13 With …?
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With 大般若長光
*ヴィル・シェーンハイト
「おや、君が主の?へぇ……随分と美しいんだね」
開口一番に口説いてきたこの男。監督生の使い魔、の1人なんだとか。ナイトレイブンカレッジに居たときは、ちっちゃくて飼い主以外に懐かない猫みたいなサヨしか知らなかった。何度か本来は使い魔が他にも居るってことは聞いてはいたけれど……こんな何十人も居るとは思ってなかった。
「…あのね、見すぎよ」
「これはすまないね、あまりにも綺麗なもんだから」
「アタシが綺麗なのは当然だけれど、見られすぎて穴が開きそうよ」
そう返せばぽかん、としたあとにお腹を抱えて笑い出した。なんなのよコイツ……。
「いいな、気高いとは君の為にある言葉だ……ふふ、主も隅に置けないな」
「いいから部屋から一旦出ていって、メイクするから」
ナガミツを部屋から追い出す。いつものスキンケアはないしコスメもないけど最低限でできる限りは支度をして部屋を出る。
「あら」
「あっ、ご、ごめんなさい…」
ピンク色のふわふわした頭の……少年、というか見た目なら子ども。確かサヨもあの見た目で何百歳……だったからこの目の前の子も同じはず。癖っ毛の具合がエペルを思い出す。
「ね〜ぇ、終わったぁ……?わっ、すごい綺麗〜!」
「わたくしも見たいです……あら、本当に美しいわね」
「俺もみるー!」
気配や足音は全くしていなかったのに、わらわらとどこからか子どもたちが湧いて出てくる。
「ちょっと……ナガミツ!この子たちは?」
「主の友達は綺麗で美しいと零したら集まってしまってね……人気者だなあ」
冗談じゃないわ、子守りなんて無理よ。
「ちょっとー何この人だかりぃ……あ、ガキンチョ。主見なかった?」
「誰がガキンチョよ……見てないわ」
「ねーねー、ゔぃる?さんっていくつなの?」
「18よ」
「「「えっ」」」
「何?」
「お、お前18なのか!?主より赤ちゃんに近いじゃん!」
「こら、包丁!そんな乱暴に握っては骨が折れてしまうかもしれないわ、優しく触れるべきよ」
「主さんよりちっちゃいんだぁ……ほんとに今日の担当大般若でいいの?太刀より短刀のほうがいーんじゃない?」
「ちっちゃくないし赤ちゃんでもないわよ……ていうか逆に監督生っていくつな訳?」
「確か21って言ってた気ィする……あでっ!!!」
「そんな簡単にレディの年齢バラさないでくれるかな〜??清光〜!」
噂をすれば監督生がやって来た。21……そっちのほうが信じられないわ、エペルたち1年と並んでも違和感の欠片もないほどなのに……とんでもない童顔ってことかしら。
「事務仕事してたら様子見に来るの遅くなっちゃって……すみません。
乱ちゃんたちも、取り囲んでヴィル先輩困らせないでね」
「だって俺ら主以外の人間あんまり知らないもん、見てみたいじゃん!」
包丁、と呼ばれていたちっちゃいのがアタシを見上げながらそう言う。
「主ー、まだその事務仕事残ってるからね」
「今日は申し訳ないんですが、蔵のお手入れお願いしたくて……ヴィル先輩の整頓術ならすぐ終わっちゃうかと思うんですけど」
「蔵?倉庫ってこと?」
「はい!湿気がこもると良くないので換気して空気の入れ替えをしつつ、前年度分のこの決算書類とかをシャッてぶっ込んでほしくて」
「へえ……アンタここでもマメなのね、こういう書類残しておくの」
「脱税で逮捕とか監査来てもやだなって…」
理由が思ったより切実だったから同情する。文字が異なるから分からないとテキストを広げ勉強していた監督生にたまたま通りがかったルークと一緒に見てあげたことが何度かある。その時のメモやらプリントなんかを後日びっちりファイリングして持ち歩いてるのを見たときに真面目でマメなんだと思った。
「にゃーさん、サボらないでよ」
「はいはい、俺をそう扱うのは君だけだ」
「何言ってるの、年末調整してる時にレシートの仕分けしてないで『君は絵になるなあ』とか言って寝ちゃったくせに」
「えーっ、ひどーい!主さんクマ出来てたのに」
「主のクマは今に始まったもんじゃないけどね……ま、今日はゔぃるが居るから大丈夫でしょ。サボってたらケツ蹴り飛ばしてやってね」
キヨミツにそう言われて頷く。
「少し見せなさい……血行不良だろうから寝る前にタオル温めてマッサージしなさい、あとちゃんと寝ること」
「は、はい!」
「あるじさま、寝てませんものね」
「なんですって……?」
「ちょっと!!寝てます、寝てます!」
「主君、嘘はいけませんよ!過労で倒れたこともあるじゃありませんか…あの時どれだけ心配したか…」
ピンク色ふわふわがそう告げてくるので監督生を睨みあげる。アタシに嘘をつこうなんていい度胸してるじゃない。
「や、あれは、その……」
「寝不足が続いてそこから足を滑らせて骨を折ったこともあったなぁ」
ナガミツも続いたせいでしらーっとした視線が監督生に多数向いてる。アタシに睨まれて、使い魔たちにも冷ややかな視線を送られる監督生はたじたじとなり、小さくなっていく。
「じゃーあるじさん、今日はおやすみ?」
「お客さんに働かせて私だけ休むのは流石に気が引けるよ」
「夜10時以降に起きてたら説教よ……じゃあ行くわ、ナガミツ。案内よろしく……アンタも少し休みなさい、後ろのが心配してるわよ」
「後ろ?」
「昨日の……ジュズマル?だっけ」
「また雛鳥してんの……?うわほんとだ」
「うわとはなんです、全く失礼な……主、歩き回りすぎではありませんか?」
本当に過保護ね。半年ぶりに帰ってきたとあって昨日からずっとべったりとくっついてるジュズマル。他から揶揄われても頑なで、今も監督生を壊れ物のように扱ってる。
「あら…まるで離れね」
漆喰がきれいに塗られ、瓦の深い青が映える。扉をあけて入ると、監督生に言われて想像していたほどの湿気ではない。むしろカラッとしていて温度も一定に保たれているように感じる。
「じゃあ釘を刺されてしまったし手を付けようか。君はこちら側を、俺はあちらを」
籠を手に取り冊子を並べていく。時系列順のものもあればそうではない数字もちらほら見えるので順番に並び替えて差し込んでいく。かごとかごの合間のホコリを拭いて、床を掃いてキレイにしていけば時間はかからず作業は終わる。
「……ガタガタと煩いぞ、なんの用だ」
「あら、昨日ぶりね」
警戒して魔法を出したアズールと対峙した途端目の色を変えて攻撃してきた大男。たしか……ミツヨと呼ばれていたかしら。
「監督生にお願いされて整理してたの……アンタは何してたの?」
「どうだっていいだろう……大般若も一緒か」
「先客がいたか……へぇ、また主に見つけてもらいたくて隠れんぼかい?」
隠れんぼ…?ナガミツと同じようにミツヨを見上げると、眉間に深い皺が寄っている。図星なのかしら。何も言わずに奥に戻っていったミツヨが気になりながら鍵をかけずに蔵を出る。
「なんなの、アレ」
「彼は……霊力が高くてね。側においておくだけで病は治り、悪いものは消える…そういう風に大事に飾られていたんだ」
「……いいことじゃないの?ご利益があるって祀られていたってことでしょう」
「俺らは本来は刀だ、斬って殺す為に生まれた武器だろう?君らだと……そうだな、拳銃をお守り代わりにするかい?護身や襲撃、理由は違えど始まりは攻撃するためのものだろう。
蔵に大事に仕舞われて外の世界をあまり知らないままここへ来たから、たまにああやって拗ねてるんだ」
斬って、殺す。そうだ、つい忘れてしまうけどナガミツも含めて刀を人の姿に現した存在なんだった……。武器として生まれて何百年も過ごしていたあとにこうして人の姿を持つなら、確かに……己の存在価値は武器であることという価値観も理解できる。
「主は色んなところに連れ出してくれたからね……帰ってきて独り占めしたいのに数珠丸がくっついて側を離れないし、お客人の相手をしていて自分に注意が向かないからああやって身を隠して探してもらおうとしてるのさ……健気だろ?」
「………面倒だわ、素直が一番よ」
「ははっ、手厳しいなぁ」
「せっかく人の姿として生まれたというか……言葉や感情を持つようになったのだから最大限それを活かすべきよ。足があるなら歩けばいいし、手があるなら引っ張ればいいじゃない。口もあるから誘えばいいのよ、あの子はそれを無下にするほど無関心じゃないでしょ」
「ほう、なるほどね……君が主なら口説かせてくれるのか」
主じゃなくても口説かれた記憶があるんだけど?白々しいナガミツを睨んでいると、パタパタ走り回る監督生が見えた。
「確かに俺みたくデートに誘えれば解決だが……こうも考えられないかい?……命を懸けても惜しくない存在が、俺が見えないからと探し回ってくれるという優越感」
「……なるほど、独り占めしたいとかそういうのもあるけど特別だって認識したいのね……かなり面倒で回りくどい方法だこと」
「あいつなりの我儘さ」
可愛らしいだろ?と言われたけど頷けはしない。監督生からほんのり聞いていた『ホンマル』での暮らし、結構大変ね……。道理で猛獣使いの如くレオナやアズール、リドルなんかも手中に収めるというか……アタシを含め、自我の強い連中を束ねる手腕はここから身についたのかしら。
「ヴィル先輩!はや、もしかしてもう終わっちゃいました?」
「ええ、そもそもそんなに頼んできた量がないしもともと丁寧に仕舞われていたからすぐよ」
「ありがとうございます、私がやろうとすると腰と首痛めがちなので助かります……!にゃーさんも、ありがとうね」
「ふふ、君のためなら。……そうだ、主取引しないか?」
「え、な、何?」
「とっておきの情報を君に上げるから俺は褒美が欲しい」
「………お酒?」
「それもいい……あぁ、でもゔぃるたちはまだ幼子だからお酒は厳禁か…残念だ。
俺は君との時間がほしい」
ロイヤルソードアカデミーの連中も逃げ出すくらいの気障な仕草で監督生の手を握り、指先にキスをするナガミツ。癪に障るけれど、絵にはなる。
「もう似たようなこと100振り以上から言われてる……ヴィル先輩、分身できる魔法ありませんか……」
「あってもはいどうぞ、って簡単にできるとお思い?それに、複製したところでどれが本物偽物みたいなの考え出すのが居ないわけないじゃない、やめときなさい」
「た、しかに……分かった、応じる。情報って?」
「多分あんたが探し回ってるやつが蔵で拗ねてる、早く甘やかしてやってくれ」
「……なんで光世探してるって分かったの?」
「ソハヤノツルキがお手上げなくらいの眉間の皺だったからね……大方、食堂で噂を聞きつけたんだろう?」
「………見てた?」
「既視感があると思ったらルークと同じタイプね」
周りをよく見ていて、機微に触れればあれこれと前後を考えて動ける。
「愛する主のことなら大概は分かるさ……では今夜、俺を寝かしつけてくれよ」
「寝ないくせに……ありがと、光世のとこ行ってくる!先輩もお昼食べてくださいね!今日はそぼろ丼だそうですよ」
そぼろ?蔵に走る監督生を見送り、上機嫌なナガミツとともに食堂へ向かう。
(へえ、ひき肉を……これは卵?)
(あぁ、肉がしょっぱいから卵は甘めだよ)
(…美味しい、そぼろ。覚えて帰るわ)
(やけに大般若が上機嫌だね…何かあった?)
(ミツヨが蔵にいるのを交換条件に、監督生に俺も構えって取引が上手くいってからずっとああよ)
(ふはっ、なるほどね!短刀たちに先譲ってやればいいのに……ほんと大人気ないなぁ)
(アンタは独り占めしなくて平気なの?)
(う〜ん、平気じゃないけど我が強すぎるのもかっこ悪いだろう?主は平等にしてくれるから、待てるんだ)
(あ、ゔぃるさん!お仕事終わったの?)
(あら、今朝ぶりね。えぇ、終わったわ)
(じゃあおしゃれ会しよーよ、ボク髪の毛結ってほしいなっ)
乱ちゃんとヴィルの組み合わせホンマに見たすぎる………、太鼓鐘くんと京極ちゃん、前田ちゃんとかも混ぜて短刀わちゃわちゃの中にいてほしすぎる……