空よりも深き青海の眩しさよ
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【第二話 溺れる人魚】
「た、大変ですぜアニキ!人魚が……人魚がいやした!!」
「……はぁ?」
やたらと野郎共が騒いでいると思ったら、浜辺で変なモンを見つけたらしい。
「人魚だぁ?」
「アニキ……なんすかその目は!」
「もしかしなくても疑ってるでしょ!?」
「あー、なんだ?でっけえ魚でも打ち上げられてたってか?」
「あーもう!とにかくアニキも来てくだせえ!!」
「なっ……お、オイ!」
*
「あれあれ!あれですぜアニキィ!」
「あぁ?」
野郎共が指差す場所を見ると、確かに浜辺に女が倒れていた。
時々押し寄せる波に呑まれかけているにもかかわらず、びくとも動かない。
「あれ絶対人魚っすよねえ!?めちゃくちゃ美人だし……なんかキラキラしてんのは鱗っすかね!?」
「俺、人魚って初めて見たわ……」
「いや、当たり前だろ。普通初めてだわ」
確かにところどころ日光に反射して光っている。でもあれは─────
「馬鹿野郎!ありゃあ人魚じゃねえ人間だ!」
「「「ええっ!?」」」
「よく見てみろ!反射してんのは服の装飾だ。それに脚もちゃんとあんだろうがッ」
「ほ、ほんとだ……」
「ってことはアニキ!助けなきゃマズくないですか!?」
「んなの当たり前だろうが!」
*
俺たちはひとまず、波が来ないところまで女を運んだ。
「……意識は失ってるみてぇだが、命までは失くしてねえみたいだな」
「怪我もしてなさそうですが……ど、どうしやしょうかアニキぃ……」
脈を測るために女の手首付近を触ると、かなり身体が冷えていることが分かった。
こいつ、一体どれだけの時間漂流してたんだ?
それに纏っている衣は農民のそれじゃあねえ。いいトコのお嬢さん……まさかどっかの姫なんてこたぁねえだろうな……?
「……ん?ここは……?」
「あ、アニキィ!人魚が目ェ覚ましましたぜ!」
「な……え?人魚……?」
「目覚めて早々に混乱させるようなこと言うんじゃねえ!……あぁ、あんた具合は大丈夫か?」
女はゆっくりと体を起こすと、俺たちの顔を交互に見た。
「もしかして、助けてくださったんですか?」
「ああ、一番最初に見つけたのはこの俺だ」
「はぁ!?バカ言え俺が最初だろうがッ」
「な〜に言ってんだお前ら!一番はこの俺様だっただろうが!」
「えぇと……あ、あの……」
女が見るからに困っている。ったくこれだから野郎共は……!
「ゴチャゴチャうるせえぞ野郎共!こいつも困ってんだろうが!」
「「「すいやせんアニキィ!」」」
*
「─────で、あんたはその……ここには流されてきたんだよな?」
野郎共のせいで色々と脱線したが、とりあえず女から話を聞くことにした。
「……そう、ですね。そういうことになりますよね」
「あんた仲間はいるのか?誰かとはぐれたとかそういうのは?」
「仲間は……いないです」
仲間、という単語に反応したような気がしたのは気のせいか?
「私、ちょっと事情があってひとりで逃げていたんです。逃げる途中で、海に飛び込むしかくなって、それで……」
「つまり、のっぴきならねぇ事情があるってことだな?」
「は、はい……」
「行くとこがねぇなら来るか?俺ンとこ」
「た、大変ですぜアニキ!人魚が……人魚がいやした!!」
「……はぁ?」
やたらと野郎共が騒いでいると思ったら、浜辺で変なモンを見つけたらしい。
「人魚だぁ?」
「アニキ……なんすかその目は!」
「もしかしなくても疑ってるでしょ!?」
「あー、なんだ?でっけえ魚でも打ち上げられてたってか?」
「あーもう!とにかくアニキも来てくだせえ!!」
「なっ……お、オイ!」
*
「あれあれ!あれですぜアニキィ!」
「あぁ?」
野郎共が指差す場所を見ると、確かに浜辺に女が倒れていた。
時々押し寄せる波に呑まれかけているにもかかわらず、びくとも動かない。
「あれ絶対人魚っすよねえ!?めちゃくちゃ美人だし……なんかキラキラしてんのは鱗っすかね!?」
「俺、人魚って初めて見たわ……」
「いや、当たり前だろ。普通初めてだわ」
確かにところどころ日光に反射して光っている。でもあれは─────
「馬鹿野郎!ありゃあ人魚じゃねえ人間だ!」
「「「ええっ!?」」」
「よく見てみろ!反射してんのは服の装飾だ。それに脚もちゃんとあんだろうがッ」
「ほ、ほんとだ……」
「ってことはアニキ!助けなきゃマズくないですか!?」
「んなの当たり前だろうが!」
*
俺たちはひとまず、波が来ないところまで女を運んだ。
「……意識は失ってるみてぇだが、命までは失くしてねえみたいだな」
「怪我もしてなさそうですが……ど、どうしやしょうかアニキぃ……」
脈を測るために女の手首付近を触ると、かなり身体が冷えていることが分かった。
こいつ、一体どれだけの時間漂流してたんだ?
それに纏っている衣は農民のそれじゃあねえ。いいトコのお嬢さん……まさかどっかの姫なんてこたぁねえだろうな……?
「……ん?ここは……?」
「あ、アニキィ!人魚が目ェ覚ましましたぜ!」
「な……え?人魚……?」
「目覚めて早々に混乱させるようなこと言うんじゃねえ!……あぁ、あんた具合は大丈夫か?」
女はゆっくりと体を起こすと、俺たちの顔を交互に見た。
「もしかして、助けてくださったんですか?」
「ああ、一番最初に見つけたのはこの俺だ」
「はぁ!?バカ言え俺が最初だろうがッ」
「な〜に言ってんだお前ら!一番はこの俺様だっただろうが!」
「えぇと……あ、あの……」
女が見るからに困っている。ったくこれだから野郎共は……!
「ゴチャゴチャうるせえぞ野郎共!こいつも困ってんだろうが!」
「「「すいやせんアニキィ!」」」
*
「─────で、あんたはその……ここには流されてきたんだよな?」
野郎共のせいで色々と脱線したが、とりあえず女から話を聞くことにした。
「……そう、ですね。そういうことになりますよね」
「あんた仲間はいるのか?誰かとはぐれたとかそういうのは?」
「仲間は……いないです」
仲間、という単語に反応したような気がしたのは気のせいか?
「私、ちょっと事情があってひとりで逃げていたんです。逃げる途中で、海に飛び込むしかくなって、それで……」
「つまり、のっぴきならねぇ事情があるってことだな?」
「は、はい……」
「行くとこがねぇなら来るか?俺ンとこ」
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