第一章 ー232話〜263話ー ウォーターセブン編
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「男同士の決闘なら、俺は関われない」
ルフィにそう伝えると彼は納得してくれる。高い所に座ってアレコレ言われたくないだろうし、ルフィはともかく他の連中はそんな自分の姿は見られたくないだろう。それが分かっているから街へと歩き出す。
夜遅いからほとんどの店は閉まってるけど、幸い飲み屋は空いている。だとしたらそこに行こうか…と足を向けた瞬間だった。今まで希薄だった気配が一気に強くなり、背後へと現れる男…思わずスクリと笑ってしまう。
「ーー邪魔はしてくれるな」
「邪魔?それはどっちの話だよ。俺は昔から彼の味方だ。ニコ・ロビンに関わるならそれは出来ないだろ」
後ろを振り返る必要は無い。どちらが強いかなんて、あちらさんの方が心得てる。間違っても戦いを仕掛けられることはない。…まぁ、通常なら、だけども。
「ロブ・ルッチ、だっけ?アレを造船所で見掛けた。どうせならもうちょい無名どころを投入すべきだったな。配役ミスだ。気付いてるやつは気付いてる。…最も、他の役者にゃちと荷が重いが」
「お前が相手だと分かっていたら、海軍本部でも投入したんだけどな」
「あー、一応手出しする気はねぇからな。そっちのやり方とか、気分によっては分からないが」
「流石、あの男の子だーー」
「ーー殺すぜ?」
世間話なら構わないが、父親の事まで言われれば黙っている気は無い。俺がこの世で1番嫌いな男…アレと同列に考えられることすら屈辱だ。
本気で殺気を飛ばした瞬間男は消える。どうやら危機管理能力は高いのだろう。
…酒を飲む気分でもなくなった。早々に船に戻るか…宿でも取るか。いや、別に休める所を探さなくてもいいのか。
夜の散歩を開始して。夜中に船へと戻るとそこに居たゾロに船を降りたことを告げられた。
「だから、ルフィが悪いんだろ?言いたくないこと誤魔化した。言わなきゃいけないことはあるだろうに…」
「ちょっと、ルフィだけの責任じゃないでしょ!何言ってんのよ!」
ナミの言ってるのは事実だ。だけど、責められれば楽になる部分があるのは分かっていた。男の決闘に対して口を挟むのは俺の流儀には反する。
生きた死体のようになった一味を見て息を吐く。分かってる。その重みも、何もかも。だけどそれを、無かったことに出来ないし…しては、いけない。
宿屋の屋上で過ごす彼らに苦笑してその場に腰をおろす。俺は場違いだ。間違いなく、今は。
「ここに居たのか」
「折角宿とったのに部屋に誰もいねぇ。みんな揃って眠れてねぇんだろ。ーールフィは?」
「あそこ」
心配したサンジの様子に無表情のチョッパーが答える。指さした先にはルフィの姿。……普段の彼を知っていたら、心を痛めるか見たことを疑うか。俺はと言えば、彼のそういう部分を知っているからこそ何も言えなかった。
「サンジ、どこ行ってたんだ?」
「夜中中岩場の岬を見張ってた。ロビンちゃんが帰って来やしないかと思ってよ」
「うん…」
沈むチョッパーの声に目を見やる。そして再度思うのはサンジの状況把握能力の高さだ。彼は女の子の為なら、きっと自分を殺していける。騎士道と言うが…実際に行動に移すということは生易しいものではない。
「どこ行ったんだろうな。…何も言わずに」
ふぅ。と煙草を吹かすサンジは低い声で呟く。まるで空気のようでも、独り言のようでもある。答えを求めていない事だけは確かだろう。一方の俺はと言うと…まだ、自分の行動を決めかねていた。この先が分かっていて尚悩む、のは…きっと彼らと居たいからだ。
「ーーこの島に着いてから、悪いことばっかりだ。お金盗られて、ウソップともあんな事になるなんて…ウソップ、あんな酷い怪我してるのに。ーー今頃は、熱出して動けないでいるに違いないんだ」
「チョッパー。もう言うな、アイツのことは」
ゾロの、妙に低い声に納得する。確かに今のルフィにとって、その話題は地雷だろう。ウソップを知らない以上、俺が何を言っても説得力はない。何故もっと早く合流出来なかったのか…少しだけ後悔する。
「……今日は、街ん中を探し回ってみようと思う」
「見つかるかな、ロビン」
「さぁな。これといって当てがある訳じゃねぇが…とにかく、この街のどこかにいるのは確かだろ。もし何かあっても、この宿を落合場所にしとこう」
「俺も行くぞ、探しに」
「そうか。よしーー」
「ーールフィ!!」
「ナミさん」
「大変なの。今街中、この話で持ち切りで…ルフィ
昨日の夜造船場のアイスバーグさんが!!」
ナミの話だと、どうやらアイスバーグが襲撃されたらしい。今は意識不明の昏睡状態であるが…気が付くのも時間の問題だろう。
なるほど、政府が狙ってたのはコレか…。それなら、ロビンを味方につけた意味も分かる。
未来を知ってる、ものの。その情報を今に結び付けられない自分に苦笑する。結局自分は部外者だ。けれどそれで諦めたくはない。
抵抗、葛藤、感情。そのどれもが初めてで、対処方法すら分からない。…兄貴なら、もっと上手くやれるだろうか…。
「ーーそっちは俺が行く。だから、お前らは…」
元気を出せとは言えない。だけど本音の話だ。言葉に出来ない声は、通じるのだろうか…。
空を見上げると思わず息を吐いていた。
ルフィにそう伝えると彼は納得してくれる。高い所に座ってアレコレ言われたくないだろうし、ルフィはともかく他の連中はそんな自分の姿は見られたくないだろう。それが分かっているから街へと歩き出す。
夜遅いからほとんどの店は閉まってるけど、幸い飲み屋は空いている。だとしたらそこに行こうか…と足を向けた瞬間だった。今まで希薄だった気配が一気に強くなり、背後へと現れる男…思わずスクリと笑ってしまう。
「ーー邪魔はしてくれるな」
「邪魔?それはどっちの話だよ。俺は昔から彼の味方だ。ニコ・ロビンに関わるならそれは出来ないだろ」
後ろを振り返る必要は無い。どちらが強いかなんて、あちらさんの方が心得てる。間違っても戦いを仕掛けられることはない。…まぁ、通常なら、だけども。
「ロブ・ルッチ、だっけ?アレを造船所で見掛けた。どうせならもうちょい無名どころを投入すべきだったな。配役ミスだ。気付いてるやつは気付いてる。…最も、他の役者にゃちと荷が重いが」
「お前が相手だと分かっていたら、海軍本部でも投入したんだけどな」
「あー、一応手出しする気はねぇからな。そっちのやり方とか、気分によっては分からないが」
「流石、あの男の子だーー」
「ーー殺すぜ?」
世間話なら構わないが、父親の事まで言われれば黙っている気は無い。俺がこの世で1番嫌いな男…アレと同列に考えられることすら屈辱だ。
本気で殺気を飛ばした瞬間男は消える。どうやら危機管理能力は高いのだろう。
…酒を飲む気分でもなくなった。早々に船に戻るか…宿でも取るか。いや、別に休める所を探さなくてもいいのか。
夜の散歩を開始して。夜中に船へと戻るとそこに居たゾロに船を降りたことを告げられた。
「だから、ルフィが悪いんだろ?言いたくないこと誤魔化した。言わなきゃいけないことはあるだろうに…」
「ちょっと、ルフィだけの責任じゃないでしょ!何言ってんのよ!」
ナミの言ってるのは事実だ。だけど、責められれば楽になる部分があるのは分かっていた。男の決闘に対して口を挟むのは俺の流儀には反する。
生きた死体のようになった一味を見て息を吐く。分かってる。その重みも、何もかも。だけどそれを、無かったことに出来ないし…しては、いけない。
宿屋の屋上で過ごす彼らに苦笑してその場に腰をおろす。俺は場違いだ。間違いなく、今は。
「ここに居たのか」
「折角宿とったのに部屋に誰もいねぇ。みんな揃って眠れてねぇんだろ。ーールフィは?」
「あそこ」
心配したサンジの様子に無表情のチョッパーが答える。指さした先にはルフィの姿。……普段の彼を知っていたら、心を痛めるか見たことを疑うか。俺はと言えば、彼のそういう部分を知っているからこそ何も言えなかった。
「サンジ、どこ行ってたんだ?」
「夜中中岩場の岬を見張ってた。ロビンちゃんが帰って来やしないかと思ってよ」
「うん…」
沈むチョッパーの声に目を見やる。そして再度思うのはサンジの状況把握能力の高さだ。彼は女の子の為なら、きっと自分を殺していける。騎士道と言うが…実際に行動に移すということは生易しいものではない。
「どこ行ったんだろうな。…何も言わずに」
ふぅ。と煙草を吹かすサンジは低い声で呟く。まるで空気のようでも、独り言のようでもある。答えを求めていない事だけは確かだろう。一方の俺はと言うと…まだ、自分の行動を決めかねていた。この先が分かっていて尚悩む、のは…きっと彼らと居たいからだ。
「ーーこの島に着いてから、悪いことばっかりだ。お金盗られて、ウソップともあんな事になるなんて…ウソップ、あんな酷い怪我してるのに。ーー今頃は、熱出して動けないでいるに違いないんだ」
「チョッパー。もう言うな、アイツのことは」
ゾロの、妙に低い声に納得する。確かに今のルフィにとって、その話題は地雷だろう。ウソップを知らない以上、俺が何を言っても説得力はない。何故もっと早く合流出来なかったのか…少しだけ後悔する。
「……今日は、街ん中を探し回ってみようと思う」
「見つかるかな、ロビン」
「さぁな。これといって当てがある訳じゃねぇが…とにかく、この街のどこかにいるのは確かだろ。もし何かあっても、この宿を落合場所にしとこう」
「俺も行くぞ、探しに」
「そうか。よしーー」
「ーールフィ!!」
「ナミさん」
「大変なの。今街中、この話で持ち切りで…ルフィ
昨日の夜造船場のアイスバーグさんが!!」
ナミの話だと、どうやらアイスバーグが襲撃されたらしい。今は意識不明の昏睡状態であるが…気が付くのも時間の問題だろう。
なるほど、政府が狙ってたのはコレか…。それなら、ロビンを味方につけた意味も分かる。
未来を知ってる、ものの。その情報を今に結び付けられない自分に苦笑する。結局自分は部外者だ。けれどそれで諦めたくはない。
抵抗、葛藤、感情。そのどれもが初めてで、対処方法すら分からない。…兄貴なら、もっと上手くやれるだろうか…。
「ーーそっちは俺が行く。だから、お前らは…」
元気を出せとは言えない。だけど本音の話だ。言葉に出来ない声は、通じるのだろうか…。
空を見上げると思わず息を吐いていた。