13 With …?
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加州清光
俺の主は頑張り過ぎなところがある。いいところでもあるけど、直してほしいとこ。あと人たらしなとこも!主が審神者になって何人邪なこと考えてる他所の審神者蹴散らしてきたか。
同じ国の近くにいる若い生娘ってことで手頃でちょうどいいって言わんばかりの態度と下心が見え見えの状態で近づこうとしてくるもんだから、俺達は何回ブチ切れながら追い返したんだか。そんな主が心の底から信頼して頼る審神者が宏美さん、だった。
『あたしには貴方より幼い孫がいるけど、睡ちゃんも孫みたいなものよ』
主が異世界に行っちゃって確認が遅れたけど、宏美さんの孫……瑠璃は本当に幼い。主のことをお姉ちゃんお姉ちゃん、と慕ってくっつく様は少し前の宏美さんと主を思い出す。
「喜んでもらえてよかったね、主」
「うん、顔出せてよかった」
「あの子……アンタみたいに親元離れて暮らしてるってこと?」
「申請出したりすれば帰れるけど、そうですね」
「あんな子供にも頼るしかないって、そんなにサニワって少ないんですか?」
帰り道、ゔぃるやあずーる達の質問責めに合う。このガキンチョ達はガキンチョ達で、思うとこあんだろなぁ…。
「勿論。誰だってできることじゃあないんだよ」
「あーあ、ガキンチョ共のせいで蜂須賀の主自慢始まった」
「こら、清光……はっちー、あの、盛らずにね?」
主に頭を小突かれたけど、事実じゃん。蜂須賀は主自慢がすごい。宏美さんにもべらべら話して笑われてたことあるし、向こうの陸奥守にも笑われてた。
「僕たちのことは主から聞いているんだろう?曲がりなりにも神を扱うなんて誰しもできることじゃない。顕現させるには霊力というものもいるし、主は生まれながら霊力が高い家系ではないからね……毎日地道な修行をして扱えるようになったのさ」
そういえば、主が帰ってきた日に魔法は誰しも使えるものじゃないから主と小夜が滞在していたところは専門生が集うような場所って聞いたっけな……。魔法に置き換えたらこのガキンチョたちもすんなり理解できそう。
「ね〜、主ぃ…俺わらび餅食べたい…もう万屋寄らない?」
「浦島………無駄遣いはよくないだろう」
「ふふ、はっちーの好きなはちみつアイスも買って帰ろ!清光の好きなどら焼きと篭手切が好きなずんだ餅も」
「なになに、なんでそんな大盤振る舞いなの?」
自分の好きなものは買うと挙げない主に詰め寄ると、昨日の政府職員の来訪時にもらったお土産袋に謝礼金まで入ってたそうで……しかも結構な金額。それって、前任も合わせて相当酷い態度だったって向こうが自覚したからってことでしょ?……謝罪されたからまだマシだけど、なんか素直に喜べない。
「あれ……?ノリ気じゃない?」
「お金の出処が嫌なだけ」
「もう謝罪してもらったんだしさ、お金まで入ってたんだから振り切るしかないよ」
「分かってるけどさぁ〜〜」
「君も大概だね、加州」
蜂須賀に笑われて腹が立つから小突いておく。ムカつくはムカつくじゃん……謝ったからってなかったことになるわけじゃないし。万屋に寄って、俺はいいから主の好きな甘味食べなと言っておいた。
*アズール・アーシェングロット
思ったより監督生さんのいるこの世界……いえ、時代でしょうか?…ここは随分と劣勢のようですね。まさかあんな幼い子どもが神を仕切り、歴史改変を目論む軍勢と戦う一部になってるとは……なりふり構ってられない、そんな風にも受け取れる。
監督生さんはマメで、全ての資料をまとめて保管しておいてるらしくお店を経営する僕は管理の一環として当たり前では?と思っていたが、彼女のそのマメさは不利にならないよう、この劣勢な状態をより酷くしないように保つためのものでもあるんでしょう。
ホンマルという彼女たちの自陣においても部屋を離れようとすると必ず誰かしらの監視と守りがつく……つまり、あの自陣の敷地にも敵が責めてきてもおかしくないということ。きっとその過去があるんだろう。監督生さんは思ったより厳しい状況にずっといるのかもしれない。
「ただいま〜」
「主、おかえりなさい」
ジュズマルさんだ。彼の監督生さんへの過保護っぷりはこの数日でもう慣れてしまった。彼が近侍として側に控えている際に監督生さんはナイトレイブンカレッジにやって来たそうで、それをずっと負い目のように感じているのだろう。初めて対峙したときの圧の強さは忘れられない。
「宏美さんのお孫さん、すっごく可愛かったよ」
「そのようですね…貴方たちも手を洗って来てください。今日はお蕎麦です」
ソバ?またここならではのものだろうか?とりあえず頷き、手洗い場へ。
「ねえ」
「?」
「ん〜……あのさ」
カシュウさんだ。何か言いにくそうに頭を掻いている。僕もカリムさんも、ヴィルさんも動きが止まる。
「なんて言ったらいいか分かんないけど……そんな、悲観しなくていいからね」
「……そりゃするわよ、あんな子供が代理をする必要があると思えば……言い方が合ってるか分からないけど、切羽詰まってるって感じるもの」
ヴィルさんもカリムさんも、僕と同じように感じていたようだ。監督生は確か、僕達がナイトレイブンカレッジに入学するくらいの年齢の時にサニワになったと仰っていた。先程のルリさんよりは年齢を重ねていても、当時未成年だったのには変わりない。結局は子供に力があるからと管理し、国の命令に従うなんてよっぽど余裕がないんだろう……と判断してしまう。
「ん〜……まあ、さ。母数が大きすぎてここの本丸だけ頑張ったところで、主が寿命になっても終わらないくらい敵はいるよ」
「そんなに……」
「敵って言っても人間想像してるでしょ?人間じゃないよ、作り出された生命体がうじゃうじゃいて、その先に根源がいる感じ。でも俺らは……ううん、他の本丸も含めてその下っ端処理に追われてる感じ。先の根源の対処は政府が中心だよ」
「よほどの数がいらっしゃるんですね」
「そりゃもう……終わりがないんじゃないかって本丸を畳む審神者も少なくない。戦いばっかりで荒む審神者も多いし……まあ皮肉だよね、俺らは戦うための武器で本望だけど主たちの大半は戦いが終わった平和な時代からやってきてるから戦いとは無縁なの。」
「……そうね」
最初は右も左も分からなくて失敗ばかりだった、と零していた監督生さんを思い出す。戦ったことがないなら尚更そうだろう。
「一応、年々敵は増えてるけど審神者も増えてるし、経験積んで皆強くなってる。対処できることも増えてるし……だから……あ〜!俺こーゆーのホント苦手!……しんみりした空気なんなくて平気だから、ガキンチョはガキンチョらしく笑ってろよな」
「何ですかソレ……」
いーの!とよく分からないまとめをしてカシュウさんがその場を去っていく。あんまり心配するな、と言いたかったんだろうか?
「カシュウはオレらのことよく見てるんだなぁ」
「そりゃあね……言っとくけどカリム、あんたが一番真顔になってたわよ」
「え!??」
「えぇ……そうですね。カリムさんはご兄弟がたくさんいらっしゃると伺っていますのでご自分の兄弟に置き換えて考えてるのかと思うくらいには」
「やべ、そんな考え込んじまってたか…?なんか悪いことしたな…」
「仕方ないわよ、まさかあんな小さい子にも任されることだと思ってなかったもの。政府管理って時点で大きなことだとは思ってたけど、老若男女に行き渡るくらいのものだとはアタシも正直…。
ま、士気を下げかねないし考え過ぎは良くないわ。少なくともさっきのホンマルも、ここもそうそうやられはしないってことだけは分かるんだし」
そうですね、と相づちをうつ。食堂へ戻ると、グレーがかった細長い麺がある。これがソバ……。
「ま、待ってください!えっと……」
「あら、ゴコタイ。どうしたの?」
「お蕎麦、は蕎麦の実をすり潰してそれをそば粉として麺を成形してるんですが……えっと、もしかしたらあれるぎぃがあるかもしれないので、最初一口だけ食べて少し様子を見てください……」
「ソバの実……不思議ですねえ」
一口、つゆに浸して食べる。爽やかな風味が鼻を抜けていく。こんなに細いのにコシがしっかりある……不思議な食べ物だ。数分様子を見てみる。
「口内が痒かったりなど…ありますか?手も見せてください」
「僕は今のところ平気です」
「アタシもね……これ美味しいわ」
「ん〜なんかオレ痒いかも……」
カリムさんを見やるとぽりぽりと腕を掻いている。
「首元も見ていいでしょうか?……赤い……蕁麻疹が出てますね、かりむさんは別のものを用意します。蕎麦を茹でた調理器具とは別のものを使用しているので、安心してくださいね」
「ありがとな!」
「カリム、他にアレルギーあるの?」
「いや、初めてだ」
「そう……監督生!」
「ごこちゃんから聞きました、カリム先輩……わ、痒そう……えっと…食べ慣れたものがいいですよね。お米とかだったらこの数日で何もなかったので、ご飯になっちゃうんですけど…」
「そうね、おにぎりがいいと思うわ。カリムも今日の夜は下手に色々食べないほうがいいわ、今まで大丈夫なものでも誘発されかねない」
「そうなのか?アレルギーって面倒くさいんだな」
「あと、蕎麦って強いので匂いとかでもアレルギー症状出ることもあるのでカリム先輩別室行きましょうか…清光、カリム先輩別室でご飯食べるね」
「あれるぎぃ?」
「うん」
「ありゃ……首真っ赤じゃん、軟膏あっからあとで塗りなね」
重症化しないといいですが。飲食店を経営する僕もアレルギーには最新の注意を払っている。有名なアレルギー食品を扱った調理器具とは別のものを用意する、スペースも分ける。それくらい繊細なものだ。監督生さんとカリムさんは別室に行き、ヴィルさんと慣れないながらソバを啜る。啜るという行為がうまくできない。
「信じられないわ、音を立てて食べるほうがいいだなんて…」
「蕎麦に関してはいいんだよ、そういうもん」
カシュウさんに笑われながらも完食。付け合せの薬味によって味が変化するのがなんとも面白い。
*カリム・アルアジーム
「監督生、わざわざごめんな」
「いいんです!蕎麦だめな男士もいるので……あの、喉とか大丈夫ですか?気道塞がったりは…?」
「それは大丈夫だ!口の痒みも引いてきたしな」
監督生の言うとおり、あの場所を離れたからか?呼吸もしやすいような気がする。喉や腕の痒みはまだあるけど、弱まってきた気はする。
「誘発を防ぐために質素になっちゃって申し訳ないんですけど……お味噌汁とおにぎりです」
「いいっていいって!おにぎり美味いし……お、見たことない具だ」
「ツナマヨですね」
ツナマヨ?マグロとマヨネーズを合わせたものらしい。しょっぱさが米に合う。食堂とは違ってオレと監督生しかいないからすげぇ静かだ。
「監督生はさ…」
「?」
「……聞いていいのか分かんないけど…疲れたりしないのか?大変だろ、ここを仕切っていくのは」
「ふふ、心配症ですね皆さん……疲れますよ、それは」
皆さん?
首を傾げていると、ヴィルやアズールもずっと難しい顔してるって監督生が笑ってる。
「錬金術の時でしたっけ……私、掴み合いの喧嘩もしたことがないってお話したじゃないですか。それくらい平和ボケしたところからここにやってきたので……
なんていうか、人の形じゃないとはいえ命がある敵軍を人の形ではある神様たちと倒していくのって最初よく分からなくて。想定通りに行かないことが多くて、怪我をして帰ってくる皆の手入れをする時とか……疲れるっていうんですかね」
「うん」
「力があるからって薦められるがまま審神者になりましたけど、今も色々迷うこともありますし…でも大丈夫です、私の図太さはカリム先輩たちもご存知でしょう?
過去の時代に遡って歴史を改変されないように守るどころか、異世界に行った身ですから」
「…ふは、そうだな!監督生はしっかりしてるもんなぁ……でも…そうだな、たまには人間にも頼れよ」
「ふふふ、ありがとうございます。遠慮なく」
笑いあってご飯を食べる。監督生なら大丈夫……なんとなくそう思えた。監督生自身が言ってる通り、確かに図太さはある……だからナイトレイブンカレッジでもやっていけてるんだろうな。
(わ、なんか仲良しじゃん……)
(清光、軟膏ありがと…そんな拗ねないでよ)
(ふーんだ)
(あだ……重い重い)
(カシュウも監督生のこと心配してたもんな)
(言わなくていいから……あ、蕁麻疹さっきより引いてきたね)
(軟膏塗れば良くなりそうだよね)
(食ってみたかったなぁ、ソバ)
(小麦は大丈夫ですよね?パンとか)
(おお、パンは平気だ)
(じゃあやっぱり蕎麦粉がだめなのか……うどんっていう小麦粉の麺もありますよ)
(らぁめんもあるしね)
(素麺もあるし)
(すごいな、ここって麺類そんなにあるのか?!)
(ヴィル先輩の故郷とはまた別ベクトルですが……美味しいもの好きな国なんですよ)
(なんとしても美味しく食べてやるって精神すごいよね)
(そのまま食べたら毒のあるものでも、手間ひまかけて意地でも食べてますからね)
(すごいな……)