名残の空は初春を告げて
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「……一人って、こんなに寂しいものだったっけ?」
年末恒例の歌番組を見ながら、映像の華々しさと自身の孤独さを比較して思わず呟いた。
「一人で年越すのか〜……いや仕方ないけど!」
いや、本当は実家へ帰省する予定だったのだ。帰省直前に家族から「ほぼ全員がインフルエンザになりました」と連絡があるまでは……!
まあ、実家は新幹線に乗れば数時間で帰れる距離なので帰れる時に帰ろう。
……左近くんもきっと今は忙しいだろう。志望校に合格するために、最近はずっと猛勉強していると言っていたし。
「電話……は迷惑だろうし、メッセージ……も迷惑になるのかな」
今はきっと『佳境』というやつなのだ。私が水を差しちゃいけない。
……でも、ねぎらいの言葉くらいは送ってもいいかな?年末年始の挨拶も兼ねたメッセージくらいならいいよね?返信不要だからねって書いて……そんなことを言っても、左近くんはきっと何か返事をくれるだろうけど。
「返信不要です 忙しいだろうけど年末年始ひとりで暇だからメッセージだけ送らせてね……っと」
私はスーパーで買った割引のお惣菜をつまみつつ、送信する文章を作成した。
とりあえず私は元気に過ごしていること、お互いに暇になったら会いたいねということ、受験勉強は大変だろうけど応援してるねということ……ここまで書いただけでも、思ったより長いメッセージになってしまった。
「恋人同士だったら、文末に好きだよとか書けるのかな……」
いやいやいや、何言ってんだ私は。そんなことを書いて送信したら迷惑極まりないに決まっている。
「す…………え?」
長文メッセージのあとに「す」という文字だけが送信されている。え、間違えた?
「え」
しかも気のせいでなければ『既読』表示になっている気がする。
「え、早っ、ちょ、えっ」
お、落ち着け私!別に好きって送ったわけじゃない。送りかけただけであって、別にこれだけ見たら単なる誤送信で……!
「うわっ!?」
スマホが震えたかと思えば〈着信〉の文字が見えた。
「い、いやいやいや……」
大丈夫、大丈夫だ。間違えただけと、誤送信だと弁明すればいいだけなのだから。
ていうか聞かれないかもしれないし。そもそもそんなこと聞かれないかもしれないし!
『あ、あぁ左近くん?どうしたのいきなり電話なんて』
『なまえさんから連絡あったのすげー嬉しくて!ところで最後のす、ってなんなんすか?』
『え』
……なんてことだ。いきなり急所を突かれてしまった。
『な、なんだこれー?途中で送っちゃったのかなー?』
『うわすっげー棒読み!』
『そ、そんなことないよ!?えー、なに送ろうとしたんだっけな〜』
『もしかして……好き、とか!?』
『…………え』
『……あれ?なまえさん?』
『……そ、そんなわけ!』
……最悪だ、なんだこの間は。
まるで図星みたいじゃないのこんなの!
『え、好きじゃない……すか?』
『そ、そんなことない!好き!』
『…………マジ?』
左近くんの驚いたような声音で気づいた。
私はどさくさに紛れてとんでもないことを言ったらしい。
『いや、違っ…………ごめん、切っていい?』
『は!?いやよくない!全然よくないですけど!?』
『こっちがよくないの!なんか変なこと言った!ごめん!気にしないで!』
『いやこっちとしてはめちゃめちゃ気にしたいんすけど』
『あ、あー!もうおやすみ!』
無理やり会話を終わらせて通話終了の表示をタップする。おやすみ、というには早すぎる気もするけど仕方ない。
……次会う時、どんな顔して会えばいいんだろう。これじゃしばらく連絡もできそうにない。
「こんなの、どうしたらいいの……」
思わず放心状態でベッドに沈んでゆく。
テレビから流れてくる音楽はまったく耳に入らなかった。
*
どうやら私はあの通話の直後から今まで寝ていたらしい。時計は11時を回っている。
「ふて寝して年越し寸前ってどうなのよ……」
大晦日にふて寝だなんて、なんだか損をした気分だ。それに左近くんに勢いとはいえ好きって……。
「あ〜〜〜……」
なんか他にもっとあっただろ!なんか……なんかいい感じの言い訳あったでしょ!?
〈〜♪〉
部屋に着信音が鳴り響く。
ま、まさか左近くんなんてこと……。
〈着信 島左近〉
左近くんだ……!!!
な、なんでこんな時間を置いて電話を?
あ、もしかして私今からフラれる?きっと丁重にお断りされた上で……ど、どうなるのこれから?
『も、もしもし……』
無視するわけにもいかず、とりあえず電話に出る。
『よかった、なまえさん電話出てくれた……あ!すんませんこんな時間に!』
『う、うん、どうしたの?』
『あの、今なまえさんちの最寄り来てるんですけど……なまえさん、今どこにいます?』
『うん、最寄り……最寄り?』
『なまえさんに会いたくなって新幹線飛び乗っちゃって』
『新幹線飛び乗ったって……き、来たの!?こっちに!?』
『……ハイ』
きゅ、急展開すぎる。左近くんがこっちに来てる?どういうこと?
『と、とりあえず私が駅行くよ!今家にいるから』
『えっ、いやこんな時間に一人で歩くのキケンじゃん!?俺がそっち行くんで、住所教えてもらってもいい……すか?マップ頼りに行くんで』
『そ、そんな……でも』
『俺、なまえさんと会うまでは帰らないんで』
『……わかった。気をつけて来てね』
ああどうしよう。なんか今、覚悟きまってる声音だったな。やっぱりフラれるのかな私?
年末恒例の歌番組を見ながら、映像の華々しさと自身の孤独さを比較して思わず呟いた。
「一人で年越すのか〜……いや仕方ないけど!」
いや、本当は実家へ帰省する予定だったのだ。帰省直前に家族から「ほぼ全員がインフルエンザになりました」と連絡があるまでは……!
まあ、実家は新幹線に乗れば数時間で帰れる距離なので帰れる時に帰ろう。
……左近くんもきっと今は忙しいだろう。志望校に合格するために、最近はずっと猛勉強していると言っていたし。
「電話……は迷惑だろうし、メッセージ……も迷惑になるのかな」
今はきっと『佳境』というやつなのだ。私が水を差しちゃいけない。
……でも、ねぎらいの言葉くらいは送ってもいいかな?年末年始の挨拶も兼ねたメッセージくらいならいいよね?返信不要だからねって書いて……そんなことを言っても、左近くんはきっと何か返事をくれるだろうけど。
「返信不要です 忙しいだろうけど年末年始ひとりで暇だからメッセージだけ送らせてね……っと」
私はスーパーで買った割引のお惣菜をつまみつつ、送信する文章を作成した。
とりあえず私は元気に過ごしていること、お互いに暇になったら会いたいねということ、受験勉強は大変だろうけど応援してるねということ……ここまで書いただけでも、思ったより長いメッセージになってしまった。
「恋人同士だったら、文末に好きだよとか書けるのかな……」
いやいやいや、何言ってんだ私は。そんなことを書いて送信したら迷惑極まりないに決まっている。
「す…………え?」
長文メッセージのあとに「す」という文字だけが送信されている。え、間違えた?
「え」
しかも気のせいでなければ『既読』表示になっている気がする。
「え、早っ、ちょ、えっ」
お、落ち着け私!別に好きって送ったわけじゃない。送りかけただけであって、別にこれだけ見たら単なる誤送信で……!
「うわっ!?」
スマホが震えたかと思えば〈着信〉の文字が見えた。
「い、いやいやいや……」
大丈夫、大丈夫だ。間違えただけと、誤送信だと弁明すればいいだけなのだから。
ていうか聞かれないかもしれないし。そもそもそんなこと聞かれないかもしれないし!
『あ、あぁ左近くん?どうしたのいきなり電話なんて』
『なまえさんから連絡あったのすげー嬉しくて!ところで最後のす、ってなんなんすか?』
『え』
……なんてことだ。いきなり急所を突かれてしまった。
『な、なんだこれー?途中で送っちゃったのかなー?』
『うわすっげー棒読み!』
『そ、そんなことないよ!?えー、なに送ろうとしたんだっけな〜』
『もしかして……好き、とか!?』
『…………え』
『……あれ?なまえさん?』
『……そ、そんなわけ!』
……最悪だ、なんだこの間は。
まるで図星みたいじゃないのこんなの!
『え、好きじゃない……すか?』
『そ、そんなことない!好き!』
『…………マジ?』
左近くんの驚いたような声音で気づいた。
私はどさくさに紛れてとんでもないことを言ったらしい。
『いや、違っ…………ごめん、切っていい?』
『は!?いやよくない!全然よくないですけど!?』
『こっちがよくないの!なんか変なこと言った!ごめん!気にしないで!』
『いやこっちとしてはめちゃめちゃ気にしたいんすけど』
『あ、あー!もうおやすみ!』
無理やり会話を終わらせて通話終了の表示をタップする。おやすみ、というには早すぎる気もするけど仕方ない。
……次会う時、どんな顔して会えばいいんだろう。これじゃしばらく連絡もできそうにない。
「こんなの、どうしたらいいの……」
思わず放心状態でベッドに沈んでゆく。
テレビから流れてくる音楽はまったく耳に入らなかった。
*
どうやら私はあの通話の直後から今まで寝ていたらしい。時計は11時を回っている。
「ふて寝して年越し寸前ってどうなのよ……」
大晦日にふて寝だなんて、なんだか損をした気分だ。それに左近くんに勢いとはいえ好きって……。
「あ〜〜〜……」
なんか他にもっとあっただろ!なんか……なんかいい感じの言い訳あったでしょ!?
〈〜♪〉
部屋に着信音が鳴り響く。
ま、まさか左近くんなんてこと……。
〈着信 島左近〉
左近くんだ……!!!
な、なんでこんな時間を置いて電話を?
あ、もしかして私今からフラれる?きっと丁重にお断りされた上で……ど、どうなるのこれから?
『も、もしもし……』
無視するわけにもいかず、とりあえず電話に出る。
『よかった、なまえさん電話出てくれた……あ!すんませんこんな時間に!』
『う、うん、どうしたの?』
『あの、今なまえさんちの最寄り来てるんですけど……なまえさん、今どこにいます?』
『うん、最寄り……最寄り?』
『なまえさんに会いたくなって新幹線飛び乗っちゃって』
『新幹線飛び乗ったって……き、来たの!?こっちに!?』
『……ハイ』
きゅ、急展開すぎる。左近くんがこっちに来てる?どういうこと?
『と、とりあえず私が駅行くよ!今家にいるから』
『えっ、いやこんな時間に一人で歩くのキケンじゃん!?俺がそっち行くんで、住所教えてもらってもいい……すか?マップ頼りに行くんで』
『そ、そんな……でも』
『俺、なまえさんと会うまでは帰らないんで』
『……わかった。気をつけて来てね』
ああどうしよう。なんか今、覚悟きまってる声音だったな。やっぱりフラれるのかな私?
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