魔法使いの嫁×マギ夢<紅明寄り>
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痛みは一瞬だった。今はもう何も感じないし、全てが曖昧だ。
遠くで声が聞こえる。狂ったように笑う、母の声かもしれないし、もしかしたら父の声かもしれない。
両親はいつも何かに怯えていた。娘の周囲で起こる不可解な現象に、怪我を負ったことだってある。
娘が原因なのだとわかったのに時間はかからなかった。原因である娘はいつも何かに守られていたからだ。
何かに守られていくたびに孤立していく娘は両親しか接する機会はなかった。家に閉じ込められ、窓の外側を眺める毎日が終わったのは、娘の誕生日だった。両親は明るく笑って娘を外に連れ出すと、色々な場所を巡った。近所の公園、学校の校庭、夕日が映える海……
「楽しかったね?」
うん。
「よく遊んだね?」
うん。
「幸せだったね?」
うん。
「じゃあ、もう終わりにしようね?」
最後の場所は、家。アパートの屋上で軽く肩を押されて体が傾く。
遠い。
手を伸ばしても、誰も掴まれることはない。追いかけてくることはない。
だけど。
(……さびしいな)
唯一の繋がりが、もうないのなら。
欲しいと思うのは、罪だろうか。
(遠い……どこかへ、探しに行けたらいいのに)
叶うなら、誰かを愛する自分になれたら………
「おめでとう、ナマエ!父はお前を誇りに思うぞ!」
「わたくしも、あなたが妹でよかったわ!」
無言で朝食をとる娘、ナマエは無表情を貫いた。
言いたいことは山ほどある。あるが、今更何を言ってもこの二人に通用しないことはわかっている。
「煌帝国の皇子の侍女……これほど名誉なことはそうはない!ナマエ、良い働きを期待しているよ!」
「はあ……まるで夢みたいよねぇ。どうしてわたくしじゃ、ダメなのかしら?」
「こらこら、この子は立派なお勤めに行くのだよ?それにお前は縁談が控えているだろう?」
「そうだけれど……でも、皇子様を一目見たいってちょっと思ってしまって」
ナマエは朝食を食べ終え、片付ける。二人はまだ話しているが、ナマエにはどうでもいいことだ。
(……出世狙いの父親。男好きで噂が絶えない姉。その二人にそういう御達しがないということは、皇族もなかなかまともな情報を得ている)
ナマエは自分の部屋から荷物を持つと、屋敷を振り返る。短い時間だったが世話になったので、一礼してから出ていく。
「あ!ナマエ姉ちゃんだ!」
「姉ちゃん、お出かけー?」
「ああ、うん。今日から仕事に行くことになったから、しばらく戻ってこられない」
「ええー?」
「姉ちゃんいないとつまんないー」
「おはなし、もうきけないのかよー」
「ごめんね。また時間ができたら話の続き、まとめておくから」
近所の子供に約束し、手を振ると「いってらっしゃーい」と返ってくる。ナマエは少し安堵の息をする。どうやら自分も少し緊張していたようだ、と確認すると仕事先に向かう。
(……平穏であれば、それでいい)
ナマエは願う。しかしその願いは叶わない。
前世の彼女は『夜の愛し仔』であった記憶を受け継ぎ、そして来世のナマエもまた魔力を生み出すことに長けている、精霊に愛された存在だった。
遠くで声が聞こえる。狂ったように笑う、母の声かもしれないし、もしかしたら父の声かもしれない。
両親はいつも何かに怯えていた。娘の周囲で起こる不可解な現象に、怪我を負ったことだってある。
娘が原因なのだとわかったのに時間はかからなかった。原因である娘はいつも何かに守られていたからだ。
何かに守られていくたびに孤立していく娘は両親しか接する機会はなかった。家に閉じ込められ、窓の外側を眺める毎日が終わったのは、娘の誕生日だった。両親は明るく笑って娘を外に連れ出すと、色々な場所を巡った。近所の公園、学校の校庭、夕日が映える海……
「楽しかったね?」
うん。
「よく遊んだね?」
うん。
「幸せだったね?」
うん。
「じゃあ、もう終わりにしようね?」
最後の場所は、家。アパートの屋上で軽く肩を押されて体が傾く。
遠い。
手を伸ばしても、誰も掴まれることはない。追いかけてくることはない。
だけど。
(……さびしいな)
唯一の繋がりが、もうないのなら。
欲しいと思うのは、罪だろうか。
(遠い……どこかへ、探しに行けたらいいのに)
叶うなら、誰かを愛する自分になれたら………
「おめでとう、ナマエ!父はお前を誇りに思うぞ!」
「わたくしも、あなたが妹でよかったわ!」
無言で朝食をとる娘、ナマエは無表情を貫いた。
言いたいことは山ほどある。あるが、今更何を言ってもこの二人に通用しないことはわかっている。
「煌帝国の皇子の侍女……これほど名誉なことはそうはない!ナマエ、良い働きを期待しているよ!」
「はあ……まるで夢みたいよねぇ。どうしてわたくしじゃ、ダメなのかしら?」
「こらこら、この子は立派なお勤めに行くのだよ?それにお前は縁談が控えているだろう?」
「そうだけれど……でも、皇子様を一目見たいってちょっと思ってしまって」
ナマエは朝食を食べ終え、片付ける。二人はまだ話しているが、ナマエにはどうでもいいことだ。
(……出世狙いの父親。男好きで噂が絶えない姉。その二人にそういう御達しがないということは、皇族もなかなかまともな情報を得ている)
ナマエは自分の部屋から荷物を持つと、屋敷を振り返る。短い時間だったが世話になったので、一礼してから出ていく。
「あ!ナマエ姉ちゃんだ!」
「姉ちゃん、お出かけー?」
「ああ、うん。今日から仕事に行くことになったから、しばらく戻ってこられない」
「ええー?」
「姉ちゃんいないとつまんないー」
「おはなし、もうきけないのかよー」
「ごめんね。また時間ができたら話の続き、まとめておくから」
近所の子供に約束し、手を振ると「いってらっしゃーい」と返ってくる。ナマエは少し安堵の息をする。どうやら自分も少し緊張していたようだ、と確認すると仕事先に向かう。
(……平穏であれば、それでいい)
ナマエは願う。しかしその願いは叶わない。
前世の彼女は『夜の愛し仔』であった記憶を受け継ぎ、そして来世のナマエもまた魔力を生み出すことに長けている、精霊に愛された存在だった。
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