第一章 ー232話〜263話ー ウォーターセブン編
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ルフィが帰ってきた。先程の仲間達と長い鼻の男を連れて。
…状況は理解出来た。大方、彼らが潰してきたのだろう。取り敢えず、大人しくしているか。
「ナミー、ウソップが大変なんだ!部屋に寝かして来る!」
「ええ、分かった。ゾロ、運んであげて」
医師らしくキビキビと指示を出すチョッパーに正直感心しながら、ゆっくり息を吐いて近くの包帯を取る。このくらいの手助けなら許されるだろう。
「こっちは任せてくれ。ドクトルは消毒、薬を優先して。他の人は取り敢えず清潔な水と布を用意、それ以外ならする」
「オマエ、医術の心得があるのか?」
「今はいいだろ、急げよドクトル」
消毒が済んだ所から指示された薬を塗っていく。その後包帯を巻いて…処置が終わった時は、正直大袈裟な姿だった。俺たちは手当てなんかしなかったもんなぁ。
ちなみに初めて手当てした場所は戦場だった。なんと言うか…巻き込まれた感が強かったけどな。アレは壮絶な経験だった、なかなか出来るものでは無い。二度と経験したくない類のモンではあるが。
「助かった。オマエ、的確なんだな」
「経験が多いだけだろ。コイツも死にはしねぇし。…さてと、ある程度落ち着いたなら俺の用事を済ませてもいいか?
俺の名前はミョウジ・ナマエ。何でも屋を営んでる。ルフィ、俺を覚えてるか?ある島で出会って…俺は仲間になりたいと言った。今とは随分違う姿だ。覚えてないならそれでいい」
「覚えてるさ、名前だろ?違ってもわかるさ。お前、いつもすっげーもんな。ウソップは助かるんだろ?ならいい」
「ーーお前さ、相変わらずだな」
知らない、誰だと言われる覚悟はしていた。けれど受け入れてくれた。それがこんなにも嬉しいことだとは知らなかった…。無意識に涙が流れる。泣くなんて久しぶりだ。人前となれば初めてかも知れない。俺のようすに、ルフィは「しししし」と楽しそうに笑う。
「忘れないさ、仲間なんだからな」
「ーーありがとう」
心の底から、そう思った。
「おーい!ウソップが目を覚ましたぞー!」
嬉しそうな声に自分も嬉しくなる。全く知らないはずの男に親近感すら湧くのだ。この感情は、不思議としかいいようがない。
まさかこの自分がこんな感情を抱くとは…今も信じられない。きっとこの感情はルフィがくれたのだ。
安心する彼らを見て、サンジの呟きを聞いて。取り敢えず皆と部屋の中に入る。確かにニコ・ロビンの姿は見てない。
「もー、あまり心配させないでよね」
「本当だぜ。1人で乗り込むなんて全く無茶しやがる。命があったからよかったものの」
「少しは考えて動けよ」
「お前が言うか、そのセリフ!!」
どうやらゾロとサンジは喧嘩友達のようだ。見てる分には楽しい。
「あはははは」
「俺が不甲斐ねぇばっかりに、すまねぇ。ほんと、面目ねぇ、皆……
大事な金を、俺は、俺はーー」
ゾロの足にしがみつくウソップの姿に少しだけ笑ってしまう。1番悔しいのはウソップだけど、皆も同じように悔しいのだ。それが仲間の在り方なのか…。俺の知らない世界。昔少しだけ触れられた、感情。この先のことを知っていても、胸が暖かくなってくる。
「ウソップ、まだ寝てなきゃダメだよ」
「ほら、もうチョッパーの言うこと聞きなさいって」
「じゃあやっぱり、金は戻らねぇのか」
「あー、それも、フランキーってやつが帰って来ないと分からねぇんだ」
「そか…すまねぇ」
「まぁ、もしダメでもよ。まだ1億ベリーあるからいいよ。気にすんな」
「良くないわよお金は!!」
思わず突っ込んだナミが、他の目を見て黙る。理性が効かなかったのか、取り敢えず金庫番は彼女だな。今度、俺の金も預けておくか。彼女なら立派に利益を儲けてくれるだろうし。…無くなるのも覚悟しておこう、うん。
「いや、いいんだ。だけどルフィ、船は?メリー号は?その、残った1億で何とか直せるのか?せっかく、こんな一流の造船所で修理出来るんだ。この先の海も渡っていけるように、今まで以上に強い船に…完璧に直してもらいたいもんな。なぁ、1億ベリーあればあの連中に直して貰えそうなのか?どうなんだ、ルフィ」
「いや、それがよウソップ。船はよ、乗り換えることにしたんだ」
「え」
「お前のいないところで決めちまって、悪かったと思ってる。けど、もう決めたんだ。ゴーイングメリー号には世話になったけど、この船での航海はここまでだ」
一瞬空気が凍りついた。この船はウソップにとって大切な船だからだろう。そこからくる、愛情…金を取られてしまったから直せないのかという負い目と、金を取られてしまった事実や不甲斐なさ。人の感情はこうも複雑なものなのか。知ったところで、俺にはどうすることも出来ないけどな。
「そんでな、アイスのおっさんのところで貰ってきたカタログでよ、新しく帰る船を調べてたら結構色んなのがあんだな。まぁ、1億もあれば中古でも今よりでけぇ船がーー」
「まてよ。まて、まて。そんなおめぇ、冗談キツイぞバカバカしい。なぁ?ほら見ろ、チョッパーのやつ間に受けちまったじゃねぇか。全く、困ったもんだぜ、うちの船長さんはよ。なんか言ってやれよナミーー
なんだ…やっぱり修理代、足りなくなったってことか?俺がアイツらにあの2億盗られちまったから、金が足りなくなったんだろ?なぁ、そうなんだろルフィ!一流の造船所は、やっぱ取る金額も一流でーー」
「違うよそうじゃねぇ」
「おい、じゃあなんだよ!はっきり言えよ!!俺に気ー使ってんのか!」
「使わねぇよ!あの金が取られたことは関係ねぇんだ!」
「だったらなんで、乗り換えるとかくだらねぇ事言うんだー!!」
2人を止めようとするゾロを制して俺が1歩前に出る。2人の気持ちはわかるけど、そっちじゃねぇんだよな。そうなると、独りよがりにしかならない。
「ルフィ、お前は説明し無さすぎ。もうメリーがダメだってこと、言いたくないんだろ?ウソップ、君はメリーのことを考え無さすぎ。もしここで修理して海に出て…沈みでもしたらメリーはどう感じる?何を考える?ーー頭を冷やせ。喧嘩すんなとは言わねぇけど、取り返しの着く喧嘩にしとけ、周りを巻き込む」
ルフィが紹介してくれるまでは部外者だから、それだけ言って部屋の外に出る扉の近くで、中の話を聞いていた。
話は、拗れていく。今までの我慢とか嫉妬、自己嫌悪が悪い方へ向いている。それは、必然なんだろうけどな。ここで衝突しないなら、この先で衝突することになる。そしてその時はもっと、取り返しのつかない事になるんだろうし。
「若いなぁ…。いいなぁ、俺も…はぁ」
知らずに穏便を求めている。歳は取りたくないものだ。昔だったらーーなんて思い出しながらも、生憎甘い記憶はない。総じて年寄りだった、気さえしてきた。
「なんか、切ねぇ。俺、若いのに。……若い、よな?」
気付いたらウソップが出ていき、決闘だと話が進んでいた。予想内の範囲だ、と言うよりも見えていた結果だ。俺が関わろうが関わらまいが状況は変わらない。…良かったと思う。
男として相手が分かるからこそ、2人とも許せなかったんだろう。彼らは似てる。目指す姿が…。
…状況は理解出来た。大方、彼らが潰してきたのだろう。取り敢えず、大人しくしているか。
「ナミー、ウソップが大変なんだ!部屋に寝かして来る!」
「ええ、分かった。ゾロ、運んであげて」
医師らしくキビキビと指示を出すチョッパーに正直感心しながら、ゆっくり息を吐いて近くの包帯を取る。このくらいの手助けなら許されるだろう。
「こっちは任せてくれ。ドクトルは消毒、薬を優先して。他の人は取り敢えず清潔な水と布を用意、それ以外ならする」
「オマエ、医術の心得があるのか?」
「今はいいだろ、急げよドクトル」
消毒が済んだ所から指示された薬を塗っていく。その後包帯を巻いて…処置が終わった時は、正直大袈裟な姿だった。俺たちは手当てなんかしなかったもんなぁ。
ちなみに初めて手当てした場所は戦場だった。なんと言うか…巻き込まれた感が強かったけどな。アレは壮絶な経験だった、なかなか出来るものでは無い。二度と経験したくない類のモンではあるが。
「助かった。オマエ、的確なんだな」
「経験が多いだけだろ。コイツも死にはしねぇし。…さてと、ある程度落ち着いたなら俺の用事を済ませてもいいか?
俺の名前はミョウジ・ナマエ。何でも屋を営んでる。ルフィ、俺を覚えてるか?ある島で出会って…俺は仲間になりたいと言った。今とは随分違う姿だ。覚えてないならそれでいい」
「覚えてるさ、名前だろ?違ってもわかるさ。お前、いつもすっげーもんな。ウソップは助かるんだろ?ならいい」
「ーーお前さ、相変わらずだな」
知らない、誰だと言われる覚悟はしていた。けれど受け入れてくれた。それがこんなにも嬉しいことだとは知らなかった…。無意識に涙が流れる。泣くなんて久しぶりだ。人前となれば初めてかも知れない。俺のようすに、ルフィは「しししし」と楽しそうに笑う。
「忘れないさ、仲間なんだからな」
「ーーありがとう」
心の底から、そう思った。
「おーい!ウソップが目を覚ましたぞー!」
嬉しそうな声に自分も嬉しくなる。全く知らないはずの男に親近感すら湧くのだ。この感情は、不思議としかいいようがない。
まさかこの自分がこんな感情を抱くとは…今も信じられない。きっとこの感情はルフィがくれたのだ。
安心する彼らを見て、サンジの呟きを聞いて。取り敢えず皆と部屋の中に入る。確かにニコ・ロビンの姿は見てない。
「もー、あまり心配させないでよね」
「本当だぜ。1人で乗り込むなんて全く無茶しやがる。命があったからよかったものの」
「少しは考えて動けよ」
「お前が言うか、そのセリフ!!」
どうやらゾロとサンジは喧嘩友達のようだ。見てる分には楽しい。
「あはははは」
「俺が不甲斐ねぇばっかりに、すまねぇ。ほんと、面目ねぇ、皆……
大事な金を、俺は、俺はーー」
ゾロの足にしがみつくウソップの姿に少しだけ笑ってしまう。1番悔しいのはウソップだけど、皆も同じように悔しいのだ。それが仲間の在り方なのか…。俺の知らない世界。昔少しだけ触れられた、感情。この先のことを知っていても、胸が暖かくなってくる。
「ウソップ、まだ寝てなきゃダメだよ」
「ほら、もうチョッパーの言うこと聞きなさいって」
「じゃあやっぱり、金は戻らねぇのか」
「あー、それも、フランキーってやつが帰って来ないと分からねぇんだ」
「そか…すまねぇ」
「まぁ、もしダメでもよ。まだ1億ベリーあるからいいよ。気にすんな」
「良くないわよお金は!!」
思わず突っ込んだナミが、他の目を見て黙る。理性が効かなかったのか、取り敢えず金庫番は彼女だな。今度、俺の金も預けておくか。彼女なら立派に利益を儲けてくれるだろうし。…無くなるのも覚悟しておこう、うん。
「いや、いいんだ。だけどルフィ、船は?メリー号は?その、残った1億で何とか直せるのか?せっかく、こんな一流の造船所で修理出来るんだ。この先の海も渡っていけるように、今まで以上に強い船に…完璧に直してもらいたいもんな。なぁ、1億ベリーあればあの連中に直して貰えそうなのか?どうなんだ、ルフィ」
「いや、それがよウソップ。船はよ、乗り換えることにしたんだ」
「え」
「お前のいないところで決めちまって、悪かったと思ってる。けど、もう決めたんだ。ゴーイングメリー号には世話になったけど、この船での航海はここまでだ」
一瞬空気が凍りついた。この船はウソップにとって大切な船だからだろう。そこからくる、愛情…金を取られてしまったから直せないのかという負い目と、金を取られてしまった事実や不甲斐なさ。人の感情はこうも複雑なものなのか。知ったところで、俺にはどうすることも出来ないけどな。
「そんでな、アイスのおっさんのところで貰ってきたカタログでよ、新しく帰る船を調べてたら結構色んなのがあんだな。まぁ、1億もあれば中古でも今よりでけぇ船がーー」
「まてよ。まて、まて。そんなおめぇ、冗談キツイぞバカバカしい。なぁ?ほら見ろ、チョッパーのやつ間に受けちまったじゃねぇか。全く、困ったもんだぜ、うちの船長さんはよ。なんか言ってやれよナミーー
なんだ…やっぱり修理代、足りなくなったってことか?俺がアイツらにあの2億盗られちまったから、金が足りなくなったんだろ?なぁ、そうなんだろルフィ!一流の造船所は、やっぱ取る金額も一流でーー」
「違うよそうじゃねぇ」
「おい、じゃあなんだよ!はっきり言えよ!!俺に気ー使ってんのか!」
「使わねぇよ!あの金が取られたことは関係ねぇんだ!」
「だったらなんで、乗り換えるとかくだらねぇ事言うんだー!!」
2人を止めようとするゾロを制して俺が1歩前に出る。2人の気持ちはわかるけど、そっちじゃねぇんだよな。そうなると、独りよがりにしかならない。
「ルフィ、お前は説明し無さすぎ。もうメリーがダメだってこと、言いたくないんだろ?ウソップ、君はメリーのことを考え無さすぎ。もしここで修理して海に出て…沈みでもしたらメリーはどう感じる?何を考える?ーー頭を冷やせ。喧嘩すんなとは言わねぇけど、取り返しの着く喧嘩にしとけ、周りを巻き込む」
ルフィが紹介してくれるまでは部外者だから、それだけ言って部屋の外に出る扉の近くで、中の話を聞いていた。
話は、拗れていく。今までの我慢とか嫉妬、自己嫌悪が悪い方へ向いている。それは、必然なんだろうけどな。ここで衝突しないなら、この先で衝突することになる。そしてその時はもっと、取り返しのつかない事になるんだろうし。
「若いなぁ…。いいなぁ、俺も…はぁ」
知らずに穏便を求めている。歳は取りたくないものだ。昔だったらーーなんて思い出しながらも、生憎甘い記憶はない。総じて年寄りだった、気さえしてきた。
「なんか、切ねぇ。俺、若いのに。……若い、よな?」
気付いたらウソップが出ていき、決闘だと話が進んでいた。予想内の範囲だ、と言うよりも見えていた結果だ。俺が関わろうが関わらまいが状況は変わらない。…良かったと思う。
男として相手が分かるからこそ、2人とも許せなかったんだろう。彼らは似てる。目指す姿が…。