人を想って想われて。そういうのが幸せなんだろうと常々思う。
今は航海中。俺は島に着いた為に1人で寂しくお留守番中だ。…いや、言い方気持ち悪いか。自覚はある。
ルフィが目をキラキラさせて船を降りてから小一時間。戻ってこないことを考えるとまだ問題は起こしてないらしい。あくまでも、まだ…だ。この先は分からない。…ルフィの考えが分かった試しがないんだけど。根本的なものしか分からない。

ふぅ。サンジに貰った煙草（タバコ）を燻（くゆ）らせる。｢いるか？｣なんて簡単に言われて、たまにはいいかなって手を出したのが間違いだった。
お陰で何か感傷的になってるし…いや、アイツが煙草吸ってたのって随分前か。
自分で自分の考えに気づき苦笑する。とりあえず、1人はダメだ。考えが堂々巡りする。
ーー思えばこんな空だった。なんて懲りずに思い出す。
初めて見た青空は青くて、広くて。世界にこんなものがあったのかって呑気に思ったな。…いや、知ってはいたけど。本とか読んでたし。でも、本物って違うだろ？だから感動、みたいなのもあって…でも当然、ソレを知られたくなくて。強がってた俺の｢なんだ、たいしたことないじゃん｣って言葉に、妙に楽しそうに笑ったアイツが…優しく頭を撫でてくれて。言葉ではなく、行動で｢わかっている｣と答えてくれた。それが妙に気恥ずかしくて…いや、思い出しても恥ずかしい。昔はウブだった、うん。ちなみに今なら殴り倒す。簡単だから。嬉しいって気持ちは、昔みたいに素直に言葉にはならないな。


空を見上げて思い出す
あの日出会った君を
初めましての鮮烈な印象
今もきちんと覚えている

｢ーー願わくば、君が幸せでありますように｣
この世の何処かで、誰かとーー
無意識に口ずさんだ歌に苦笑してその場に座る。
｢夢の中ならーー｣
きっと、素直になれるから