窓の外ではルフィ達が闘っている。
耳をすませると、やはり襲撃犯にされていた。しかも妙に楽しそうだ。…予想通り過ぎてため息しか出ない。しかもアイスバーグ襲撃の犯人として街中に言いふらされている。……俺としては嬉しい展開なんだけどな。乱闘に乱戦、ちょっとドキドキ。いや、勿論不快感も強い。だからこそ全部消したくなるけど…ヤバイよなこの思考回路。まぁ、世界政府も似た者か。
｢って、殺したいが本音か。野蛮だな俺｣
政府側にいるのは“彼ら”の方だし、ちょっとつついてみたらホコリも出そうなんだけど。そうなったとしても街が大騒ぎになるのも変わらないし。

｢アイスのおっさんに合わせてくれ。見間違いだそんなの！ロビンの訳がねぇ！｣
｢何をしでかすかわからねぇ奴を、アイスバーグさんに近づけられるか｣
｢｢｢そーだー！！犯人を縛りあげろー！！｣｣｣
｢｢｢この街の英雄を殺そうとしたヤツらだ！縛り首にしろー！！｣｣｣
｢ちょ、ちょっと！なんなのよ｣
要求するルフィに対して、まるで正論のように振り飾られる言葉に息を吐く。あー、キレそうだわ。まず、多勢に無勢ってやり方が気に食わない。同時に、自分が正義だと言い切る人間は嫌いだ。……だから政府と問題が起こるの…か？
次の標的はナミ…弱そうな方から落とす参段か？ナミが男に羽交い締めにされる。
｢おい娘、お前さっき麦わらのアイツと一緒にいただろ。お前も仲間だな！｣
｢ほんとかい？｣
｢そ、そうよ、私も見たわよこの女！！逃がしゃあしないよ。ジタバタするんじゃないよ｣
｢ちょっと、止めてよ…｣
｢ナミ！！｣
ようやく今の状況に気づいたのか、ルフィがナミの心配を始める。…ナミの状況についていけなかったという事…は。状況把握能力にマイナス点でもつけてやろうか。うん。
｢離して、離してってばぁ！私たちが何したって言うのよ！！｣
｢とぼけるな暗殺者の一味め！よくもアイスバーグさんを打ちやがったな！！逃がさんぞ！！｣
｢おいやめろお前ら！俺たちは何もしてねぇつってんだろう！｣
｢そうよ！だいたい、ロビンにだってアイスバーグさんを狙う理由がないもの。｣
｢いつまでもそう言い張ってるがいい。とにかく、お前ら2人はここまでだ。…あの人に害を与えるということは、俺たち、ガレーラカンパニーを敵に回すという事を、そしてこの都市。ウォーターセブンを敵に回すということを思い知れ｣
｢なんでそんなアリもしねぇことを…！！アイスのおっさんと話をさせろ！｣
｢観念しろ海賊！情報はすぐ街中に広がる。もう逃げ場はねぇ。一味全員、俺たちがしとめてやる！｣
ビシッと音をさせて手のひらを殴る。

パウリーのロープがルフィの右手に結びつく。引き寄せたタイミングでカクの武器攻撃だ。勿論ルフィは避けた。こんな戦い久しぶりだ。参戦しようかと思ったけど、ナミの怖がっている表情…行きたいとは言えない……行きたいけど。
｢どうした麦わら！受けるばっかりでいいのか？あぁ？｣
｢だから俺は！お前らと戦う理由がねぇんだって｣
｢ピストルは、もう効かねぇとわかった｣
そう言って獲物を持ち替える男達に、思わずナマエが笑うと男たちはノコを出してくる。まぁ、確かに武器にもなれる。
砲筒を抱えた男が発砲する。煙が上がり視界を奪うが、一瞬だけ見えたルフィの姿を見つめる。相変わらず、タフな男だ。