていると、目の前に謎のオブジェが出現した。ここが今日の待ち合わせ場所だ。半兵衛さんはまだ来ていない……かな。ちょっと早かったかな。
「なまえ」
後ろから声がしたので振り返ると、半兵衛さんの声がした。
……ど、どうしよう、なんか今日の半兵衛さんかっこいい。私服なんて何回も見てるはずなのにな。私が浮かれすぎてるのかな。
「は、半兵衛さん……こ、コンニチハ」
めちゃくちゃぎこちない挨拶をしてしまった。
絶対変だと思われた……。
「…………うん」
な、謎の間があった。絶対不審に思われてる……!なんかちょっと疑ったような目で見られている気もするし……。
「今日のなまえ、すごく可愛いね」
「……えっ!?」
今度は大きな声がでてしまった。そ、そんな突然言います……!?で、でも嬉しい!
「いつも可愛いけど、今日は特に」
「よ、よかったです!半兵衛さんにかわいいって言ってもらいたかったから……」
「……可愛いって、いつも言っているのに?」
「今日言われたかったんです!」
「……人前じゃなかったら抱きしめてたよ」
「だっ……!?」
「キスもしたと思う」
「な、なにいってるんですか……」
「今日はまだ始まったばかりだからね、このふたつは最後に取っておこうか」
「は、はい!」
今日、もしかしたらキス以上のこともするかもしれないなんて思っていたけど、どうやらキスが最終着地点らしい。
ほっとしたような、ちょっとだけ残念なような……。
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