旅の果て
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
時計の針が13時30分を指した。
『ヨネコさん、どうしたのかしら……』
〔エルフーン…?〕
〔バウウ??〕
何時もならお昼頃に取りに来るヨネコさんが来ない。
前に届けましょうか?と聞くと、「ここまで歩くの食後のお散歩になってええから大丈夫よぉ」と返されてからこちらから行くことは無かった。
(はて、どうしましょうか……)
午前は14時から14時50分まで休憩に入るが、午後に来るのだろうか。と、奥の方でポケモンのお昼はどうしようかと悩んでいると
「すみません、お店の方いますか?」
なかなか聞かない男性の声がした。
知り合いと同じくらいの年代だろうかと思いながら
「はーい、少々お待ちください。」と言いながら、カウンターに向かった。
するとそこに居たのは20代半ばくらいの男性だった。
黒と紫を基調とした服装に柔らかそうな金髪に紫色のバンダナをした、優しげなタレ目な男性だった。
何処がで見たような…。
一瞬記憶を辿ろうとしたが、それより接客しなくてはならないと切り替えた。
『いらっしゃいませ。初めての方ですね…?漢方と食事どちらが希望でしょうか?』
「やぁ、君が店の人かな?ここには初めて来たけど実は、ヨネコさんの代わりに来たんだ。」
彼の口からどうしたのかと心配していた人物の名前が出て、思わず目が開いた。
『ヨネコさんの…?あ、あの…ヨネコさん…どうかされましたか……?』
そう聞くと彼は苦笑いしながら、今日はトレーナーが多くて…と言った。
「本当はいつもの時間に行く予定だったけど、今日は何時もよりチャレンジャーが多くてね。」
「ウメコさんやヨネコさん辺りまで来たのが数人居たから疲れてしまったみたいだから、ボクが代わりにと来たんだ。」
彼女達は強いからボクの所まで来なかったんだけどね。と残念そうにしていた。
(そうか、彼はエンジュのジムリーダーか…)
さっきまでの疑問も晴れ、ほっと息をついた。
『お怪我されたのではないかと心配していましたが、安心しました…。』
『ただいま準備しますので、そこの椅子におかげになって少々お待ちください。』
「うん、ありがとう。」
彼は私が指指した椅子に座った。
ジムとは反対にあるこの店に来たので疲れただろうと思い、ゲンガーに冷蔵庫のお茶を出すようにとお願いすると、わかった…!とすすっと調理場に行った。
『確か前にヨネコさんはジムトレーナーをしてると言ってましたが、ジム大変そうですね。』
「今月は多いかな…紅葉も綺麗に色づいてるし、観光を兼ねてタイミング合わせるトレーナーも割といるからね。」
薬を袋に詰めながら、そういえば最近見たことない人が多かったなと思った。
〔ゲンゲ〜〕
ひんやりとしたお茶をお盆に乗せながらゲンガーが戻って来た。
『オボンの木の葉とオレンの皮を緑茶の茶葉にブレンドしたものです。』
よかったら、1杯飲んで休憩してください。と言うと彼はありがとうと言って受け取った。
「彼女、大人しい子だね。普通の子はやんちゃなのに」
『あの子はゴースの頃から人見知り激しくて…進化と共に成長して、今は良く手伝ってくれるんですよ。』
「へぇー、ボクもゲンガーはパーティにいるけどやんちゃでね。良くイタズラされるよ。」
ゲンガーにありがとうと彼が頭を撫でると、彼女はしばらくぴょこぴょこしてから、空いた机の片付けに向かった。
『お待たせしました。こちらが予約されていた物です。』
「ありがとう。お茶ご馳走様、美味しかったよ。」
『いえ、よかったらまた来てください。』
「うん、今度はオフの日に来させてもらうよ。」
『はい、お待ちしてます。』
彼は袋を受け取り、入口に歩いた。
安心して、また裏に戻ろうかと思っていると彼は「あっ」と言いながらこちらに戻って来た。
『どうしました?』
「君の名前を聞いてなかったって思って。」
『そういえば、私もお姿を街で見かけることはありましたが、お名前は聞いてませんでした。』
「じゃあ、自己紹介するね。ボクはエンジュシティのジムリーダーのマツバ。ゴーストタイプのジムさ。」
『私はアリスです。ここで漢方堂 紅葉を経営しています。薬膳料理が中心ですが、スイーツも提供してますので是非』
彼は、また来るね。とお店を出た。
『マツバさん…か……ゲンガーが手持ちに居るみたいだし、友達できるね。』
〔ゲ〜ンゲ〜〕
今まで他のゲンガーと合わせてなかったからか、”友達”と聞いて彼女は嬉しそうに笑った。