TWST × とうらぶ
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With 巴形薙刀
私は目が見えない。
だから本丸では顔と同時に目元を隠して過ごしていた。それはツイステッドワンダーランドに来てからもそう。視界が真っ暗なのは生まれつきだし、それはもう過ごしてきた年数だけで言えば20年以上だから慣れてる。……体の年齢はもしかしたら18のままかもだけど。
「あ、主…!申し訳ない、反応が遅れた」
巴が抱き上げてくれたのか、ふわっとした浮遊感のあとゆっくり地面に降ろされる。
「全然なにに躓いたか分からなかった……なにかある?」
「監督生、大丈夫か!?すげーど派手に転んでたけど」
「心配は嬉しいけど…ど派手に転んだとかあんまり恥ずかしいこと大声で言わないでよ、デュース」
ドタバタと3人分の足音が聞こえる。いつものマブたちだろう。揶揄ってきそうなエースやグリムもだんまりということは、結構……外から見たら痛そうな転び方したんだろう。擦りむいた感じもしないし、巴が慌ててないから血も出てないと思う、けど。
「なにに躓いたか分からなくて……巴?」
「………原因に心当たりがある、話をしてくるから主はここで待っていろ」
「巴、いいよ」
話をしてくる、ということは故意に誰かが何か仕掛けたのだろう。それも魔法?だとしたら私も巴も気付かなくて当然だ。
「デュース、グリム、お前はここで主と待っていろ。エース、お前は俺と来い。」
「子分、オメー顎から血出てるゾ…サムんとこ行ってプラスター買うんだぞ」
プラスター?と頭に疑問符を浮かべてるうちに巴とエースの足音が遠ざかっていく。エスコートされるようにデュースに手を掴まれ、肩に乗ってきたグリムによって強制的に購買部へ向かうことに。
「……巴形薙刀、抜刀は許可しないからね!!」
「分かっている」
こういう時だけ返事早いんだから…!!!
「手も!!!」
「心配するな、話をするだけだ」
*エース・トラッポラ
いやいやいや………すっげーーーキレてんですけど。2ヶ月前に入学式と同時にやってきた異世界人の監督生とトモエ。
サニワっていう超能力みたいな力を持ってる目が見えない女の子。監督生の印象はそんな感じ。
監督生の前に立ちはだかるでっけー壁。トモエの印象はそんな感じだった。
最初はオレらでさえも監督生にろくに近寄れなかった。まぁ……確かに初対面のとき嫌味なこと言ったけど!しばらく睨まれ続けてすっげー怖かった。あのフロイド先輩たちと同じくらい……いや、もうちょっと大きい存在からずっと睨まれてみ??普通に胃が痛くなる。
「あぁ、居た。……お前たち、待て」
大きな声を出した訳じゃねえのに、よく通る声でトモエが2年生たちに声をかける。どうして声かけられてんのかは分かってるみたいで、ヘラヘラしてる。
棚にあげるみたいで癪だけど、嫌味を言うのはまだしも目が見えない監督生を転ばして怪我させるってフツーにやりすぎじゃね?いたずらで済ませていいのか迷うレベルで。
「お前らが半刻ほど前に何やら仕掛けていたもので我が主が転んでしまってな」
「はあ?そっちのアルジが勝手に転んだんだろ?言いがかりはやめろよ」
「目が見えないから転びやすいんだろ?」
「わざとじゃねーの?」
口々に言いすぎなことを浴びせてくる奴らに眉間にシワが寄る。
「ほう、シラを切るか……話をしに来た。座れ」
「だからオレたちは暇じゃ…」
三人がトモエの方にほぼ殴りかかる勢いで近寄った瞬間だった。トモエに頭をぐ、と押され支えにするようにして回転したトモエは……チンピラ三人の頭スレッッスレを回し蹴りした。
「いやフツー回し蹴りで髪の毛パラパラしないでしょ」
「切れ味が良かったか……さて、座れ」
刀…トモエの本体と言っていた武器がなくても勝てそうにないと悟ったチンピラたちはおとなしく道の真ん中に座っている。
「エース、いきなり頭を押して悪かったな。当たったらお前の首の骨が折れる」
「コッワ」
「さて本題だ、俺は見ていたがきちんと事実確認をせねばな……誰があのような姑息な罠を仕掛けた?」
圧やば……なんか指先がピリピリする。ぶっちゃけるとリドル寮長やレオナ先輩、ブチ切れてるフロイド先輩たちよりも6倍くらい圧がある。
「は、はい…俺です…」
「何故仕掛けた?意図を聞こう」
「い、いたずらで…」
「目が見えない者に足を掬う『いたずら』か」
トモエの真顔ってすっげー怖いよな……。この2ヶ月でオレにも笑いかけてくれるようになったトモエの心の底からキレてる真顔、すっげー怖い……クル先よりも血の気引くカモ。
「何事だ?」
「ク、クルーウェル…!」
三人のうちの誰かが半泣きでクル先の名前を呼ぶ。助けてもらえるとか思ってんのかな、コイツら。
「くるーうぇる……?あぁ、薬学の教師か。話をしている」
「話……??オンボロ寮の監督生は不在か?」
「コイツらがいたずら道具でずっこけて顎ずる剥けしてるんで不在ッス、んで今トモエが説教中」
「人聞きが悪い、話をしているだけだ」
「ほう……いたずら道具?どのような?」
「俺には分からぬが……光ったあとに主が踏みしめていた地面がそうだな、このくらい窪んだ後足を取られて転倒した」
グリムくらいのサイズを手で示すトモエ。そりゃあんな派手なこけ方するわ……駆け寄ったときはそんなに出血してなかったし痛がってもなかったけど、監督生大丈夫かな…。
「……目が見えない、その道具は魔力がない監督生たちには見えないことを分かっててやったのか?お前たち」
あ、顔が怖い人もう一人増えた。三人は震え上がってる。まあまあ、と宥めてもらうの期待してたんだ…ダッサ、大体の教師陣監督生の味方なのに。
「…確認するがお前たち、齢16程度の幼子だな?」
「お、幼子……」
「俺からしたら皆幼子だが?……俺の主も齢18程度の幼子だ。お前らと比べて出来ることに限りがある。幼子ならまだ善悪の判断がつきにくいことには目を瞑ってやろう………しかし、二度目はあると思うなよ。刀を振るうなと主命を出され刀を振るわずとも、お前らをこの世から隠すことくらい容易い」
「ひ、ひぇ……」
「隠した先で俺が何をどうしようと、分からないからな」
フ、と微笑んだトモエにクル先でさえ言葉を失ってると監督生の声が響いてくる。
「子分、んな走ったらまた転ぶぞ!!」
「道をまっすぐ走ることくらいできるよ!……もう、巴!その神気しまいなさい!」
「あんたが掴んでるのエースだから、トモエ向こう」
全然こっちにまっすぐ来て袖を掴まれる。
「あれ!?ごめんエースかぁ……あ、ほんとだ。この癖っ毛はエースだね」
ぽんぽん、と判断するためにといつもみたく頭を撫でられる。
「主、怪我は?」
「すっごい大きい絆創膏貼ってもらった!ほら」
「……あまり血の流れをよくするな、出血が増える」
俺も見せてもらうと顎に本当に大きいプラスターを貼られてる。相当痛かったと思うけど、痛がる素振り見せなかったのなんなんだろ?あとで聞いてみよ。
「ん……?あれ、クルーウェル先生います?どうかしました?」
「話し合いの付き添いだ」
「……手足出したりしてない?」
「手は出すな、と言われたが足は言われなかったと思うが」
こらー!と怒られてるトモエからはさっきの威圧感もぴりぴりした空気もない。それに1番呆気にとられているのはチンピラ達だろう。結局クル先の怒りも買ったそいつら引っ張られて反省室行きだった。
*フロイド・リーチ
「ばあっ!」
「……?」
「は〜?反応うっす、つまんな」
ラミレジィみてえな白と青の服が目立つ小エビちゃんの使い魔に声をかけたのに反応薄すぎてつまんね。全然びっくりしてねーし。小エビちゃんは毎回びっくりしてくれるのに。
「こーえびちゃんっ」
「わ!フロイド先輩ですか?」
「そぉ、でも反対。こっち」
またでっけー教科書持ってる。アカイカせんせぇが特注で買ったらしい点字?ってやつらしい。小エビちゃんは目が見えないから最初包帯めくろうとしたらめちゃくちゃラミレジィくんに怒られた。
「それ届いたんだ、見してよ」
「教科書ですか?はいどうぞ」
うわ〜何これ……ページ全部につぶつぶついてる。
「フジツボみてぇ、超びっしりついてる」
「点字、初ですか?」
「小エビちゃんとこもこれあんの?」
「文字の形は違いますけど…ありましたよ」
へ〜…陸って不思議。全部音声入力とかにすりゃ楽なのに。
「主、何かあれば俺を呼べ」
「はぁい……ん、フロイド先輩魔法薬学終わりですか?」
「そおだけど…」
なんで分かったの?と顔を覗き込むと匂いと言われる。薬品とイシダイせんせぇの匂いするらしー。トド先輩とかコバンザメちゃんみてえなこと言うんだ。
「小エビちゃん、これいる?」
「?」
「レモンキャンディ」
「いいんですか?」
ま、レモンキャンディじゃねえけど。
「待て……お前が食しているものと違うだろう、それは何だ」
気付くのはっや……超能力でも使えんじゃねえの?この二人。
「さっきオレが作った魔法薬の試作品…髪の毛伸びんだって」
ラミレジィくんはオレの手から取り上げた魔法薬のキャンディをじ、と見たあと変なもの食わせんなって突き返してきた。効果わかってるから変なもんじゃねえし!!
「巴が食べてみたら?数珠丸みたいに可愛くなるのかな」
「主……あいつのどこが可愛いんだ」
「ラミレジィくんデケェし似合うんじゃない?」
オレも乗っかってみたけどラミレジィくんは頑なに食ってくんなかった。ちぇ、つまんねーのー。
(巴、おも、重い…っ)
(仕方ないだろう、少し目を離せばいつも声をかけられてるのだからな。安心できん)
(レモンキャンディの件は、匂い嗅いだらわかるよ)
(毒でも混ざっていたらどうする、不思議な力を使うところだ。幼子も多い故過信し過ぎは良くない)
(まあ……そうだけど…でも髪が伸びた巴のお手入れしてみたかったな)
(主が世話を?…なら今度くるーうぇるに作ってもらおう)
(やったー!……およ、今日はいつもと違う癖なんだね)
(水で濡らしても直らなかったのでな、放置している)
(ふふ、ぴょこぴょこしてるね)
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