序章 物語の始まり
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生きていくことは簡単だった。大抵の人間は幼い子供に優しかったし、自分の容姿が人より優れている自覚もあった。路端で泣けば人は来てくれたし、時には食べ物さえ手に入れることが出来た。
そう、人は基本的に“自分より劣っている存在”には優しいのだ。
「まあ、そう穿って見てる俺には関係ねぇんだけどな」
誰もいない空に向かって呟いても、一人旅であるが為に答えてくれる相棒はいない。いや、正確に言えば一人はいるのだが、間違っても頼りたくはない。“アレ”に頼るのは、いざとなってからだ。でないと、命がいくつあっても足りない。自分の為に創られたとさえ思える“アレ”は、街の大人たちのように優しくはないのだから。
「ーーっと、考えても仕方ねぇか。まずは…買い出しだな。ーーったく、何処にいるんだか。ウチの暴君様は」
彼の居場所なら風の噂に聞いている。アラバスタでの騒ぎや空島の出来事を考えると、次の停泊はこの辺りになる筈だと予想した。間違っていたとしても彼のことだ。どうせまた大きな問題に首を突っ込み、知ってか知らずかその首にかかった賞金額を増やしていくのだろう。自分はゆっくりと、その後を追えばいい。どうせ先は長いし、焦ることはないのだ。
ここは、水の都ウォーターセヴン。この街の船大工の腕は有名であった為、第一の拠点として選んだのだ。乗ってきた船も既に売り払っている。自分一人くらいなら、その辺にあるボートで十分移動できるからだ。
ガヤガヤという賑やかな人声の中、一人ひっそりとローブを被って進む。人混みは嫌いだ。だけどそれも、克服しなくてはいけない弱点になり得るのだろうと思っていた。
人混みで聞こえた言葉、単語。他者の声に紛れるか紛れないか、その音域は絶妙であった。恐らく自分が“追われて”いなければ聞き逃したであろう声。
「まぁ、そんなことはないけどな」
少なくても五感において、自分は一般人よりも優れてはいる。
気配を消してその影ーー「cp9」と呟いたその後を追った。隣にいるのは黒髪の美女。確か名前はーー
「ーーニコ・ロビン?ルフィの仲間…だったよな?」
不思議と、どうしてここに、という当たり前の感情は抱かなかった。自分と同じ闇に生きる少女。不思議とシンパシーを感じていた、存在。だからこそ、何かある事が当然だと知っていたのだ。
運命は自分で切り開くものだが、同時に選べるものではない。選択できない状況や過去があることも、十分に理解しているのだ。
「…ま、ルフィに任せておけば大丈夫だろ。仲間思いだし…俺も出来るだけ目立ちたくないし。この自由は手放したくない、うん」
結局人間、自分が一番可愛いのだ。他人を助けるのは、精神的にも肉体的にも経済的にも…恵まれた人のみなのだから。
『事実かどうか分からない』という事実を言い訳にして歩き出す。このことは後でルフィに伝えればいいし、彼女のお陰で彼がこの街にいる可能性が高い事は理解した。だとするなら自分がする事は一つ。
「まずはルフィとの合流か。…流石に海賊が表に出られないだろうからな。まずは裏町辺りか」
ボソボソと言葉にしながら、その場を後にした。
そう、人は基本的に“自分より劣っている存在”には優しいのだ。
「まあ、そう穿って見てる俺には関係ねぇんだけどな」
誰もいない空に向かって呟いても、一人旅であるが為に答えてくれる相棒はいない。いや、正確に言えば一人はいるのだが、間違っても頼りたくはない。“アレ”に頼るのは、いざとなってからだ。でないと、命がいくつあっても足りない。自分の為に創られたとさえ思える“アレ”は、街の大人たちのように優しくはないのだから。
「ーーっと、考えても仕方ねぇか。まずは…買い出しだな。ーーったく、何処にいるんだか。ウチの暴君様は」
彼の居場所なら風の噂に聞いている。アラバスタでの騒ぎや空島の出来事を考えると、次の停泊はこの辺りになる筈だと予想した。間違っていたとしても彼のことだ。どうせまた大きな問題に首を突っ込み、知ってか知らずかその首にかかった賞金額を増やしていくのだろう。自分はゆっくりと、その後を追えばいい。どうせ先は長いし、焦ることはないのだ。
ここは、水の都ウォーターセヴン。この街の船大工の腕は有名であった為、第一の拠点として選んだのだ。乗ってきた船も既に売り払っている。自分一人くらいなら、その辺にあるボートで十分移動できるからだ。
ガヤガヤという賑やかな人声の中、一人ひっそりとローブを被って進む。人混みは嫌いだ。だけどそれも、克服しなくてはいけない弱点になり得るのだろうと思っていた。
人混みで聞こえた言葉、単語。他者の声に紛れるか紛れないか、その音域は絶妙であった。恐らく自分が“追われて”いなければ聞き逃したであろう声。
「まぁ、そんなことはないけどな」
少なくても五感において、自分は一般人よりも優れてはいる。
気配を消してその影ーー「cp9」と呟いたその後を追った。隣にいるのは黒髪の美女。確か名前はーー
「ーーニコ・ロビン?ルフィの仲間…だったよな?」
不思議と、どうしてここに、という当たり前の感情は抱かなかった。自分と同じ闇に生きる少女。不思議とシンパシーを感じていた、存在。だからこそ、何かある事が当然だと知っていたのだ。
運命は自分で切り開くものだが、同時に選べるものではない。選択できない状況や過去があることも、十分に理解しているのだ。
「…ま、ルフィに任せておけば大丈夫だろ。仲間思いだし…俺も出来るだけ目立ちたくないし。この自由は手放したくない、うん」
結局人間、自分が一番可愛いのだ。他人を助けるのは、精神的にも肉体的にも経済的にも…恵まれた人のみなのだから。
『事実かどうか分からない』という事実を言い訳にして歩き出す。このことは後でルフィに伝えればいいし、彼女のお陰で彼がこの街にいる可能性が高い事は理解した。だとするなら自分がする事は一つ。
「まずはルフィとの合流か。…流石に海賊が表に出られないだろうからな。まずは裏町辺りか」
ボソボソと言葉にしながら、その場を後にした。