紡ぎ
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あれからマツバさんはお昼に来たり、夕方に来たりするようになった。
火曜日なんて朝から夕方まで。
私のゲンガーは、彼が来ると=彼のゲンガーも来るから、お客様に呼ばれなければ彼のゲンガーと楽しそうにお喋りをする。
見ているこちらも微笑ましい。
さて、今日は火曜日だ。
彼女はまだかまだかと、入口を見つめている。
そんな毎日来ないよ。と最初の頃は言ってたが、彼女は約束したの!と言わんばかりにぷくぅっと頬を膨らます。
しばらくすると彼はゲンガーと一緒にこんにちはと言いながら来てくれるから、申し訳ない気持ちとなかなか友好関係が築けないのが悩みの彼女の相手をしてくれるからをありがたい。
「こんにちは。」
〔ゲゲゲゲッ〕
『マツバさん、いらっしゃいませ。中にどうぞ。』
〔ゲンゲ〜〕
「ありがとう。あ、今日はスズコさんがわらび餅持たせてくれたから後で食べよう」
『本当ですか?いつもありがとうございます。』
彼が来る時はいつも何かしら手土産として持って来てくれる。
大体はあの常連のイタコさん達が持たせてくれるらしいが、ジムリーダー会議で遠出した時は必ず持って来てくれる。
初めは申し訳ないと言っていたが、「この街のお年寄りはみんな君が来てから助かっているし、孫のようだと喜んでいるんだ。それに僕もここが落ち着くからさ。」と言いながら私の手に袋を渡してくるもんだから断れなくなってしまった。
私もマツバさんが来るようになってから、話をするのが楽しいと感じるのは事実だ。
なかなか人と会話するのが苦手なのもあるが、克服出来ずに困っていた。
彼の雰囲気はガラルのジムリーダーみたいにガンガンくるような感じで無ければ、シンオウのジムリーダーみたいになかなか感情を出さないような人物ではない、穏やかな感じだから話しやすいのだろう。
ジムリーダーをしている彼はジョウトの中でも人気らしく、普通の席に通すのは彼も落ち着かないだろうと思い、カウンター横の休憩スペースに案内している。
『今日は暑いですね…マツバさん、暑くないですか?』
「ボクは大丈夫だよ。それにゲンガーが近くにいるから過ごしやすいかな…。」
『確かに。近くにいると5度くらい冷えると言いますしね。』
「そうだね。そう言えば…―」
スズねのこみちは紅葉が色づいて来た。
夏祭りがそろそろ
あそこの町の和菓子はー
彼の声は心地よく時間の経過を忘れてしまう。
この声聞こえない時間が寂しいと感じるようになるのはもう少し先の話。