マギ夢小説<紅炎寄り>
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「芸、ですか?」
「ええ。近々宴を開くので、何でもいいから芸を披露せよと頼まれまして」
紅明の自室で休憩を許されたナマエは一緒に鳥の餌やりをしていた。そしてお茶を淹れていると宴の話をされたのだ。
なんでも異国の王が来るらしいのだが急な宴のため、時間も人も足りないのだとか。
それでナマエの手を借りたいと、紅明は言う。
「わたし、何もできないんですけれど……芸も、知らないし」
「それで短時間ですが一応講師をつけようと思いまして。短時間でいいのです、できませんか?」
「……わかりました。頑張ります」
「助かります。……ああ、そういえば兄王さまが武術を教えると言っていましたが、それは大丈夫ですか?」
「あう……正直に言えば、そっちの方が心配です」
「でしょうね。まあ、ああ見えて兄王さまは面倒見の良い方ですので無理はさせないでしょう」
軽く励まされてナマエは頷く。
実際紅炎は無理をさせることはない。だが武術を教える理由は実はちゃんとした理由があるのだ。
「ただいま戻りました」
「ああ。……ジュダルは?」
「会っていません」
「そうか」
そうして再び書物を読む紅炎。ナマエは紅覇の侍女たちに教えてもらったお茶を淹れて紅炎の側に置く。
この間ナマエに声をかけてきた男、ジュダルは紅炎に文句を言いにきたのだ。
「おい紅炎!そいつ寄越せ!」
「……急になんだ」
「そいつの本性暴いてやるんだよ!戦えばまた変貌するだろうからな、そいつと戦わせろ!」
びしっと杖の切っ先を突きつけられてナマエは困惑する。正直に言えばナマエは自分の本性など自分が知りたいくらいで、ジュダルと出会った日のことも詳しく覚えていない有り様なのだ。
声を紡ぐことすらできずに怯えていると。
「ナマエ」
「は、はいっ!」
「武術を習え」
「……はい?」
「はあ?」
「武術ならば教える人間は多い。俺も出来る限り教えよう」
話を進める紅炎にナマエは戸惑うばかりで。
(……紅炎さまが何を考えているのかわからない)
だが主人の命令に逆らうことはできず、結局武術の稽古をしているナマエはもはや侍女の範囲を越えていることも気づかず、黙々と鍛練を繰り返す。
「一見逃げているだけのように見えるが、筋は良いな」
そんなナマエを遠くの方から見守る紅炎。その傍らには紅明と紅覇が一息入れていた。
「ま、ナマエはビビりだけど真面目だしねー」
「紅玉と同じくらいの年齢ですし、紅玉にも良い刺激になりましょう」
「………」
「兄王さま。ジュダルがナマエの変化を初めて目の当たりにしたことに残念な心情でいるのはわかりますが、良い加減にしてください」
「……ジュダルによれば、ナマエは迷宮攻略者じゃないんでしょ?ならただの記憶喪失の娘ってこと?」
「いや、マギのジュダルを地に伏せさせたほどの力だ。普通ではない」
「まあ、ナマエのことはこの際置いておいて。……兄王さま、縁談の話は?」
「ああ……心配するな。話は進めている」
「………」
「なんだ?お前たち」
「いや、炎兄にしては素直だなぁって」
「ええ。私はてっきり、」
と、そこまで紅明が言って口を閉じる。
紅炎は煌帝国の第一皇子である。いずれは煌帝国を統べる存在であり、その器量も力も備わっている。
そして王としての覚悟も。
だが紅明は小さく息をついた。紅明の目の前にいる兄は好奇心の塊だ、きっと目の前にいる謎があれば解明するまで見守り続ける。
鍛練を続けるナマエを見守っているように。
(……このまま、何事もないならいいのですが)
紅明はお茶を一口含む。
遠くでは紅玉に指導されているナマエ。そしてもう一人の皇子がその様子を見守っていた。
「ええ。近々宴を開くので、何でもいいから芸を披露せよと頼まれまして」
紅明の自室で休憩を許されたナマエは一緒に鳥の餌やりをしていた。そしてお茶を淹れていると宴の話をされたのだ。
なんでも異国の王が来るらしいのだが急な宴のため、時間も人も足りないのだとか。
それでナマエの手を借りたいと、紅明は言う。
「わたし、何もできないんですけれど……芸も、知らないし」
「それで短時間ですが一応講師をつけようと思いまして。短時間でいいのです、できませんか?」
「……わかりました。頑張ります」
「助かります。……ああ、そういえば兄王さまが武術を教えると言っていましたが、それは大丈夫ですか?」
「あう……正直に言えば、そっちの方が心配です」
「でしょうね。まあ、ああ見えて兄王さまは面倒見の良い方ですので無理はさせないでしょう」
軽く励まされてナマエは頷く。
実際紅炎は無理をさせることはない。だが武術を教える理由は実はちゃんとした理由があるのだ。
「ただいま戻りました」
「ああ。……ジュダルは?」
「会っていません」
「そうか」
そうして再び書物を読む紅炎。ナマエは紅覇の侍女たちに教えてもらったお茶を淹れて紅炎の側に置く。
この間ナマエに声をかけてきた男、ジュダルは紅炎に文句を言いにきたのだ。
「おい紅炎!そいつ寄越せ!」
「……急になんだ」
「そいつの本性暴いてやるんだよ!戦えばまた変貌するだろうからな、そいつと戦わせろ!」
びしっと杖の切っ先を突きつけられてナマエは困惑する。正直に言えばナマエは自分の本性など自分が知りたいくらいで、ジュダルと出会った日のことも詳しく覚えていない有り様なのだ。
声を紡ぐことすらできずに怯えていると。
「ナマエ」
「は、はいっ!」
「武術を習え」
「……はい?」
「はあ?」
「武術ならば教える人間は多い。俺も出来る限り教えよう」
話を進める紅炎にナマエは戸惑うばかりで。
(……紅炎さまが何を考えているのかわからない)
だが主人の命令に逆らうことはできず、結局武術の稽古をしているナマエはもはや侍女の範囲を越えていることも気づかず、黙々と鍛練を繰り返す。
「一見逃げているだけのように見えるが、筋は良いな」
そんなナマエを遠くの方から見守る紅炎。その傍らには紅明と紅覇が一息入れていた。
「ま、ナマエはビビりだけど真面目だしねー」
「紅玉と同じくらいの年齢ですし、紅玉にも良い刺激になりましょう」
「………」
「兄王さま。ジュダルがナマエの変化を初めて目の当たりにしたことに残念な心情でいるのはわかりますが、良い加減にしてください」
「……ジュダルによれば、ナマエは迷宮攻略者じゃないんでしょ?ならただの記憶喪失の娘ってこと?」
「いや、マギのジュダルを地に伏せさせたほどの力だ。普通ではない」
「まあ、ナマエのことはこの際置いておいて。……兄王さま、縁談の話は?」
「ああ……心配するな。話は進めている」
「………」
「なんだ?お前たち」
「いや、炎兄にしては素直だなぁって」
「ええ。私はてっきり、」
と、そこまで紅明が言って口を閉じる。
紅炎は煌帝国の第一皇子である。いずれは煌帝国を統べる存在であり、その器量も力も備わっている。
そして王としての覚悟も。
だが紅明は小さく息をついた。紅明の目の前にいる兄は好奇心の塊だ、きっと目の前にいる謎があれば解明するまで見守り続ける。
鍛練を続けるナマエを見守っているように。
(……このまま、何事もないならいいのですが)
紅明はお茶を一口含む。
遠くでは紅玉に指導されているナマエ。そしてもう一人の皇子がその様子を見守っていた。