亜人小話の小話
ぽってりぽてぽて
「あーるー」
「んー」
「あぁーるー」
「んー」
アルンが、うつ伏せに寝ているメルンの上に乗って、耳の後ろをすんすん嗅いでいる。メルンは不服そうにしているが、拒絶したいという様子でもない。アルンがべったりと甘える姿は、てつやアルが居るときには見せないものだった。
「だー」
「だぁー?なんだぁ」
「だぁーぃすき」
耳の真後ろから聞こえたからか、メルンの耳が後ろに倒れようとしてアルンにぶつかっていた。
「かゆいー」
「んふふー」
アルンはご機嫌そうに尻尾をパタパタさせていた。
「ぬー」
二人の声でない。マヌゥが二人に近寄った。アルンは姿勢を変えず、メルンの上で尻尾を揺らしているだけ。メルンは動けないが、マヌゥを目で追うこともしない。
マヌゥは特に気にしていないのか、二人の横につくとゆるく鳴きながら横になった。
「ぬーちゃんー」
メルンが呼びかける。マヌゥはみーと鳴いて答えた。そしてメルンもゆるく鳴き、気の緩む鳴き合いが始まった。アルンは変わらずにメルンの耳で遊んでいた。
それからしばらく、アルンがおもむろにメルンの耳を噛んだ。
「ぎゃるっ」
驚いたメルンの声、に驚いたマヌゥが二人から五メートル程度だろうか、距離を取って警戒した。
「ひひ、ふふっ」
アルンが驚く二人をおいて、ひとり楽しそうに笑っていた。我に返ったマヌゥがこれまた素早く近寄り、アルンの尻尾をさっと撫でた。
「なあによ」
「しかえし!」
「それで〜?」
「おこらせたら食べられちゃうもーん」
「なのに近くにはくるの〜」
「んぬー」
答えを濁したマヌゥがアルンに体を乗せる。下にいるメルンがうめいた。
「あーるーんー」
「なあによー」
「ぬーちゃんおこらせたらこわいんだからー」
「そーなの?ぬーちゃんこわいんだ?」
「おいぬさまがたがなにをおーしゃるのー?」
「とのことですがあ」
「マヌゥは怒らすとまにきゅあの刑に処されるのじゃ」
メルンがわざとらしく言うと、マヌゥがふふふっと笑った。
「そういえばメルンは嫌いだあたね〜。アルンも嫌いかなぁ?」
「まにきゅあぁ?指に色つけるやつ?なんでやなのさ」
アルンが不思議そうに聞く。
「乾くまで、爪に何も触らないようにしなきゃいけないのさ。ほぼ何もさわれないんだぜい」
「何時間も?」
「いや?長くて三十分くらい……だったっけ?」
メルンがマヌゥに向けて質問し、マヌゥは肯定した。
「それくらいならよくない?」
「とおもーじゃん?三十分、ほぼなにもしちゃだめーってなるときぃーっついぞお」
「んー…まあたしかに……」
「やる?やる?似合う色あるよお」
「メルンがやなら僕もやだろうからやーだ」
「おどかしたよね?」
「わーごめんなさーいー」
一拍おいて、三人はゆるく笑った。
また、足音が聞こえた。今度は誰だろう。
いつもこうやって、気が付くと集団になっている。
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