13 With …?
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With 姫鶴一文字
*カリム・アルアジーム
ぱち、と目が覚める。まだ夜か?……右側にはヴィルがこっちを向いて寝てる。ヴィルは寝てても様になんだなぁ……オレの左側にはモノヨシが丸まって寝てる。寝相のせいか布団が落ちてるからかけ直してやる。喉乾いたな〜…トイレも行きてえし。
音を立てないように静かに立ち上がってフスマ、という木と紙で作られた薄っぺらい衝立に近い扉を開ける。音も筒抜けだし、誰かが歩くと影ができるのにこれで部屋や空間を仕切るってんだからプライバシーはあるようでない。監督生は凄えよなあ……すりガラスの扉みたいなものと考えたら、オレは嫌だ。仕切るドアくらいはせめて向こうの存在を分かりにくい、ちゃんと区切るドアがいい。
お、今日は満月なのか。月の光と屋内はろうそくの灯りくらいしかないこのホンマルは真っ暗だ。月光だけでこんなに明るく感じるのは砂漠ぶりだな……。あれ、トイレとかキッチンってどっちだったっけ。
「部屋から出て右に曲がったから……ここを…ん〜?分かんねえや」
「なにしてんの」
「うわぁ!??!」
いきなり後ろから声がして跳ねるほどビックリした。割と近い距離に立っていたそいつを見上げる。イデアやヴィルみたいに大きい。ヴィルとはちょっと違うけど、中性的で髪も長いし女の子みたいだ。
「しー……みんな起きちゃうから」
「わ、悪い……びっくりしちまってよ」
「あぁ……それはごめん。迷子?」
「おう、迷っちまった。ここほんと広くて迷いやすいよなあ……トイレ行って水飲もうと思ってたんだ」
「ふぅん……厠はこっち。ついてきて」
「ありがとな!…お前は寝なくて平気なのか?」
「ん、今日は不寝番だし……ここ段差あるよ」
「不寝番…」
「寝る前言われなかった?夜とかだと本丸内でも良くないものが彷徨くって」
「言ってたような…?その良くないものってなんなんだ?ゴーストとか?」
そういえば名前を聞いてなかったな。なんていうんだろうか?刀の名前なのに、有名な偉人の名前もついてたり作り手の名前だったり。地名が由来のやつもいるから、パターンが掴めねえし想像ができない。見た目だけなら雪みたいなそいつが振り返る。
……あれ、こんな顔だったか?
「だめ、こっち」
「!」
後ろから肩をグイ、と引っ張られて雪のようなそいつがもう一人出てきた。ふ、二人?
「あら〜狙われちゃった?ふふ、だいじょーぶだいじょーぶ、ちょーっと目閉じてな」
なんかいい匂いがする。もう一人がオレの目元に手をかざしてきて視界が真っ暗になる。
「俺に化けて攫おうとするとか最悪……消えろ」
「ほい、退治完了!……危ないとこだったねェ」
「?……えっと…なんか危なかったか?」
「さっきまで居たのはニセモノ。化けて出てた……俺、姫鶴一文字。後ろのは次郎太刀。」
に、ニセモノ……。良くないものが出るとは言われてたけど、あんなナチュラルに巻き込まれるとは思わなかった。
「ヒメツル、ありがとな!……あれ、道まで変わったのか?」
「ああいうのは幻覚も見せるからねえ、もともとそんな複雑な作りじゃないよ、ここは。厠そっちだから行ってきな、ここで待ってるよ」
ジロウにもお礼を行って戻ってくる。建物の造形まで変えるとか凄いな……顔を見たとき違和感を覚えたからまだよかったものの、どこか知らないところへ連れて行かれてたらと思うと少し背筋が寒くなる。
「ふふ、さっきので眠気覚めちまったんじゃないかい?」
「……ちょっとはな…まさか巻き込まれるとは思わなかったぜ」
「怖いんだ?かぁいいじゃん……不寝番は毎日5人当番制で見回ってるから安心しな」
「酒でも呑めたらいいのにねえ、付き合わせたら主になんて言われるか」
キッチンに行って水を飲む。水が冷たくてより眠気が遠のく感覚だ。なんかほっとしたら腹減ってきたな…スカラビアにいた時は夜食なんてテスト勉強とかそういうの意外じゃあり得ない。ジャミルにどやされるだろうなぁ…あと明日の朝ヴィルにも怒られそうだ。
「……あ、カリムさん。こちらにいらっしゃったんですね」
「モノヨシ?…もしかして起こしちまったか?」
「いえ、貴方の気配がしなくなったので……ちょっと心配になってしまいました」
「変な低級霊もどきに連れ去られかけてたから声かけてたとこさ」
「わ……それは…今日は満月だから多いですね」
「膝丸も張り切ってたし、部屋の中まで入り込むことはないと思うけど……物吉、一緒に戻って寝な」
ヒメツルがモノヨシの頭を撫でてる。確かに、モノヨシ少し眠そうだ。
「あ、えと…」
「そうそう、あんたまで抜け出したってなったらそのうち主がすっ飛んでくるよ……『物吉貞宗もいないんです、見てませんか?』ってね……あぁ、言ってたら来た」
来た?とキッチンの入り口を見るもまだ誰もいない。ジロウをもう一度振り返ると静かだけど少し小走りの音がする。
「あ…!あ、ここに居たんだ……」
「ほらね……主、今戻りなって話してたとこだよ」
すげぇ…!ジロウいつ監督生がこっちに来てるって分かったんだろ?
「なんか嫌な気配して起きたらカリム先輩も物吉貞宗もいなくて大焦りしました……姫ちゃんがやっつけてくれたの?」
「ん、俺に化けて騙そうとしてたから怒った」
ヴィルくらいあるヒメツルをちびっこたちと同じように撫でる監督生。ナイトレイブンカレッジだと末っ子みたいだったのに、ここだと本当姉ちゃんっていうか『主』なんだな…。
「次郎ちゃん、お酒臭いよ〜どんだけ呑んでるの」
「え〜?これでもアンタが帰ってくるまでは呑まない日の方が多かったんだよ?祝い酒くらい許してよ……じゃ、おねむの物吉連れて部屋戻ろうか。そのうちアンタの犬っころがまぁた泣きながら本丸走り回る前にね」
「犬?」
「長谷部くんのこと……忠犬だからね」
ハセベ………あぁ、監督生の隣で寝てた大きい方か!アズールと仲がいいなあと思って見てた。
「長谷部は寝かしつけてきたから大丈夫、ちゃんとカリム先輩たち探してくるだけだよって言ったし」
「どうだかね……10分待てたらいい方だろ」
「もう、次郎ちゃんそんな言い方…」
「モノヨシ、戻ろうか……悪いなぁ、オレのせいで起こしちまって」
「い、いえ…!」
少し目がしぱしぱしてるモノヨシの右手を掴んで歩く。何百歳と聞かされたけど信じられねえなあ……こうやってオレの後ついてくるのとか、居なかったら探し回るのは実家のチビたちと同じだし。
5人でそっと部屋に戻って、フスマをあけるとヒメツルたちに忠犬と揶揄われていた長谷部が起き上がっていた。モノヨシと布団に入り、監督生の方を見上げる。
「主、おかえりに……」
「長谷部、寝ててよかったのに……戻ったから寝ようか」
ハセベ、夜アズールと言い合ってたときとは打って変わってふにゃふにゃだ。相当眠いんだな……。
「ほら、アンタも寝な…子守唄でも歌ってやろうか?実績あるし」
「実績?」
「主しかないよ……ごこもけんけんもよく寝てるね」
ヒソヒソと周りが起きないように話して、ヒメツルは他に起きてる奴がいないか見回ってる。足音が全くしないんだなぁ、こいつら……。そういうの監督生のとこではなんていうんだっけ……アサシン、みたいなやつら。
*姫鶴一文字
「ありゃ、手繋いでやったらすぐ寝た」
「……手ェかかんないんだね、こいつは」
主からうっすら聞いたけど……確か下に兄弟がいっぱいいる金持ちの坊っちゃん、だったっけ。
膝にあてていた手を離して姿勢を伸ばす。部屋をぐるん、と見渡して起きてるやつは……いないな。主くらいか。
「主」
「姫ちゃん…?」
「寝れそう?」
「うん」
微睡んでゆったりした早さで話す主を見る。右手と左手、ごこと長谷部くんに握られてる。取りあいされてるんだ。
「二人の手、あったかいから」
「ん……じゃあほら、目瞑って」
仕上げに頭を撫でる。このくらいなら不眠気味じゃないし、頭撫でれば主も寝落ちる。一時寝れなくなっちゃった主に朝まで毎日付き合ってたことがある。庭を散歩したり、あったかいお茶飲んでみたり、抱きしめてみたり、次郎太刀みたいに子守唄歌ってみたり、とにかく喋ってみたり……。
「………寝た」
相変わらず、素直で手のかからない子だ。不寝番戻るね、と次郎太刀に声をかけて広間から出る。見回り強化しないと。マホウっていう不思議な力を持つらしいけど、俺らみたいに低級霊とか、それすらのなりそこないとかを斬って殺すことができるかは分かんないし。1人から4人に人間の子どもが増えたから……さっきみたいに攫われかけてもおかしくない。
「膝丸、大倶利伽羅……さっき主のお客人が化けてたやつに攫われかけてた……厠行こうとしてたんだって、見回り強めて」
「承知した」
「あぁ……何だ、上機嫌だな」
「主のこと寝かしつけてきたからね、皆大部屋ですうすう寝ててかあいいもんだったよ」
「そうか……またあのちびっちょろと戻るのか、主は」
「めっずらし……寂しいの?」
「すでに1年半近く居なかったんだぞ、懸念くらいするだろ」
「大丈夫だよ、今回ので戻ってこれるって分かったんだから……10年だろうが100年だろうが、待てるでしょ」
「100年経ったら、人間の寿命だろ……」
大倶利伽羅もそういうこと考えるんだ。急に消えて、急に帰ってきた主。帰ってこないなら不安だったけど、主は小夜左文字も連れてきちんと帰ってきてくれた。なら、またいきなり居なくなっちゃってもきっと帰ってくるって思える………さ、朝までがんばろー。
*アズール・アーシェングロット
「皆〜、朝だよ。そろそろ起きて」
その声に目を覚ます。そうだ、ここは監督生さんの家だ。目を開けるともう支度に取り掛かるヴィルさん、伸びをしているカリムさんが目に映る。監督生さんは?と頭上へ視線を向けるとまだ布団に包まってるようだ。
「おはよう、君たちは朝が得意なんだなぁ……どれ、主。そろそろ起きないと」
ナガミツさんがニコニコしながら監督生さんに声をかける。誰よりも早起きしていそうなハセベさんもまだ眠っているようだ。監督生さんに「隈がひどい!」と怒られていたし、寝不足が祟ってるんだろう。
「アズール、アンタも起きなさい」
「はい……眩しい…」
「ん〜……」
間延びした監督生さんの声が響く。
「監督生、朝よ。起きてストレッチ」
「昨日の夜中、監督生起こしちまったからなぁ……寝れてねえのかな?」
「夜中?…何かあったんですか?」
「トイレ行こうとしたらよ、ヒメツルに化けた……なんだったんだろうなぁ、アレ。ゴースト?そんな感じのやつに幻覚みたいの見せられてな」
ゴースト?……昨日の朝、ショクダイギリさんが言っていた『良くないもの』というものだろうか。
「全く気が付かなかったわ…物音1つしなかったように思えたけど」
「モノヨシがオレのこと探しに来てくれて、その後監督生がオレらのこと探してたから、ヒメツルたちとこの部屋戻ってきたんだぜ!夜中でアズールもヴィルも爆睡してたな」
なんとなく、寝ている様子を見られるのは恥ずかしい。
(あーるーじっおーきーてっ)
(あ、おはよ……ちゃんと寝れた?)
(ヒメツル!夜はありがとな!おう、ぐっすりだったぜ!たまに誰かの足ふってきたけど)
(あ〜…秋田とかちょっと寝相悪いからね)
(あ!ゔぃるさんおはよ〜!ねぇねぇ、今日も髪の毛結ってほしいな)
(おはよう……しょうがないわね、じゃああの子起こしてきて)
(はーい!)
(ヒメツルは今から寝るのか?)
(ん、朝ご飯食べて眠かったら寝るかな)
(おきたぁ…)
(監督生おはよう!すげー寝癖だな!)
(おはよう…どう寝たらそうなるわけ?)
(おはようございます。ふふ、芸術的ですね)
(主えら〜い!じゃ顔洗いにいこ)
(長谷部くんも起きな、ほら)