TWST × とうらぶ
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With 五虎退
*五虎退
大変だ、あるじさまが倒れてしまった。
朝から元気のないあるじさまに違和感を覚えつつ、朝ごはんをご用意していたら階段から滑り落ちたあるじさまの額には切り傷ができていて、少しばかりの出血が見られた。
「あ、あるじさま……っ!ど、どうしよう…えっと、と、とにかく止血!ぐ、ぐりむさん!布巾をお願いします!」
僕は適当な器に水を入れて持ってくると共に包帯の準備。あとはこの消毒液でひとまず額の傷の手入れをしなくちゃ。
「大変なんだゾ、ゴコタイ!子分が熱ぃんだゾ!!」
グリムさんは愛称としてあるじさまのことを子分、と呼ぶ。あるじさまが受け入れてるから僕も受け入れてはいるけど……未だに慣れない。だってあるじさまはあるじさまだから。
言われたとおりあるじさまの首もとに手を添えると確かに……人の平熱というものより体温が高い…ような?
「人の体温を正確に分かるものってあるんでしょうか…?ひとまず額の切り傷の手当、しましょうっ」
手早く消毒したあとに『があぜ』と呼ばれる薄い布巾を当てて包帯を巻く。出血は酷くなさそうで何よりだ……呼びかけてもあるじさまの意識はなく返事はない。ただ暖かく呼吸をしていることだけが生きている証で、怖くなる。
「これ、まえにラギーからもらった救急箱セットなんだゾ、この中の……これ!これが人間の体温を測る道具らしーんだが……オレ様使い方なんて分からねえんだゾ」
「こ、こんな小さくて細いもので……?虎くん、えと……りどる寮長を呼んできて、話が通じなさそうなられおな寮長に」
ひとまず誰かの助けを借りなければあるじさまを正しく手当できないと判断して、助けを呼ぶ。
「オメーといたときに熱が出たりはしなかったのか?」
「僕が知る限りは……あってもいち兄…僕たちの兄がいるんですが、いち兄や他の手当ての仕方が分かる刀剣が担当していたんだと…思います」
あるじさまの手を握る。まだ、暖かいし脈もある。
「熱があるということは患部を冷やす必要があるんでしょうか……でも…冷やしすぎても駄目だろうし…」
そう思い悩んでいると、りどる寮長が来てくださった。
「失礼するよ、おや……このガーゼは?」
「あるじさま、階段から落ちて…出血していたのでその手当は完了しました。僕、あるじさまが熱を出したときの対処が分からなくてぇ……あるじさま、大丈夫ですよね?」
「泣くのはおよし、僕がきちんと教えてあげるから覚えればいい……ひとまず彼女をベッドまで運ぼう。あとでトレイも来るから」
体格の小さい僕では虎くんと合わせてもあるじさまを運べないので、りどる寮長に運んでもらう。
「まず、体温計は各血管が多く流れているところに使うんだ。この体温計は口専用ではないから、脇の下だね。衣服の上からではなく素肌に当てて、脇を締めるように。時間が来たら音がなるから」
「は、はい…!あるじさま、失礼しますね」
本当にぴー、と音が聞こえた。体温計を抜き出して確認すると、38.9の表記。人間の平熱はたしか、36.5くらいだと昔あるじさまに教えてもらったことがある。随分と高い…。
「高熱だ、嘔吐の形跡もなし……医者にかかるまでは原因は特定できないが…食べ物からのウイルス性なら同じものを食べた君たちの体調が不調になってないから違うね」
「あるじさま、震えてます……寒いんでしょうか?こんなに熱いのに……」
「体の免疫が菌に対抗して熱が出ている状況だからね、本人は逆に寒かったりするんだよ」
なるほど…。ひとまずあるじさまが重くて苦しくならない程度に布団をかける。
「体温が上がっているとその分汗をかくから水分補給をしっかりとらせること、衣類をこまめに変えて汗で体が冷えないようにね」
「は、はい!気をつけます…!」
なんて頼もしいんだろう、さすがりどる寮長…!寮というのは本丸みたいな一つの集まりで、寮長は実質あるじさまのようなものだと教えてもらった。
「よう、入って平気か?」
とれい副寮長も来てくださった。りどる寮長から説明を受けてあるじさまの様子を見てるのを観察していると、目が合って頭を撫でられる。
「わわっ」
「そんな穴が開くほど見つめなくても……ストレス…環境の変化に対応しようとしてたくさん無理してただろ。疲れても人間は熱を出すことがあるんだよ、それっぽいけどな……頭打つのはあんまりないが」
「はー、人間ってめんどくせーんだな」
「繊細とお言いよ……着替えなんかはゴコタイに任せようと思う、数時間ごとに熱を測ってあげて。あと、熱のときは食欲が落ちるだろうから………何がいいんだろう?」
りどる寮長の意見に同意見だ。人間というのは陽の光を浴びないだけで気が滅入ってくるのだという。他にも、誰とも話さなかったり疲労が溜まり続けたりすると身体も心も良くない状況になりやすいのだと勉強した。
「たしかにな……監督生が食欲ないときとかあったか?」
思い返す限りは……ない。でも…燭台切さまはたしか…。
「床に伏せた時はおかゆ、というものを食べるとは聞いたことがあります……」
「「おかゆ?」」
「はい。えっと、お米を水と共に煮て、漬物などを合わせていただくと…お米は栄養価が高いので」
「サムさんに聞けば用意はできそうだけど…すぐに用意することは難しそうだね」
りどる寮長たちの国での療養食を作ってくださることになった。僕も書き記していつでも作れるようにしておかないと。学園長やくるーうぇる先生にも訳をお話して今日ひとまずあるじさまとぐりむさんはお休みにしてもらう。
「ふう……あ、僕あるじさまの様子見てきます」
「頼んだゾ!」
階段を登り、部屋に入る前に声をかける。…返事はない、あるじさまは意識が戻ったのだろうか。
「あ、あるじさま…!起き上がってはいけません」
扉を開けると上半身を起こしたあるじさまと目が合う。いつものような反応はなくてあるじさまは静かだ。もしかしたら切ってしまった頭が痛いのかもしれない……それか発熱の方で苦しいのかも。
「あるじさま、僕です。五虎退です。体温を測りにきました」
「……五虎退…?」
「はい、あるじさまは体調崩されてしまったので今日はお休みです。看病、頑張りますね」
体温計を手に取るとあるじさまが自分で測り出す。やはりあるじさまの元の時代にもあるものなんだ……!ぴー、と音がなり二人で覗き込むと38.6の表示。まだご飯も食べてないし、薬も飲んでないから当然なのかもしれない。
「着替えなど必要でしょうか?」
「ううん……五虎退、布団来て。嫌な夢見た…」
ぐいぐいと袖を引っ張られる。僕があるじさまのおひざの上に座らせてもらうことはあっても、あるじさまがこうやって僕にくっつこうとするのは珍しい。
「わ、かりました…えと、あの…りどる寮長たちが療養食を作ってくださいましたが召し上がられますか?」
「………そっか、薬飲まないと熱下がらないね…食べてから寝る」
いつもよりもっと柔らかい口調のあるじさまはなんだか不思議だ。目に力がないから力が入らないのかもしれない。虎くんに伝え、ぐりむさんに『すうぷ』を温めてもらうように頼み、購買部のさむさんから頂いた解熱剤を手に取る。……食後に3錠、よしっ。
「わあ…コンソメスープか。ここではこれが療養食なんだ」
「こんそめすうぷ……」
香りはとてもいい。あるじさまは時間をかけながらも完食した。薬をお渡しすると嫌そうな顔をしていたけれど、僕、虎くん、そしてぐりむさんが見つめていたからか嫌々ながらも薬を飲んでいた。
あるじさまが寒いと震えているのでさらに布団を掛けているとあるじさまにもう一度呼ばれる。布団に入りあるじさまに抱きしめられるといつもおひざの上に乗るときよりも確かに熱い。熱が篭っているような体温の高さに驚いた。
「あるじさま、お辛いでしょう……僕の手、冷たいですよ。握っていてください」
「うん……五虎退、ごめんね」
「なぜ謝るのです…?僕はあるじさまを怪我させてしまった事のほうが申し訳なく感じます……」
「けが…?けがなんてした?」
痛みを感じてないならまだ幸いだけれど、あるじさまに今朝階段から落ちて額を怪我したことを伝えると全然覚えてないと返ってくる。
「そうなんだ、この包帯も五虎退たちが?グリムにもあとでお菓子買わないと」
「ぼ、僕は結構です!当然のことをしたまでで……っ」
「だめ、お礼くらい受け取って」
*トレイ・クローバー
おやおや……朝からハーツラビュルに監督生の使い魔、ゴコタイの虎がやってきて何事だ?と思えば3年の獣人族の奴が翻訳してくれたおかげで監督生が倒れたとヘルプ要請が来た。
俺とリドルが到着して話を聞いた途端にゴコタイは手当の仕方がわからないと一瞬泣いたものの、熱が出た場合の看病の仕方を伝えるとメモをして熱心に聞いていた。昼休みになって気になってオンボロ寮に顔を出してみれば、ゴコタイと監督生が同じベッドで仲良く眠ってる。
お、スープを完食して薬を飲んだか。今朝よりも若干熱が引いたのか、顔の赤さがマシになったように思える。額に手を伸ばそうと1歩足を踏み入れた瞬間、音もなくゴコタイの持つ自身だという短剣が喉元に突きつけられて動けなくなる。
「……っ」
「…あっ!す、すみません!!て、敵襲かと思って…!すみません、すみません…っ!!!」
俺だと分かった瞬間の鋭い眼光は消え、いつもの慌てふためくゴコタイに戻った。顔を青白くして土下座の勢いで頭を下げるもんだから慌てて止める。
「いや、いい、悪かった。ノックもせず入った俺が悪かったな……いやしかしすごい反射神経だったな?さすが監督生の近侍」
「う、あの……本当にすみませんでした……もっと皆さんの気配と怪しいものの気配を感じ分けられるよう、精進します……!」
あらぬやる気を注いでしまったみたいだ。
「五虎退……?」
「ああぁああるじさまっ、すみません!起こしてしまいましたか…?!」
オロオロして右往左往する様子はさっきと同じとは思えない……監督生と使い魔のゴコタイたちは歴史を改変しようとする奴らと日々戦っていて、毎日が生死の境目の日々だったって前にゴコタイから聞いたことはあるが……確かにあの殺気は納得がいくな。
「あれ……鶯丸?よしよし」
ゴコタイを宥めるためにしゃがんでいた俺がウグイスマル、と呼ばれ撫でられる。監督生、さては寝ぼけてるな?
「あるじさま、鶯丸さまではありません…!とれい副寮長です!ね、熱のせいで幻覚を…?」
「いや、ぐっすり眠れたんだろう。寝惚けてるんだよ……監督生、もう少し寝てたほうがいい…が一旦熱は測ろうか」
ゴコタイの助力もあって熱を測り、38.2まで一旦熱が落ち着いた?のを確認。今日明日で熱は下がるんじゃないだろうか。
「あるじさま、お水も飲みましょう…!」
献身的なゴコタイは俺らが言ったとおり水をきちんと飲ませてるし汗も拭いてるようだ、任せて安心だな。
「五虎退、鶯丸、だっこ」
「あわわ、あるじさま…鶯丸さまはおりません!」
随分と幼児退行してるように見える監督生を見てると、五虎退がおずおずと話し始める。嫌な夢を見た、とだけ言われたらしい。
「じゃあなおさら側にいてやらないとな…ゴコタイやグリムは飯食ったか?」
「あ、ぼくはそんなにお腹空いてないので…」
病人の看護は思ったよりも体力も気力もいる。ゴコタイが次倒れたら監督生が心配するだろうからちゃんと食べるように伝え、キッチンを借りる。腹を空かせたと騒ぐグリムに急かされながら軽食を作る。
リドルが夕方に顔を出したときも監督生は寝っぱなしだった。食事と薬のために声をかけたが起きやしない。相変わらず顔は赤いし熱は高いままだ。夜にもっと熱が上がらなければいいが……。
「寝苦しそうな時は氷枕を使うといい、購買部で買ってきたからこれを冷やしておくんだ」
「あ、ありがとうございます!…あの、あるじさまとっても綺麗好きなのですが本日入浴などは可能ですか?」
「絶対にダメだ、熱が下がるまでは。風呂場で倒れでもしたらまた頭を打ち付けてしまうかもしれないだろう」
そうか…もともと刀で人ではなかったから本当に分からないことだらけなんたな。
*五虎退
「あ、あるじさまっ!まだ万全じゃないのに…」
脱衣所から出てきたあるじさまの髪は濡れている。昨日から起きてる時間が増えたあるじさまはずっと入浴がしたいと言っていたけれど、りどる寮長たちの言いつけどおりだめですと断っていたら僕がお夜食を作ってる隙に入浴してきたみたいだ。
「もう微熱程度にまで下がったし、あとは大丈夫だよ……五虎退、心配かけたね。きちんと休めてる?」
「僕は平気です、あるじさま……額の傷をよく見せてもらえますか?包帯を巻き直しましょう」
そう申し出るとあるじさまがそふぁに座る。消毒をして、があぜを肌に押し当てて包帯を巻いていく。切り傷の範囲は小さいものの、打ち付けたことによる痣が大きな範囲にある。
「五虎退に髪の毛乾かしてもらおうかな」
「お、お任せください…!」
あるじさま、熱を出してから僕を前よりも頼ってくださるようになった。頼りないのかな、とかそれくらい僕がやるのにと密かに感じていたからとっても嬉しい。
僕が作ったお夜食も食べて、薬は嫌だと拒否するあるじさまをなんとか説得して布団に横になる。最近は僕も、と呼ばれるので一緒に。
ぐりむさんはぐりむさん用の小さい布団があり、その横に虎くんが丸まって眠るので、この部屋は寝息が多くて少し本丸を思い出す。
「あるじさま、おやすみなさい」
(完全復活!リドル寮長たちにお礼の菓子折り渡しに行こうか……さ、グリムも好きなお菓子買うから購買行こう)
(オレ様もか!?やった〜!)
(五虎退と虎くんもね)
(ぼ、僕は……うぅ……あの、ちよこれいと…がいいです)
(分かった、10個買おうか)
(か、買いすぎです!)
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