マギ夢小説<紅炎寄り>
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ジャーファルはどうすればいいのか、少し戸惑っている。
「ジャーファルさん、わたしにも何かできませんか!」
「そうですねぇ……この書類を少し手伝ってもらえませんか?重さはないんですけど、少し多くて」
「はい!」
嬉しそうに手伝うナマエにジャーファルは苦笑する。本当は自分が彼女を世話する役目を担っているというのに、いつのまにか彼女からジャーファルの後ろをついていく形になってしまった。
ちなみに最初の出会い方はこうだった。
「あなたのお世話をするジャーファルです」
「お世話?」
「王がそう望まれているので。何かしてほしいことはありますか?必要なことは?」
「………」
「?……ナマエさん?」
顔を青ざめてナマエは震えている。ジャーファルは顔を覗き込んで視線を合わせるように膝を折る。
「どうかしましたか?」
「……て、……い」
「?」
「ゆ、……許して、ください」
「……何を?」
「し、シンドバッドさまに、不快な思いをさせました……わ、わたし、あの時、……っ」
「!ナマエさん!?」
ふらりと倒れかけた体をジャーファルが受け止めるとナマエは泣きそうな表情で、
「ごめんなさい、わたし、わたしは、」
「落ち着いてください。落ち着いて」
「……っごめんなさい……!」
がりっ
「な……っ?」
腕を噛まれている。と思ったのは一瞬でジャーファルは顔を歪めた。痛みではなく、抗い難い快感で。
「……は、」
口が離れるとナマエは名残惜しそうに唇を舐める。その顔は少女とは言い難い艶美な表情であった。
「……痛くない、ですか?」
その後にナマエに聞いた話は少し驚いたが、納得に足るものだった。
過去に煌帝国の皇子に噛みついた経験があること。それ以来、体の具合が悪くなると噛みつく癖ができたこと。そしてこれは魔導師のヤムライハの診断でわかったことだが、ナマエのルフが噛みつく前よりも輝きを増していること。
つまり。
(彼女は自身のルフを他者の血を摂取することで足りない分を吸収し、自分でルフを保てない特異な体です)
ヤムライハの言葉にナマエは納得したのだろう。しかしだからこそ、危ういと思ったのだ。……シンドバッドの近くにいることが。
(……あの人は多くの精霊の力を持つ、特異なルフの持ち主ですしね)
というか血まで魅力的なのか、我が王は。
何はともあれ、ジャーファルが相手でよかったと思う。
「大丈夫ですよ。でも、もしそういう症状が発症したら、私に言ってくださいね?」
「でも、……」
「辛いのはあなたでしょう?……こういうことは、一人で抱え込まないで良いんです。甘えて良いんですよ?」
「……甘える」
「ええ。私でよろしければ、たくさん甘えてしまいなさい」
……以来、ナマエはジャーファルのことをすっかり信頼しているのだった。
(煌帝国では、どうしていたんでしょうかね)
そんな疑問がちらりと頭によぎる。しかしすぐに考えることをやめた。
「手伝ってくれてありがとうございます、ナマエ」
「いえ、ジャーファルさんの力になれて、嬉しいのはわたしですから!」
「……っ」
良い子すぎる……可愛すぎる……!
「……ナマエ、お茶の時間にしましょうか!」
「え!」
「もうすぐアリババくんたちも鍛錬を終える時間ですから、一緒に準備しましょうね?」
「はい!」
ナマエは頷くとジャーファルの後ろをとことこついてくる。
そんな姿にジャーファルの頬が緩み、癒していることも知らずに。
一方、煌帝国。
「………」
静かな部屋だと、紅炎は思うようになった。以前はそんなこと思わなかったというのに。
(紅炎さま)
どこからか、そう呼ぶ声が聞こえてくるのではないかと期待している自分に嘲笑する。
陛下の命令でナマエをシンドリア王国に差し出さなければならない。そう言われた時、紅炎は珍しく引き下がらなかった。
あの娘はただの侍女で、自分の侍女だと言い張れば、ただの侍女なら他に探してきてやると言われる。そう返されると、そんなことはわかっていたのに。
(ナマエの体は、いつ体調を崩してもおかしくない。あれは血を飲まなくては生きられない奴だ)
それもただの人間のものではない。迷宮攻略者の血を、ナマエは必要とする。
故に。
「……シンドバッド」
ナマエが他の男の血を飲む光景を思い浮かべると紅炎は眉間のシワをさらに深めた。
虫唾が走る。反吐がでる。苛立ちが高まっても、どこに向けてぶつければいいのかわからない。
紅炎は目を閉じ、落ち着こうと深く息を吐いた。
だが、思い浮かぶのは自分の側にいたナマエの姿だった。
(……ナマエが帰ってきたら、)
その時は、決して自分から離れられないようにしなければならない。どんな手段を取っても。
紅炎は自分の腕を見る。そこにはナマエのつけた跡が残っていた。
ナマエが紅炎の血を求めた時についた、跡が。
「………」
紅炎は跡の上からそっと唇で触れる。
その後、紅炎は。
「……今度は、俺から奪ってみるか」
そんなことをぽつりと呟いていた。
「ジャーファルさん、わたしにも何かできませんか!」
「そうですねぇ……この書類を少し手伝ってもらえませんか?重さはないんですけど、少し多くて」
「はい!」
嬉しそうに手伝うナマエにジャーファルは苦笑する。本当は自分が彼女を世話する役目を担っているというのに、いつのまにか彼女からジャーファルの後ろをついていく形になってしまった。
ちなみに最初の出会い方はこうだった。
「あなたのお世話をするジャーファルです」
「お世話?」
「王がそう望まれているので。何かしてほしいことはありますか?必要なことは?」
「………」
「?……ナマエさん?」
顔を青ざめてナマエは震えている。ジャーファルは顔を覗き込んで視線を合わせるように膝を折る。
「どうかしましたか?」
「……て、……い」
「?」
「ゆ、……許して、ください」
「……何を?」
「し、シンドバッドさまに、不快な思いをさせました……わ、わたし、あの時、……っ」
「!ナマエさん!?」
ふらりと倒れかけた体をジャーファルが受け止めるとナマエは泣きそうな表情で、
「ごめんなさい、わたし、わたしは、」
「落ち着いてください。落ち着いて」
「……っごめんなさい……!」
がりっ
「な……っ?」
腕を噛まれている。と思ったのは一瞬でジャーファルは顔を歪めた。痛みではなく、抗い難い快感で。
「……は、」
口が離れるとナマエは名残惜しそうに唇を舐める。その顔は少女とは言い難い艶美な表情であった。
「……痛くない、ですか?」
その後にナマエに聞いた話は少し驚いたが、納得に足るものだった。
過去に煌帝国の皇子に噛みついた経験があること。それ以来、体の具合が悪くなると噛みつく癖ができたこと。そしてこれは魔導師のヤムライハの診断でわかったことだが、ナマエのルフが噛みつく前よりも輝きを増していること。
つまり。
(彼女は自身のルフを他者の血を摂取することで足りない分を吸収し、自分でルフを保てない特異な体です)
ヤムライハの言葉にナマエは納得したのだろう。しかしだからこそ、危ういと思ったのだ。……シンドバッドの近くにいることが。
(……あの人は多くの精霊の力を持つ、特異なルフの持ち主ですしね)
というか血まで魅力的なのか、我が王は。
何はともあれ、ジャーファルが相手でよかったと思う。
「大丈夫ですよ。でも、もしそういう症状が発症したら、私に言ってくださいね?」
「でも、……」
「辛いのはあなたでしょう?……こういうことは、一人で抱え込まないで良いんです。甘えて良いんですよ?」
「……甘える」
「ええ。私でよろしければ、たくさん甘えてしまいなさい」
……以来、ナマエはジャーファルのことをすっかり信頼しているのだった。
(煌帝国では、どうしていたんでしょうかね)
そんな疑問がちらりと頭によぎる。しかしすぐに考えることをやめた。
「手伝ってくれてありがとうございます、ナマエ」
「いえ、ジャーファルさんの力になれて、嬉しいのはわたしですから!」
「……っ」
良い子すぎる……可愛すぎる……!
「……ナマエ、お茶の時間にしましょうか!」
「え!」
「もうすぐアリババくんたちも鍛錬を終える時間ですから、一緒に準備しましょうね?」
「はい!」
ナマエは頷くとジャーファルの後ろをとことこついてくる。
そんな姿にジャーファルの頬が緩み、癒していることも知らずに。
一方、煌帝国。
「………」
静かな部屋だと、紅炎は思うようになった。以前はそんなこと思わなかったというのに。
(紅炎さま)
どこからか、そう呼ぶ声が聞こえてくるのではないかと期待している自分に嘲笑する。
陛下の命令でナマエをシンドリア王国に差し出さなければならない。そう言われた時、紅炎は珍しく引き下がらなかった。
あの娘はただの侍女で、自分の侍女だと言い張れば、ただの侍女なら他に探してきてやると言われる。そう返されると、そんなことはわかっていたのに。
(ナマエの体は、いつ体調を崩してもおかしくない。あれは血を飲まなくては生きられない奴だ)
それもただの人間のものではない。迷宮攻略者の血を、ナマエは必要とする。
故に。
「……シンドバッド」
ナマエが他の男の血を飲む光景を思い浮かべると紅炎は眉間のシワをさらに深めた。
虫唾が走る。反吐がでる。苛立ちが高まっても、どこに向けてぶつければいいのかわからない。
紅炎は目を閉じ、落ち着こうと深く息を吐いた。
だが、思い浮かぶのは自分の側にいたナマエの姿だった。
(……ナマエが帰ってきたら、)
その時は、決して自分から離れられないようにしなければならない。どんな手段を取っても。
紅炎は自分の腕を見る。そこにはナマエのつけた跡が残っていた。
ナマエが紅炎の血を求めた時についた、跡が。
「………」
紅炎は跡の上からそっと唇で触れる。
その後、紅炎は。
「……今度は、俺から奪ってみるか」
そんなことをぽつりと呟いていた。