マギ夢小説<紅炎寄り>
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ジュダルは楽しいことが好きだ。たとえば戦争、破壊活動……とにかく彼にとってお祭りのような騒ぎが大好きなのだ。
だから。
「お前、シンドバッドの嫁にならねぇの?」
のしり、とナマエの頭に乗りかかるようにくっついているとナマエは「え?」と不思議そうな表情をして洗濯物をたたむ手を止める。
「どうしてそんなことを?ジュダルさま」
「お前鈍いなぁ、シンドバッドはお前のこと気に入ってんだぜ?だったら普通、玉の輿?に乗っかるだろうが」
「はあ……でも、いくらなんでもわたしのような侍女を娶る気はないでしょう。そんな魅力は、わたしにはありませんし」
「わかってねぇなぁ」
本当に何もわかっていない、とジュダルは呆れる。シンドバッドの嫁になれば、紅炎が黙っていないだろう。シンドバッドがナマエを気に入っていることは嘘ではないし、紅炎がナマエを気に入っているのも確かなのだから。
つまり、ジュダルはこの二人が喧嘩をすればいいと思っているのだ。
「うまくいかねぇなぁ、つまんねぇなぁ」
「はい?」
首を傾けるナマエから離れたジュダルは「昼寝するわ」と何処かに消えた。
「最近、調子が良いですね。ナマエ」
仕事をしている紅明にナマエがお茶を差し出すと、紅明は一口含んでからそう言った。
ナマエは「はい」と頷く。
「紅炎さまが気にかけてくださるおかげです」
「そうですか。……ううん」
「どうかしましたか?」
「ええと、そうですねぇ……最近、兄王様が縁談の話を進めている様子がないようで」
「縁談?……え!紅炎さま、結婚するんですか?」
「身を固めるようにと陛下に勧められたことがあったんですが、まぁ兄王様はああいう方ですから、今は目先のことで頭いっぱいなんでしょう」
「……はあ」
まさか目の前にいる少女のことで頭がいっぱいだと思うまいと紅明はまたお茶を飲む。しかしナマエは「そういえば」と思い出す。
「ジュダルさまにシンドバッドさまの妻にならないのかとからかわれました」
「ぶっ!!」
盛大にお茶を吐いた紅明にナマエは慌てて背中をさする。
「大丈夫ですか?紅明さま」
「あ、あなた、それ、兄王様に言いました?」
「え。……言っちゃだめなことでしたか?」
(言ったのか……)
紅明はがくり、と肩を落とす。これから軍議があるのになぁ、とかめちゃくちゃ不機嫌な顔しているんだろうなぁ、やだなぁ、とか思いながら。
(そっかぁ……紅炎さま、結婚するのかぁ)
ぼんやりとそんなことを思い出しながらナマエは紅炎の寝室で待機していた。この間、恥ずかしい声を出したので気まずかったが、紅炎に命じられたのだから仕方ない。ナマエには強い拒否権は持っていないのだから。
(でも、)
何となく紅炎が結婚する光景が想像できない。考えようとすると、なんか胸がもやもやとする。
(喜ぶべき、なのになぁ)
なのに、少しも喜べない自分は心が狭いのか、とナマエは思う。たくさんの感謝はあれど、どこかが引っかかる。
「……はぁ」
ため息をつきながら寝台に座る。ふかふかとした寝台の手触りを確認していると寝室の扉が開いた。
「あ、紅炎さま。お疲れさまで、」
ぎゅう。
「へ、」
無言で紅炎はナマエを抱きしめている。強い力で苦しいくらいに抱き寄せる腕はそのままで、足は寝台の上に向かう。
「ちょ、紅炎さま、どうし、あっ」
どさっ、と寝台の上に押し倒される。この状況は、なんか覚えがある。そんな考えが頭に浮かんだが、吹き飛んだ。
紅炎の首筋にはナマエがつけた吸血の跡がある。しかし、今はそれが薄くなっており、前回の吸血行為を思い出す。
思い出すと同時に、どくん、と胸が高鳴った。
(……いつも、紅炎さまのことを気にかける余裕がなかったけれど、あの時の紅炎さまは嬉しそうで、気持ち良さそうだった)
血を奪われているのに、どうして紅炎はあんな顔をしていたのか。ナマエにはわからない。
だが、それよりも。
「紅炎、さま……」
その時のことを思い出したことで、ナマエの中の吸血衝動も沸き起こる。
「紅炎さま、あの、血を」
「……聞こえんな」
「え、紅炎、ひゃぁ……っ」
紅炎に耳を甘噛みされると前と同じような色香を含んだ声が発せられる。ぞくぞくと体が震え、わからない感覚にナマエは困惑する。
「血が欲しければ、対価を払え」
「たい、か?」
「俺はお前に血を差し出している。不公平だろう」
不機嫌な顔をして紅炎は至近距離で見下ろしてくる。
「お前は俺に、何を差し出せる?」
「っ、」
言葉に詰まる。紅炎の言い分はもっともなことで、かと言ってナマエには自分に何が差し出せるのか、わからない。
わからないから、沈黙するしかない。だが体は血に飢えて、我慢するにも限度がある。
「こ、紅炎さまは、なにが、欲しい、です、か?」
泣き出しそうな目で声を紡ぐ。紅炎の欲しいものを、自分が持っているわけがないと信じているナマエはそう言うしかない。
そんなナマエに紅炎は、
「お前が欲しい」
「……は、」
「お前の全てを、俺に捧げろ」
「は、え、ええ?」
「なんだ、これだけ言ってもわからないのか。……お前を娶ると言っている」
「めと、る?……で、でも紅炎さまは、他に縁談が、」
「もう俺に縁談はない。全て断ったからな」
「な、なぜですか?」
「……そこまで聞かないと納得しないのか、お前は。そもそも縁談を断ったのはお前が原因だぞ」
「わ、わたしのせいですか?」
「縁談の相手を訪ねようとした時、お前に出会った。その後はお前の記憶喪失や体質の変化に興味が湧いた。そして、」
紅炎は少し眉をしかめ、言いにくそうに。
「……お前のことを、女として見ている自分に気がついた」
「っ!?」
ここまで言われればさすがに理解したナマエはぼっ、と顔を赤くした。
紅炎が自分を、女として欲している。そして自分を見つめる眼差しが熱を含んでいることも察した。
(ど、どう答えたら……この状況は、どうしたら)
「……ナマエ」
「……っ」
「沈黙は承諾と見るが、いいのか」
するり、と頬を撫でる手は思いのほか優しい。その優しさに少しだけ、ナマエは安堵する。
(そうだった。紅炎さまは、優しい人だ)
強引なこともあるが、基本的には優しくしてくれた紅炎をナマエは知っている。
ちゃんと、わかっているのだ。
「……紅炎、さま。血を、ください」
「……それは、」
「わかって、います」
そろそろとナマエは紅炎の背中に手を伸ばす。体を震わせながら、顔を赤らめ紅炎を見上げる。
「わ、わたしで、よければ、……差し上げ、ます」
震えた声で紅炎に届いただろうか。そんな不安を感じさせるひとときの沈黙は、しかしすぐに壊された。
「わかった。……血を飲むことを許す」
紅炎の首筋に導かれるように抱き寄せられる。ナマエはほっと安堵の吐息を零す。
だが、と紅炎は言葉を続ける。
「先程の言葉、忘れるなよ」
するり、と背中から腰を撫でられて、ナマエはぞく、と体を震わせる。
「あ、あの、でも、わたし、何をしたらいいのかわからないので、その、」
「わかっている」
紅炎はナマエの額に唇を落とす。
「お前が俺に与えてきたものを、今度は俺がお前に与えよう」
紅炎がナマエの首を甘噛みする。ナマエもお預けにされていた紅炎の首を噛むと、紅炎の息が詰まった。
「……やはり、お前に血を飲まれると、気持ちが良いな」
歯止めが効かなくなる。
そう言った紅炎は妖しく微笑むと、ナマエの着物の帯に手を伸ばした。
だから。
「お前、シンドバッドの嫁にならねぇの?」
のしり、とナマエの頭に乗りかかるようにくっついているとナマエは「え?」と不思議そうな表情をして洗濯物をたたむ手を止める。
「どうしてそんなことを?ジュダルさま」
「お前鈍いなぁ、シンドバッドはお前のこと気に入ってんだぜ?だったら普通、玉の輿?に乗っかるだろうが」
「はあ……でも、いくらなんでもわたしのような侍女を娶る気はないでしょう。そんな魅力は、わたしにはありませんし」
「わかってねぇなぁ」
本当に何もわかっていない、とジュダルは呆れる。シンドバッドの嫁になれば、紅炎が黙っていないだろう。シンドバッドがナマエを気に入っていることは嘘ではないし、紅炎がナマエを気に入っているのも確かなのだから。
つまり、ジュダルはこの二人が喧嘩をすればいいと思っているのだ。
「うまくいかねぇなぁ、つまんねぇなぁ」
「はい?」
首を傾けるナマエから離れたジュダルは「昼寝するわ」と何処かに消えた。
「最近、調子が良いですね。ナマエ」
仕事をしている紅明にナマエがお茶を差し出すと、紅明は一口含んでからそう言った。
ナマエは「はい」と頷く。
「紅炎さまが気にかけてくださるおかげです」
「そうですか。……ううん」
「どうかしましたか?」
「ええと、そうですねぇ……最近、兄王様が縁談の話を進めている様子がないようで」
「縁談?……え!紅炎さま、結婚するんですか?」
「身を固めるようにと陛下に勧められたことがあったんですが、まぁ兄王様はああいう方ですから、今は目先のことで頭いっぱいなんでしょう」
「……はあ」
まさか目の前にいる少女のことで頭がいっぱいだと思うまいと紅明はまたお茶を飲む。しかしナマエは「そういえば」と思い出す。
「ジュダルさまにシンドバッドさまの妻にならないのかとからかわれました」
「ぶっ!!」
盛大にお茶を吐いた紅明にナマエは慌てて背中をさする。
「大丈夫ですか?紅明さま」
「あ、あなた、それ、兄王様に言いました?」
「え。……言っちゃだめなことでしたか?」
(言ったのか……)
紅明はがくり、と肩を落とす。これから軍議があるのになぁ、とかめちゃくちゃ不機嫌な顔しているんだろうなぁ、やだなぁ、とか思いながら。
(そっかぁ……紅炎さま、結婚するのかぁ)
ぼんやりとそんなことを思い出しながらナマエは紅炎の寝室で待機していた。この間、恥ずかしい声を出したので気まずかったが、紅炎に命じられたのだから仕方ない。ナマエには強い拒否権は持っていないのだから。
(でも、)
何となく紅炎が結婚する光景が想像できない。考えようとすると、なんか胸がもやもやとする。
(喜ぶべき、なのになぁ)
なのに、少しも喜べない自分は心が狭いのか、とナマエは思う。たくさんの感謝はあれど、どこかが引っかかる。
「……はぁ」
ため息をつきながら寝台に座る。ふかふかとした寝台の手触りを確認していると寝室の扉が開いた。
「あ、紅炎さま。お疲れさまで、」
ぎゅう。
「へ、」
無言で紅炎はナマエを抱きしめている。強い力で苦しいくらいに抱き寄せる腕はそのままで、足は寝台の上に向かう。
「ちょ、紅炎さま、どうし、あっ」
どさっ、と寝台の上に押し倒される。この状況は、なんか覚えがある。そんな考えが頭に浮かんだが、吹き飛んだ。
紅炎の首筋にはナマエがつけた吸血の跡がある。しかし、今はそれが薄くなっており、前回の吸血行為を思い出す。
思い出すと同時に、どくん、と胸が高鳴った。
(……いつも、紅炎さまのことを気にかける余裕がなかったけれど、あの時の紅炎さまは嬉しそうで、気持ち良さそうだった)
血を奪われているのに、どうして紅炎はあんな顔をしていたのか。ナマエにはわからない。
だが、それよりも。
「紅炎、さま……」
その時のことを思い出したことで、ナマエの中の吸血衝動も沸き起こる。
「紅炎さま、あの、血を」
「……聞こえんな」
「え、紅炎、ひゃぁ……っ」
紅炎に耳を甘噛みされると前と同じような色香を含んだ声が発せられる。ぞくぞくと体が震え、わからない感覚にナマエは困惑する。
「血が欲しければ、対価を払え」
「たい、か?」
「俺はお前に血を差し出している。不公平だろう」
不機嫌な顔をして紅炎は至近距離で見下ろしてくる。
「お前は俺に、何を差し出せる?」
「っ、」
言葉に詰まる。紅炎の言い分はもっともなことで、かと言ってナマエには自分に何が差し出せるのか、わからない。
わからないから、沈黙するしかない。だが体は血に飢えて、我慢するにも限度がある。
「こ、紅炎さまは、なにが、欲しい、です、か?」
泣き出しそうな目で声を紡ぐ。紅炎の欲しいものを、自分が持っているわけがないと信じているナマエはそう言うしかない。
そんなナマエに紅炎は、
「お前が欲しい」
「……は、」
「お前の全てを、俺に捧げろ」
「は、え、ええ?」
「なんだ、これだけ言ってもわからないのか。……お前を娶ると言っている」
「めと、る?……で、でも紅炎さまは、他に縁談が、」
「もう俺に縁談はない。全て断ったからな」
「な、なぜですか?」
「……そこまで聞かないと納得しないのか、お前は。そもそも縁談を断ったのはお前が原因だぞ」
「わ、わたしのせいですか?」
「縁談の相手を訪ねようとした時、お前に出会った。その後はお前の記憶喪失や体質の変化に興味が湧いた。そして、」
紅炎は少し眉をしかめ、言いにくそうに。
「……お前のことを、女として見ている自分に気がついた」
「っ!?」
ここまで言われればさすがに理解したナマエはぼっ、と顔を赤くした。
紅炎が自分を、女として欲している。そして自分を見つめる眼差しが熱を含んでいることも察した。
(ど、どう答えたら……この状況は、どうしたら)
「……ナマエ」
「……っ」
「沈黙は承諾と見るが、いいのか」
するり、と頬を撫でる手は思いのほか優しい。その優しさに少しだけ、ナマエは安堵する。
(そうだった。紅炎さまは、優しい人だ)
強引なこともあるが、基本的には優しくしてくれた紅炎をナマエは知っている。
ちゃんと、わかっているのだ。
「……紅炎、さま。血を、ください」
「……それは、」
「わかって、います」
そろそろとナマエは紅炎の背中に手を伸ばす。体を震わせながら、顔を赤らめ紅炎を見上げる。
「わ、わたしで、よければ、……差し上げ、ます」
震えた声で紅炎に届いただろうか。そんな不安を感じさせるひとときの沈黙は、しかしすぐに壊された。
「わかった。……血を飲むことを許す」
紅炎の首筋に導かれるように抱き寄せられる。ナマエはほっと安堵の吐息を零す。
だが、と紅炎は言葉を続ける。
「先程の言葉、忘れるなよ」
するり、と背中から腰を撫でられて、ナマエはぞく、と体を震わせる。
「あ、あの、でも、わたし、何をしたらいいのかわからないので、その、」
「わかっている」
紅炎はナマエの額に唇を落とす。
「お前が俺に与えてきたものを、今度は俺がお前に与えよう」
紅炎がナマエの首を甘噛みする。ナマエもお預けにされていた紅炎の首を噛むと、紅炎の息が詰まった。
「……やはり、お前に血を飲まれると、気持ちが良いな」
歯止めが効かなくなる。
そう言った紅炎は妖しく微笑むと、ナマエの着物の帯に手を伸ばした。