みっつめ
おとなりさん
人がいる。所謂お客さんという第三者。外ですれ違うような、一般的な暮らしをする人たち。
人だかり、というには少ないかもしれないけれど、廊下を過ぎていく人々が途切れる時間はそう長く無いし、この教室からお客さんが居なくなることも今のところはない。ざわざわとどこかしこで声や音がする中、ぴーちゃんの澄んだ声はよく通って耳に届く。そして今、店番でじっとしていることに飽きたらしいヒナが保護者の方二名から逃げ回りそれをお客さんが眺めていて、なんだかショーのよう。もう一人のお隣さんはのんびりと店番をしていた。展示のみで、本のような一部の展示品を閲覧する際にちょっぴり閲覧料を取っているらしい。私も後で時間があれば見てみたい。
「ヒナ、ヒナちゃ、ヒナちゃーん!」
そう広くはない教室の中で人とぶつかりそうな、危ない距離にはならないように動き回っているヒナはかなり器用だけど、保護者としては色んな意味で気が気じゃないだろうな。こういう時は身内じゃないものが関与するとあっさりと沈静化したりする。
「エンジェル、そろそろ止めてあげて欲しい」
「もうおしまいにするのかい?」
隣で一緒に眺めていたエンジェルが首を傾げる。まあ確かに、ヒナも興奮しているわけではなさそうだから危なくはないだろう。だとしても、だ。
「ヒナちゃんがねいねだったらどうかな」
「捕まえてくるね」
保護者の胃痛を察したエンジェルがゆっくりと動いた。見る姿勢でいたお客さんたちがエンジェルの動きを捉えたのがわかる。緩慢な動きで歩き、そこへ立つ。そしてぽふっとヒナが回収された。
「わ?」
ヒナもびっくりしていた。道筋を読んだのか動物を捕まえる要領だったのかはわからないが、エンジェルがぽむと耳ごと撫でるとお客さんからはぱらぱらと拍手が送られた。ヒナはとてもご機嫌な様子だった。
「お〜?捕まった」
「捕まえた」
「ヒナちゃん!」
駆け寄った保護者がむにむにと撫で始めた。もう一人はほっとした表情で頭を下げ、お店番に戻っていった。
「ありがとうございます、良かったあ……」
「ヒナちゃんは元気だね」
「普段はべったりなのにね?ヒナ。落ち着かない?」
「わぶ。あそぶーたい」
「うーん、ちょっと早いけど回ろうか?」
「るんるんふ、あ、ね、わぅぬ」
人語ではない音を鳴らしながら腕で示すのは近くで売り物の位置をいじっている三月とお客さんと話しているぴーちゃんだ。二人を指し示しながらくっついているエンジェル、私、保護者と順に視線を送っている。保護者がああ、と理解を示した声を発した。
「新しいお友達と遊びに行きたいんだね」
「そーだよっ」
伝わったのが嬉しいようでヒナはエンジェルの腹部に頭をめり込ませた。それが聞こえていたらしい兎耳の新しいお友達が手を止めてこちらへやってきた。ニコニコだ。
「もしかして〜」
「さんちゃ!」
思考の中に元気な違う子が浮かんだのは多分私だけではない。さんがつ、でさんちゃんと愛称をつけることに違和感はないのに、そういえば誰も三月を愛称で呼んだことはないなと関係のないことが頭の中に浮かんだ。
「ぴーたんもっ」
話し声に気が付いてこちらを見ていたぴーちゃんも嬉しそうにやってきて、三月の隣にぴったりとくっついた。
「ここのっ!は……おん」
次にヒナが見たのは店番をしている二人の方で、ここのと呼ばれたのは恐らく亜人の方だろう。戻ってきたりーさまに再装着した。
「ここの、いけない?」
「うーん、厳しいかも……流石にりーさまに一人で任せるのはねえ」
「わふ……ぅわぁん、わふっ」
「先に、新しいお友達にお返事を聞こうか?」
「わん!そやた。ね!さんちゃ、ぴーた、遊び行こっ」
かわいいねえと言いたげだった二人は一度快諾してから私を見た。回るときの付き添いは私と決めてきたのをちゃんと覚えていてえらい。テストなら百点がとれる。
双方出掛ける許可が降り、一連のやり取りを見ていたお客さんに見送られながら教室を出た。
「そいじゃーどこ行こー」
「遊ぶというと……」
「ぁふ、ふふ、ふふん」
「ねえスス、ぴーちゃん、この子うちの子だったりしない?」
スッと真顔を作った三月が神妙な声で言う。冗談なのはわかるが、アルのような何がスイッチになるかわからない子もいる。ヒナは大丈夫そうだけれど、会話には混ざらずにヒナを見てみる。
「んむ?にんじん組の子!」
満面の笑みで所属を宣言できてえらすぎる。これには保護者もにっこりしていた。私も多分した。元気一杯に自分がどこに暮らしているかを宣言できるのは幸せな証拠であり、それはうちよそ関係なく尊い。ヒナのような少々癖のある子を連れてきている時点で信頼はしていたが、私の中で竹の子宿への好感度がとても上がった。特に意味はないけれど。
「んまーげんきかわい〜。撫でちゃお」
「えへ〜んふふ」
「かわいいのはいいですけど、何処にします?ヒナ、どんな風に遊びたいのですか」
「んー、んん、たのしいとこ?あんねっみんな、いたらたのし!」
「んまあかわいいこと!ふむ、希望はなさそうですか?」
ぴーちゃんが伺うようにヒナの保護者を見上げる。田幣は頷いた。
「ヒナは連れてってもらえるだけで喜ぶので、お二人が決めて構いません。ね、ヒナ」
「そうなのっ!」
元気に返事をしたヒナを三月が撫でながら、そういえばと口を開いた。
「ぴーちゃん、音楽室がありんすよ。三階だから、どんなのがあるか確かめながらさ」
「あら、うーん……お二人が楽しいかは……」
「俺ちゃんはガッコー探索楽しみなんすよ〜」
三月が肯定的に答えると、二人の視線は自然とヒナへ向く。ヒナは音楽室について田幣に聞き、音楽の授業をやるための機材などが置いてある部屋だと回答を貰っていた。
「んー、わかんなゎ。とりえーずいこ!いこ、ねっ」
ヒナはそろそろじっとしているのに飽きたらしい。三月の手のひらの下で耳がぐぐ、と持ち上がろうとしているのが見えた。
「そそ、ほら行こーぜ。お隣覗いてみたりしながらさ」
三月が片手をヒナの頭に、もう片手をぴーちゃんに伸ばす不思議な姿勢になった。ぴーちゃんは一瞬だけ呆気にとられたように固まって、紅茶に牛乳を入れて広がっていくときのような、ふんわりとした笑顔を浮かべながらその手を取った。それからヒナの頭に乗る手が三つになった。流石に満員だ。
私達はまず、借りた教室は二階にあり、スペースとして開放されている教室は全部で三つあることを確かめた。事前にわかっていた些細な事実ではあるものの、学校という普段は訪れることの出来ない場所では実際に目で見るのが一番楽しいようだ。隣の教室では工作系のワークショップを主体としたお店と、身に付けられる小さめのアクセサリーを売っているお店。耳につけそうな形をしていた。更に先の教室では魔族による占いと、何やら妖しげな本を並べているお店が出されていた。ヒナは全部に、ぴーちゃんはアクセサリーに興味を示していた。三月はワークショップに興味がありそう。戻ってきて時間があれば色々見てみよう、ということで本来の目的地である音楽室を目指して三階へ上がった。
「あら……」
毎日階段上り下りが発生しているのはお隣さんも同じなのか、誰一人息を乱さずに階段を上りきったところでぴーちゃんが息を多めに含んだ声を出した。
「静かで」
三月も追従した。少し呆然としたような、気の抜けた二人の様子にヒナが不思議そうにわふわふしている。三階に開放されている教室は二つあるはずだが、人の気配はすれど下の階と比べるとほとんど音がしない。窓を遮るものは何も無いというのにどこか薄暗く感じるのは、廊下に人が居ないからだろうか。聞こえてくる音を辿れば多くは下階から聞こえてくるものだとわかる。奇妙な緊張感を携え、ぴーちゃんと三月が動き始めた。
「ここは二部屋とも……全部で四つ?いや……二つか。両方展示なんだね」
「ですね。亜人の歴史展と亜人の関わり展、ですか。関わり展ってなんですの?」
「んー、俺ちゃんみたいなのの話とか?」
三月が工場で働いていたから、という話をしてぴーちゃんも納得していた。誰かと接するとき、経験値はあればあるほど良いものだから、関わり展は私も気になるかも。
「でも……このバザーって、仲良くなろう的なテーマですのに、一役買いそうな展示は三階にひっそりなのですね」
「んー?まあたしかに?」
何でだろう?と二人がヒナに話を振ったものの、ヒナも首を傾げていた。
「ひととちがうわかるよ、わかるとちょっとわかるから怖ないなるでなかよーなる、てことだ?下にデデーンて置けばいいんにねっ」
「だよねえ」
んー?と首を傾げ合っている光景は大変な可愛さだった。私と、恐らく田幣も何となく理由を察しつつ沈黙を保っていた為、まあいいかーと音楽室への歩みが再開されるまでに時間は掛からなかった。
扉の斜め上についている小さなプレートに音楽室と書いてある。立ち入り禁止の部屋ではないからか、三月とひっついたヒナが元気に横開きの扉を開けた。
がららら、と建て付けの悪そうな音が勢いよく鳴ったせいかヒナが瞬時に田幣に再装着された。
「おーぷんせーさみー」
「なんですの」
「んふふ。音楽室!」
全員の入室を確認してから扉を閉める。ゆっくりと閉めたらそこまで音はならなかった。扉から室内へ向き直ると、記憶にないはずの懐かしさを伴う埃っぽい空気を感じた。
「ピアノ……まるで音楽の象徴のよう。メジャーな楽器なのかしら?」
ぴーちゃんが周りを見渡しつつピアノに近付いていく。目ぼしいものはほとんどが隣の準備室にしまわれているようで、わりと殺風景な光景に三月は期待を持て余しているように見えた。ヒナは田幣にひっついたままきょろきょろと周りを見ている。
「たぬぬ、あれなに?」
一点に目線を定めたヒナが田幣に問う。ヒナが示しているのは壁に沿って置かれている背の低いキャビネットで、その上には細々とした道具らしきものが置いてある。
「どれ?ああ、メトロノーム。何に使うのかはよく知らないけど……一定の間隔で音が鳴るんだっけな?」
「その通りですわ」
ピアノの近くにいたぴーちゃんから透き通る声が届いた。静かなのもあってよく響く綺麗な音は窓の外に広がる夏空のような爽快さがある。
「音楽を聞くときに、とん、とんとリズムを感じるでしょう?それを繰り返してくれるものですわ。音の始まりを合わせたり、ズレがないかの確認に使ったりするものですわね」
「へー、メトロノームってそう使うんだ!ありがとう、ぴーちゃん」
褒めてもらえたぴーちゃんがぴゃーと音を鳴らした。おひるねの庭《うち》にある、外国にありそうなアンティーク調のメトロノームが頭に浮かぶ。音楽や歌に関わる使い方はあまりされていないが、昨日も使われていた。
「うちにもあるんですの。ね、三月」
「ん?うん。ぴーちゃんの説明らしい使い方はしてませんけどねぇ」
「うふふ。私も眺めるのは好きですけれどメトロノームとして使ったことはありませんわ」
「なーにつかうの?」
「鎮静ですわ!」
よく聞いてくれた!という勢いのぴーちゃんに、お隣さんの二人は首を傾げていた。鎮静という言葉だけでは確かに結びつかないかも。
「ちんせーなんぞや?」
「お気持ちがハイになった方を簀巻きにしてお部屋にメトロノームと安置すると結構効くんだそう。あとは眠れない方の入眠剤かしら?」
「後者が圧倒的でございますよ歌の君」
「そうですわね。でも簀巻きにしてメトロノームと安置するっていう話が強烈なもので」
わかるけどお、とくすくすと笑い合う二人。田幣が私に使えるの?と聞いたげに視線を向けてくれたから、ゆっくりと大きく頷いて返すと、ヒナをくっつけたままススス、とこそっとしながら近付いてくる。
「実績はどのくらいでしょうか……?」
なにかに困っている。
「簀巻きの件は色々噛み合った結果で、あまり期待しないほうがいいよ。もっと怒る子も少なくないと思う」
「そうですか……いや、その……寝かしつけについては」
「そっちは、うちの子達は結構効いてるかな。セットで撫でてることも多いけれど」
というか九割は誰かしらが撫でていると思う。亜人同士で寝かしつけることはよくあるが、眠れなさを一人で抱える子はあまり居ない。ぱっと思いつくのは鼈甲くらいだ。
「眠れない子が多いの?」
「あいえ、一人だけなんですが……不眠症ではなさそうなんですよね、最終的に眠れてぐっすりなので。消灯して三十分くらい、眠れない怖いって。色々試しているんですが」
三十分くらいで、そのあとちゃんと眠れる。医学のないものだけで判断するのは危ないけれど、私も病んでいるとは考えにくい。ただ、このままだと不眠症になるだろうと思うし、田幣の表情の暗さからは割と深刻な問題と捉えていることが伺える。
「三十分かあ……消灯制度なら、暗くて静かなのが怖いとかだったりしないかな」
「うーん、小さく明りをつけたりもしたんですがあまり効果は無くて……すみません、こんな話」
ヒナが田幣の腕を自身に巻き付けて遊びながらも静かにしている。いい子。
「いや……んー、話聞いただけの他人だけど、怖いだけかもっていうことを考えた人はいない?」
「眠ることが怖い?」
「いや、寝れないことが。消灯時間になったら寝なきゃいけなくて、たまたま眠くない日があって寝れなくて、静かで暗くて、眠らないといけないのにって怖いまま寝落ちして、とか」
「それは……」
固く厳しく規則を守らせる施設も、ある程度決まりがある方が生活しやすいからと添える程度な施設もあった。お隣さん《竹の子宿》がどうなのかはわからないし、よく知らない第三者が勝手に考えた妄想でしかないけれど。
「生活に規則性のある所にいたときに時々いたんだ、決まり事は守らなきゃいけないって必要以上に怯えてる子。もちろん全然違う理由かもしれないけれど」
「いや……ねえヒナちゃん、たまちゃんってしっかりした子にみえる?」
「ん?たゃーん?たゃやはね、そうかも。ご飯遅れるよっとか、お風呂だよお片付けしよっ!て教えてくれるよっ」
「ヒナちゃんもそう見えるかあ……しっかりした子だとは思ってたけど、もしかしたら約束を破ることに抵抗があるのかな……」
「んー?たゃま、いいこいいこされるのすきだからじゃない?お手伝いとられるし!」
「とられる?」
「とられる!それたゃやるよ!てお洗濯ものもってったよ!おもてーやつだからすっころんでぴゃーしたからナデナデした!」
規則を、というよりも褒められたい子なのかもなあ。驚いた様子の田幣を見るに、保護者の前では色々隠しているのかもしれない。そしてヒナがニコニコで話しているのを見る限りでは亜人同士の仲が悪いわけではなさそうか。ヒナが気にしないだけかもしれないけれど。
音楽室で音楽と関係ない話をしてるなあ、と他のものを見ようとして、自然と三月の方へ向いた。触ったから。
「ススせんせがよそのせんせになってるぅ〜」
半笑いで茶化すように言われた。裾をきゅっと握られながら。雨丸だったら膝から崩れ落ちている姿が見られたかもしれない。
「私はおひるねの庭の先生だよ」
毛が細く綿毛のようなふわふわの桜色に手を沈めるとふふふ、と空気を含んだ笑い声が聞こえた。置いてあるものが他所のものである以上、ぴーちゃんほど興味のない三月にとってはだだっ広い椅子ばかりある部屋でしかないのだろう。ぴーちゃんはピアノから肖像画、壁に貼ってある楽譜のようなものや歌の歌詞などを見ているようだ。
「くふふ。ねえねヒナ、ぴーちゃんとこいこ」
「ヒナ行く!」
元気に宣言し、ヒナが三月にひっついた。ハエトリグモがジャンプするのに似ているかも。三月がヒナを伴ってぴーちゃんに合流しに行き、嬉しげな声が聞こえた。
「すみません、気を遣わせてしまって……経験のある職員が少なくて。そういう職員向けのコミュニティも少ないし、熱意だけはあるんですけど」
謝りつつも話をやめたくなさそうにしている。あの子達が暇になるまでは構わないけれど。
「元々子供に関わってた人とかも居ないんだ?」
「はい。全員かはわかりませんが、ほとんどがボ、……長についてきた者たちで」
ボスと言いかけたその様子から色々と納得した。ここまで仲良くなれているということは、その愛情と熱意に嘘はないのだろう。
「そっかあ、頑張ってるんだね」
「ありがとうございます……あの、あの。もしよかったらなんですけど」
「素直な子が多いよ」
「え?」
「でもやっぱり、皆違う。同じでしょう?」
田幣は何とも表現しがたい表情をしているけれど、止めようとはしなかった。私の中にある言葉から選ぶのなら困惑だろうか。
「他の人に聞いたら、きっと親切に教えてくれる。私からは、会話と観察を」
相談相手がほしいと言いたげにしていたから、先に言ってみる。色々情報を得るのはいい。でも、先入観を持って交流するのはお互いに不幸になるだけだ。
「会話と観察、ですか」
田幣は私の発言が何かを理解してくれたようだ。
「田幣、三月が多腕なのはわかる?」
「え?いえ……そうなんですか」
「そう。どうして隠していると思う?」
「それは……うーん、その……気にしているから?」
多腕などは、どうしても特異な目に晒される。迫害を受けることも少ないとは言えないし、少しでも亜人と関わっていれば嫌でもそう考えるだろう。私も話すまでは触れて良いものかと悩んだ。
「全く」
「まったく?」
「前で手を組む癖。今は夏で袖付きだと暑いけれど外で肌は出したくないってところかな。普段の着替えは誰にでも手伝いを頼む子だよ、その日初めてみた子でも」
今日ここにいる時点で人見知りしないことは確定しているにしても、三月は活発な子だ。正直、見た目からは想像できないだろう。柔らかくて甘そうな桜色の髪から垂れる長い耳、白い肌に組んだ手、微笑みの美しさ。まあ元気な子なのは田幣も既にわかっていると思うけれど。
「私は今までの記憶からそう考えたけど、本人に聞いたら全然違うかもしれない。本当のことなんて他人はわからないもの」
「まあ……そうですね。ヒナが今日楽しめているのかも……」
そこは疑うなよ、と思わず口に出た。この人、ただ単に自分の行動や認識に自信がなさすぎるだけなのではないだろうか。あの子達に肯定されすぎて自身が慢心していないかと不安になっているだけとか。
「走り回ったり鳴いてるのは田幣とか、安心できる人が居るからでしょう」
「え、あ、まあ……そうですよね」
思慮深さが裏目に出ている予感しかしなかったけれど、私がつついてもいいものか。少し悩んだものの、ぴーちゃんたちが満足したのか戻ってくるのが見えた。
「ヒナちゃん」
呼びかけると、耳をぴんと立ててご機嫌に駆け寄って腕にくっついた。尻尾はゆらりと揺れている。
「ヒナちゃん、田幣好き?」
「たぬ?好き!」
満面の笑みにぴこんと揺れた耳、嬉しげに持ち上がった尾に強くなる腕の力、確かに発音された言葉。ヒナは疑う余地が微塵もないほどの好意と信頼を田幣に寄せている。
「ど、どうしたんですか」
それはそうだろう、と言いたげな表情。田幣みたいな人ばかりいるのだとしたら、亀裂こそ入らないだろうけど。
「ヒナちゃん、田幣には伝わって無さそうだ」
「は?」
「えっ!?たぬ、好き、なんで!?」
「田幣の好きなところは?」
ちょっと、と初めて私を止めようとしたが、ヒナは止まらない。このすれ違いは何処でも起きているし、結局わかっている者がわからせないとわからないままなことが多い。
「たぬはおてぇ、てっ!おててすきだよっ!いちゃんおっきくて、あのね、つめきってくれてるのっ!たゃゃのことずっとほめたげるし、みんなこまってたあ、なんとかしよってするのえらいしっ!」
私にくっついたまま好きを伝えようとしているヒナは健気だ。それを田幣は、保護者を頼るのは当然のことだから、と受け流していたと思われる。その唖然とした顔を見れば的はずれな推理ではないだろう。
「た、たぬはねだかあ、すごいんだよ、あのね、ほんとはないしょなんなけど、ふすふすなときにねちょいってしてもやさししなんだよっ」
「えっ」
「わぁぅふ、わふ、わ、あ、する、たぬ、んいーする、ふへへへ」
最後は内容を把握できなかったけれど、楽しそうに笑っているから楽しい記憶なんだろう。本人の方へそっと誘導すると、鳴き声を漏らしながら装着されていった。
「ヒナちゃん……あの」
「わふん」
「もしかしてなんですけど、あの……煙草、知ってる?」
「ん?うん、たぬとか、えぬんとか、フワーッしてるやね?」
「バレてる……」
「ばれ?れ?わかるよっ!」
「ごめんね、嫌じゃなかった?」
「ちっちぇーから平気っ!あでもカバンくせぇからきらい!」
「ああ鞄……いやごめんね、かば……鞄?ヒナの前で鞄出したこと……」
「くるときにみたよっ!かなかなが出待ちってゆってた」
「出待ち」
二人が記憶の共有をし始めたのを横目で見つつ、なんだか神妙な顔をしているぴーちゃんをつつく。小さく鳴いて目が合った。
「聞かれなくとも好きですわ」
「ありがとう。なにか思うところがあった?」
「む、ん……まあ、はい。私の想いはカンや針音達にも伝わっているのかしら、と」
「歌組が相思相愛じゃなかったらヤバじゃない?」
「ヤバだねえ」
三月の思わずといった言葉に繰り返して肯定をすると、ぴーちゃんもヤバですかと言った。この子達が崩れた言葉を使うのはどうしてこんなに可愛らしいのだろう。日ごろの行いだろうか。
「色々あるけど、とりあえずらいらいがぴーちゃん好きなのはみんな知ってるでしょ。ぴーちゃん居なかったら絡みにくいままだったんだから」
「そうですの?まあ確かに出会いの頃は中々素直になれない子でしたけれど」
「俺ちゃん、多少?陽キャな自覚ありますけど最初のらいは近寄るなオーラ凄くて全然話せなかったよ」
今ではカンをはじめ先生や他の亜人とも楽しく遊んでいるらいらいだけれど、会話の節々に私の知らない初期の雰囲気を感じることはある。蓄積されてきたものは消えるわけではない。柔軟になっていくことはある。
「ああ……そうですわね。私言われましたもの、図々しく無神経だって。私もらいらいに諭されてからお友達が増えた気がしますわ」
「良い関係〜。ぴーちゃんの好きが伝わったかららいらいは心開いてくれたワケですねえ」
「なるほど……三月のことも大好きですわ。お話しやすいですし、楽しいことたくさんですもの」
「そりゃ光栄なこって。へへ、ここで駄弁ってても仕方ねえですし、遊びにいきましょ」
三月がストレートに言われて照れてはぐらかしたのはぴーちゃんにもわかったらしく、自分はちゃんと好意を伝えられるのだと自信を持てたように見える。その笑顔はそういうことだろう。
「ですわね。ここの空気は落ち着きますけれど、せっかくの学校とバザーですもの。あちらさんも落ち着いたかしら」
ぴーちゃんが言い終わるやいなや、ヒナが田幣を引っ張って寄ってきた。田幣はあまり悪い意味を含ま無さそうな困り顔をしていた。
「ぴいたん!たぬひどいのっ!」
「まあ!いかがなさったの?」
「ひどいのっ!すきからくっつくのに、クセじゃないのに、クセいうんだよっ」
「あら、それはいけませんわね。癖ではなく質ですのに」
「ちがあ、んっとね」
ヒナがぴーちゃんにくっつきにいった。前からお腹に腕を回して完全に密着している。
「こうでしょ、好きはねーこうよ」
もそ、と動いた。ほとんど違いは無いように見えるけれど、腰を引いて前のめりになったように見える。これでわかれというのは厳しいだろうな。ぴーちゃんも一瞬だけああ、と言いたげな表情を作って、すぐに微笑みに変えた。
「なるほどですわ!実演してくださってありがとうございます。お節介ながら、もっと大胆でもよろしいかと思いますわ」
「だーたん」
「ええ。気が付いてほしいのなら過剰なくらいで丁度いいのですわ。何故ならばヒナの可愛さで知能が下がるからです」
「ちのうさがる」
「貴方を前にしてしまったらどれだけ冷静だったとしても様々な能力が下がります……と、雨丸が言っていましたの。多分そういうことですわ」
何となく聞き覚えがあるような気がしていたら知っている人の言葉だった。雨丸は逆に能力が上がっている気がするけれど。
「知能が下がっているときはもう可愛いとしか思えないんだそうですわ!なので、しっかりと言葉で伝えましょう」
「あーい」
ヒナはそのままぴーちゃんに一回頭突きしてから、田幣の元に戻っていった。田幣はもはやなにも言うまいという感じ。たまちゃん件も解決してちゃんと寝れるようになればいいけれど。
すっかり逸れた話も終わりにして、もう少し校内を探索することになった。といっても、三階に関しては開放されているスペースはあまり無く、目ぼしい場所は展示くらいだった。まあざっと見てみようか、と歴史展の看板がある教室に入ると、なんだか図書館のような静けさがあった。私達を抜けば片手で足りる人数しか居ない。
「おやあ、団体さん」
入ってすぐの長机に居る人がちょいと手をこまねいて私達を呼ぶ。静けさに緊張したのか、三月とぴーちゃんは私の後ろに下がった。
「こんにちは」
私より先に声を出したのは田幣だった。
「こんにちわあ。ここは亜人の歴史展でえ、主に人造種について一般的に知られていることをまとめているよお。まあ、歴史とゆーか特徴かなあ」
ふわふわとした話し方をする受付の人は、恐らく亜人だ。人間ではない者特有の空気があるのと、ヒナが毛を逆立てている。田幣も説明の途中に気がついたようで不思議そうに宥めていた。その人は目尻の垂れた目を細める。受付の人とヒナが無言で見つめ合う時間が数秒発生した。
その愉快そうな笑みに見送られながら、三月を先頭に教室の中に並べられた長机とその上に隙間なく置かれた資料を順に眺めていく。亜人が誰に作られたとかいう生々しい話までは無いけれど、人の愛玩のために作られたことは記されていた。そしていつの間にか増えて多種多様に枝分かれしていった亜人の、大まかにジャンル分けされた特徴の資料。人に関わらないと息もできない個体から人と一切関わらずにいられる個体、身体的な能力、それらに伴う本能や現象などの個体差についての資料がずらりと並び、やがて野良亜人や違法種、そもそも人造ではない亜人が居ることについて。
たしかにここをぐるりと見て回れば、現在亜人と呼ばれている生き物がどういったものなのかを把握することはできるだろう。田幣が時折足を止めていたりもした。楽しげでも退屈でもなさそうなまま静かに教室を出ると、ようやく息ができる、といわんばかりのため息が聞こえた。
「ふぇえ、ここにあるの納得ですわあ」
三月がぐんと伸びをして、ぴーちゃんもそれにつられて腕を伸ばして、ヒナは三月の多腕を二度見した。
「テーマに沿ってはいますけれど、入ってすぐこれは重たいですわね」
「だわー。てか俺ちゃんたちってムズい問題なんやねえ」
「そのようで、あら」
「おん?」
ヒナが三月のもう一対の腕をぎゅっと握りしめにいった。その目は何かを期待するように輝き、今すぐなにかを言いたげに口の開閉を繰り返す。
「どうなすった」
「わふっ、わぁー、わふ……ぁ、おてて、わううっ」
「手だねえ」
「どっち、どれになるねっ」
「ん?」
「あててぇあ、わふ、わふっ」
興奮気味に、静かな廊下へ過剰に空気を含んだ吐息が漏れている。それ以上言葉にならなかったようで、三月も困惑するほどの期待の眼差しを向けるだけ。ヒナ以外が田幣を見て、ぼうっとしていた田幣が意識を取り戻した。
「どっちがどれ……ああ、ヒナちゃん好きなやつか。一つの物を両手で握り込んでどっちにあるかなってするやつです」
「あふ!」
肯定的な返事をしたヒナの尻尾の忙しなさを見ると、どれくらい好きなのかがわかる。最早それをやるのは決定事項であり、何でいつやるかと言わんばかりの期待を三月に向けている。一種の圧。
「なるほど?なにでやろうかねえ」
それに怯むこともなく、二人がお小遣いを貰ってきているからそれで何か買おうかという話を始め、不思議と三人以上話していそうな賑やかさが静寂のカーテンを揺らす。通りすがり展示の方へ向かうお客さんには二度見されていた。その数分の話し合いで、思い出作りにぴーちゃんが気にしていたアクセサリー屋さんを覗いてみようということで一致し、階段を下り別世界のようにも感じる賑やかな世界へと戻った。
ぴーちゃんがたっぷり悩む間に他のお店を覗いたりしながら買い物を終え、休憩用に開放されている二階の教室でワクワクのあまり爆発しそうになっているヒナ。そこへ、仕込みに行っていた三月が腕を後ろに隠した状態でにやにやと悪役じみた笑みを浮かべながら戻ってきた。
「さんさん!」
座っていた椅子に立ちそうになったのを田幣がやんわりと静止した。尻尾はワクワクが止まらないといった様子。
「ふふん、ちゃんと当てないとお土産ナシだからね」
「できるよっ!ちったい玉あてれるもんねっ」
「そうかい!では、泣いても笑っても一発勝負だぜぃ!どぉれだ!」
同時に腕が四本、手の甲を上にして前に突き出された。ヒナは耳を風を受けた帆のように伸ばしてから腕を見比べていく。何を見ているのかまではわからないけれど、力の込め具合とかなのかな。腕に注目しているのはヒナだけではなく、様々な視線を向けてくる人達が周りにいる。多腕についてなにか話しているとしたら三月の耳には届いているだろうけれど、三月の浮かべる笑みに変化はない。私の耳にはもっぱらヒナの興奮っぷりに関する話が入ってくる。尻尾ってあんなに動くんだなあ。
「ススはどれに入ってると思います?」
「んー、どこかなあ」
ヒナたちの対面に居る私達はのんびりしている。ぴーちゃんも混ざりに行くのだと思っていたが、私を対面の席に座らせてからその上に着席して持ってきた水筒のお茶を飲んでいる。見た限り疲れた訳ではなさそうで、高揚していた気分が落ち着いてきたのかもしれない。
「私は……あ、でもヒナの邪魔になったらいけませんわね」
「一緒やるっ!?」
ぎゅん、と首が回ってヒナがこちらを見たその勢いに思わず笑い声が漏れてしまった。それはぴーちゃんも同じで、ヒナが満足げな音を鳴らす。この子もまた人を笑顔にさせる天才なのだろう。
「んー、ならばスス、私達は私達で一発勝負をいたしましょうか?ヒナが当たるか当てないか」
「え、ヒナを信じるけど」
「私もでしてよ!!」
勝負にはならなかった。ヒナは二人分の期待を受けてかっこよく鳴いてくれたあと、三月に向き直る。周りが少し静かになったように感じるのは恐らく気の所為だが、向き直ってすぐにヒナが強気に笑った。
「きめたっ」
「ふふ、さあどこかな」
線で繋げば四角くなるように突き出されている手のどこを選ぶのか。ぴーちゃんが小さくぴっと鳴いた。
「こふ!」
ヒナが気迫に反して両手で優しく包みこんだのは上の左手だった。二人がじっと見つめ合い、そして離れる。他の腕は降ろされ、選ばれた腕だけが伸ばされた。くるりと半回転し、閉じられた指が上になる。そこからはなにも見えない。
花開くように、指が外へ向かう。
「わん!」
そこには、シンプルな雫型の石がついたネックレスがあった。
「あはっ!ヒナちゃんえらいねぇ当てれたねえ」
三月がネックレスをヒナに手渡す。褒められて嬉しそうなヒナがくれるの?と首を傾げれば、もちろんと三月が撫でた。ヒナは静かに爆発した。
「あっ」
田幣の声は爆発したあとだ。爆発があまりにも早かった。一拍置いて三月が声を上げて笑う。
「あっはっはっ!わは、はははっ!ヒナぁ、おててはばっちいかもぉ」
「スス、三月が食べられてしまいましたわ」
「だねえ」
撫で終わり離れた手を捕まえ、なんの躊躇いもなく口に運んだ。慌てて田幣が引き剥がしたものの、手はしっかりと咥えられ三月が笑っている事実は変わらない。田幣はどうするのか。ああ、大慌てでヒナを腕でホールドした。
「ごめんなさい、三月さん。ヒナちゃ」
「かんてゃった!」
田幣の腕の中に捕まえられているヒナが顔全体でやってしまった!と言っている。三月はなお笑っている。おひるねの庭ではそこまで珍しいことでもないが、それはうちだけだと三月は思っていたんだろうな。興奮すると噛む子は結構多いよ。
「だめゆらゎふ、ぁゎゎゎゎふっ」
「あははははっ!お、ふっおもし、ろいねっふふ!」
多分ヒナは以前に注意を受けていて、それを忘れたわけではなかったのだろう。体に染み付いた癖は直すのに時間が掛かるもの。
「三月、笑ってないでフォローしてくださいまし」
「あは、ふふ。ヒナ、俺ちゃんは気にしてないよ。でも、していい?って聞いてお返事貰ってからしようね」
「ぁゎゎゎゎ、ゎう」
三月の言葉を解しているのか微妙なくらい動転しているヒナに対して田幣がふんわりと撫でながら優しく名前を呼ぶと、萎れていた耳がしっかりと立った。ちゃんと聞こえてる。
「そうだね、ヒナちゃん。やっちゃったことは無くならないからね、こういうときはどうしよっか」
「わゃなふ、ふ、んん、さ、さんちゃ、ごめんねっ」
「いいよ〜謝れてえらいねぇヒナちゃんはえらい子だあ」
「うん、えらいねヒナちゃん!三月さん、ありがとうございます」
「んふふふ、笑わせてもらったし……ていうかですよ!ヒナちゃんすごいんだって」
ほら、と差し出されたのは降ろされていた下の腕二本で、閉じられていた手が開くとそれぞれにアクセサリーが乗っていた。左手にはイヤリング、右手には指輪。幾つか買っているのは見ていたけれど、ぴーちゃんが悩んでいたものだけを使うとばかり思っていた。ああでも、そういえば悩んだ末に買っていたのはあのネックレスか。
「ヒナちゃんはちゃんとこれだよって見せたものを選べたんですよ!どれでも思い出にはなるだろーけど、ぴーちゃんが似合う!って選んだものを。えらすぎ〜」
「んふ、おぼえてるよっぴーちゃん、いっぱいかわいーしてた」
二人から視線を向けられたぴーちゃんが、まあ!と嬉しげに高い音を鳴らした。
「選んでいただけて嬉しく思いますわ!ヒナちゃんはよく動きますから、キラキラして似合うと思いましたの。よければつけて見せて?」
対面で座りながらそう言うぴーちゃんはどこかの高貴な人のようにも見える。ヒナが頷いて握り込んでいたネックレスを田幣に差し出した。
「私でいいのかな」
「ん?なん?」
「いや……つけるね。ちょっと首くすぐったいからね」
田幣がネックレスを受け取り、立ち直ってわくわくしてきたヒナの首に回す。太めの合皮っぽいつるりとした紐に、ぼってりとした雫型の不透明なターコイズブルーの石だけがついていて、どこかエキゾチックな雰囲気が血色の良い肌によく馴染んでいる。
「はい、できたよ」
「でけた!かあいー?」
「すっごくかわいい!想像だけでも可愛かったのに、まさかこんなに可愛いなんて……」
「わん!えへへっぴーたん!ほめられたっ!」
こちらに向き直ったヒナを正面から見つめる。かわいい。田幣は軽く衝撃を受けたようでふわふわしている。石そのものは光を反射しにくいけれど、ヒナがちょこちょこと動くのにあわせて揺れるのを見て、ぴーちゃんの言ったキラキラの意味がわかった。
「あらまあ本当に可愛いですわね。直感でしたのよ?天才なのかもしれませんわ……」
ぴーちゃんが両手で両頬を覆ったのが見えた。冗談めかしているけれど天才だから自信を持っていい。
「ぴーちゃんは多才だねえ、本当によく似合っている」
「ですわ!」
「えへっふふふっ!あふっ!ふぁーの、どっち?」
「ん?ああ、イヤリングが……ふふ、ヒナに選んでもらおうか」
「はふ!?」
「良い案ですわ!ヒナ、お願いしてもよろしくて?」
「わふ……わふっ」
「んふふふ。じゃーぁまた隠そう、中身入りは二つ!当てれるかな!」
「わぁふん!」
そうして第二ラウンドが行われ、指輪が三月でイヤリングがぴーちゃんになった。三人も保護者もニコニコである。更に話し声につられて他の子も寄ってきて、もう何回かどれだゲームが開催された。三月は笑みを歪めることなく全てを楽しげに進行してくれて、ぴーちゃんもヒナも褒めたり慰めたり。三月の腕を使う所は中々見ないから、私も二重の意味で嬉しい。結局、歩き回る時間がほとんど交流に使われたことになるけれど、三月もぴーちゃんも楽しかったと満足そうだった。
