13 With …?
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With 物吉貞宗
*カリム・アルアジーム
「水を出しっぱなしにしてはいけないよ、資源には限りがあるんだ」
監督生と一緒に『ホンマル』ってとこに戻って来ちまった。帰省に付き添ったと思えば楽しいもんだ、オレたちの知らない文化や見慣れないもんばっかりですげー楽しい。
ヴィルたちと洗顔していると、手が伸びてくる。眼帯をつけてるこいつは……確か、ショクダイギリ?っつう変わった名前だった。
「この本丸は広いから迷子になってはいけないし……たま〜に良くないものが彷徨いてることもあるから主のように側に仕える刀を担当制にしたんだ。
君は物吉貞宗、君には大般若、君は鶴丸がつく」
モノヨシ?と傾げていると、リリアくらいの小ぶりな少年、がやって来る。ほんとに同じくらいの年齢にしか見えねえなぁ〜…。
「こんにちは、僕は物吉貞宗です!か、カリム?さんですよね、今日はよろしくお願いします!」
「おう!モノヨシでいいか?」
「はい!朝の支度は終わりましたか?」
付いていくと、昨日監督生たちと夕飯を食った場所。もう朝飯が出来てるようだ。
「カリム先輩、おはようございます」
「お〜、監督生!おはよう……なんか悪ィな、色々気を遣わせちまってよ……」
「い、いえいえ!私も向こうでたくさんお世話になってるので……あの、ご飯のことなんですけど」
「?あぁ……そんな気にしなくていいぜ?何よりお前の信頼のある侍従たちが作ってくれた飯に毒なんか入ってる訳ねえだろうし」
監督生は昔、お礼を兼ねてトレイとケーキを作ってくれたことがあった。けどジャミルから理由を聞いて、覚えててくれたんだ。
「毒?…毒を盛られたことがあるのですか?」
「小さいときに一度な……ここにもカレーはあるのか?我儘言って悪いんだが、カレーだけはダメでなぁ…」
「そうなんですね、覚えておきます。僕たちが食べる食材は自給自足のものもありますし、政府から公認された万屋や店で買ってきた食材のものばかりです。
ですから、傷んでいたという理由ではない限り紛れ込みませんよ、ね?主様」
「そうだね…カリム先輩が平気なら良かったです、学園の食堂と同じビュッフェ式なのでお好きに取ってくださいね」
監督生にもう一度お礼を言って別れる。
「見たことねえ料理だな……これは?」
「切干大根の煮ものですね!美味しいですよ」
じゃあこれを貰うか。
「この黒いのは何だ?」
「昆布です、海にある海藻を煮付けたものです。ちょっとしょっぱいですね、ごはんと合いますよ!」
へえ、海藻か!じゃあこれも。モノヨシに聞きながらあれこれ取っていき、ご飯を盛り付けて貰い『ミソシル』というスープをもらう。
「い〜匂いだな!」
「ふふ、でしょう?いただきます」
いただきます!と合わせて少し慣れないハシを使う。難しいな、これをあんな器用に使いこなしてる監督生たちどうなってるんだ??
「うん、美味い!」
あっという間に平らげて片付ける。今日はモノヨシは馬当番に任命されてるらしく、オレも付いていく。
「すげー数いる!」
「たくさん居ますよ〜、カリムさんは馬は初めてですか?」
「見たことはあるが……ラクダとか象のほうが世話したことはあるな。流石にこんなにいると圧倒されるけど」
モノヨシ以外もちらほら世話してるやつがいるけど、この数の世話は骨が折れそうだ。
「動物に慣れているなら大丈夫です……馬は優しいですし、こちらが丁寧に扱えば向こうも丁寧に返してくれます!」
汚れてもいい服だからとこの着なれない服に着替えたのはこのためか。置いてもらってる身だし、初めて馬に触るのは楽しい。リドルなんかは馬術部に入ってるみたいだから、コツ聞いておけばよかったな〜…。
「よっ!失礼するぜ……参ったな、名前の文字が読めねえ……悪いな、名前分からなくてよ」
じ、とこちらを見てくる馬と目が合う。
「腹減ってるよなぁ、悪い悪い。けどさきに掃除だけしてもいいか?…こっち半分やるからそのままでな」
聞き分けがいいのか言葉がわかるのか、少し避けるように立ってる馬に注意しながら掃除を手早く進めて餌入れに餌を入れていく。
「水が空だな……モノヨシ?お〜い、モノヨシ?」
返事がない……遠くの馬の世話してんのか?
「どしたの?」
「おわっ!!」
ぬ、と出てきたモノヨシより更に小さい存在に驚いた。
「水がなくてよ、どこにあるかモノヨシに聞こうと思って……オレはカリム!監督生の友だちなんだ」
「あぁ、昨日の…おれは蛍丸。水入れ用の水はこっち…ついてきて」
ホタルマル。ぴょこぴょこ動くその様子に実家のチビたちを思い出しながら付いていく。
「ここに水があるから持ってって……あ、物吉いた。物吉、こっち」
「あ、すみません!奥の方から掃除していて……」
「こうも広いと大変じゃない?」
「そうか?実家も1部屋はこれくらいあったからなぁ……あ、でもちょっとこっちのほうが迷路みたいにはなってるな」
「へぇ、住んでるところが本丸より大きいんですか?」
「従者たちの居住地も含めると確かにここよりも大きいかもな!」
「あ〜そういう……あ、こら!勝手に出ないでよ」
ホタルマルがそう言いながら馬を睨みつけると、柵が開いてて出ようとしていた馬がシュンと項垂れて大人しくなる。すげ〜!調教師みたいだ。
もくもくと回ってようやく終わったと思えばもう昼過ぎだった。疲れた〜……生き物の管理ってこんな大変なんだなぁ。
「僕、貴方がなぜ主様と仲が良いのか分かった気がします」
「?」
「畑仕事や事務仕事などが担当で回ってくるんですが、特に馬当番は馬の糞などに触れるため、嫌がる者も多いんですよ。家畜自体が苦手という刀も居ますし」
「大きくて圧倒される気持ちは分かるなぁ…けど、オレは象とかで慣れてるし!家に動物園もあったからな」
「ふふ、それだけじゃないと思いますよ」
「……っていうと…?」
隣を見ると物吉はニコニコと笑ってる。なんだか監督生に似てるなと監督生の表情が重なって見える。
「嫌なことや辛いことなんてこの世にはたくさんありますよね、それをどう捉えるかって自分の気の持ちようといいますか……なんでも楽しいと思うことが大事だと思うんですよ」
「なんでも…」
「だから僕はいつもヘラヘラしてるって言われることもあるんですけど……へへ、でも同じことをやっても恨み言ばかりより楽しかった〜って思えるほうが素敵ですよね。カリムさんはそういう性格というか、気の持ちようなので主様と仲が良いのかと思いました!
僕のモットーなんですよ、何でも楽しくって」
「意識したことなかったけど…たしかにな、モノヨシの言うとおりどうせなら楽しくやりたいよな!
確かに監督生から愚痴とか聞いたことねーかも……一緒にいたサヨからもないし」
言おうと思えばいくらでも愚痴や恨み言は出る環境だと思う。ここ、ホンマル自体も家族とは離れて過ごしてるって言ってたし…それでもモノヨシとか周りには文句の1つも言わねえで敢えて笑って過ごしてるんだろう。
「お腹空きましたね……でも先に汚れを取らないと」
「それならいい案があるぜ、おーい、ホタルマルも来いよ!」
「なになに?あ〜つっかれた…今日はじゃれてくるやつ多くて骨が折れた」
「ふふ、蛍丸さんには馬もよく懐いてますもんね」
「ちっちゃいからっていい玩具にされてんだよ…むかつく」
ホタルマルもオレも、モノヨシも泥だらけだ。
「今日あったかいしすぐ乾くよな…よし、じゃあいくぜ!『
「「うわっっ!??!!?」」
ザパーっと雨のように水を湧かせて頭から被せれば汚れもすっきり落ちた。ちょっと暑かったから冷たくて気持ちいい。
「……な、何今の??!雨?」
「あれ、監督生から聞いてないか?魔法だよ魔法、オレのユニーク魔法は水を作り出すんだ」
「……もしかして…朝も使用されてました!?」
「あぁ、ちょっとだけな!」
「すごい、もう一回やってよ!」
「いいぜ、「あきまへん」…?」
視界が真っ白になり振り返るとタオルを手にしたアズールみたいな奴が立ってる。
「蛍丸、はしゃぎすぎや……アンタも。びっしょびしょになって熱でも出たらどないすんの、体は冷やしたらあかん」
「ちぇ〜……楽しかったのに」
「夜風呂場でやるか?」
「え、いいんですか?!」
「あきまへんって言ってるやろ!」
じゃあこっそりやるか、とモノヨシたちに言えばもっと怒られる。怒りながらもタオルをくれたアカシは世話焼きで兄ちゃん気質だ。トレイみたいだな〜。
「明石、大きな声出してどうしたの?」
お、監督生もやって来た。なにかを袋に入れてるみたいだな……後ろにぴったりくっついてるのは、昨日オレたちを部屋に案内してくれたジュズマルか。
「どうしたも何も……びしょ濡れではしゃいでるもんやから」
「わ……カリム先輩魔法使いましたね?2振りとも楽しそうな顔してる」
「だっていきなり水まみれなんだよ?びっくりしたー」
「魔法……不思議ですね。桑名の辺りが喜びそうな能力です」
クワナ?と首を傾げていると、ホタルマルが畑が好きな変人と耳打ちしてきた。水やり手伝っていいなら手伝いたいけどな〜、借りてるこの服がかなり白っぽいから汚れちまうと悪いしな。
「風魔法もあるからあっという間に乾くぜ!今日あったかいし」
「ふふ、明石も水遊びする?」
「しまへんよ……何持ってはるん?」
「おにぎりとお団子!お昼過ぎちゃったんで皆でどうぞ」
「おー!ありがとな、監督生!ちょうどハラ減ったな〜って話してたんだよ」
モノヨシたちの服を乾かして、手を洗ってベンチに座って包みを広げると握られて丸くなった米がたくさん並んでる。
「小夜ちゃんと握ったの、だからちょっと大きさ色々あるけど……右側が鮭、真ん中がおかか、左が梅です」
「おかか?梅?」
具の説明を聞いてなんとなく梅を選ぶ。塩気が効いてて美味い!と思ってたら猛烈に酸っぱくなる。
「〜〜!酸っぺ〜!」
「本丸で漬けた梅干しだからね、酸っぱいの平気?」
「レモンとかは慣れてるけどこれはまた違うなぁ……でも美味い!監督生ありがとな」
「いえ……私畑当番の方も見てきます、桑名に捕まってそうだし…ゆっくり休憩して本丸戻ってくださいね!」
そう言い監督生はジュズマルと一緒に立ち去っていった。4人でおにぎりを頬張っていると、ホタルマルがアカシを睨みつけてる。
「なんで明石まで一緒に食べてんの」
「ええやろ別に、主はんの料理なんて貴重なんやから」
「調子がいいよねえ……ねえ、主って向こうでどうだったの?楽しくやってた?」
「僕も気になります、主様も魔法を使えたりしたんでしょうか?」
ずいずい、とオレを見上げる顔が2つ。ほんとに実家のチビたちを思い出すな〜。『兄ちゃんおかえり!』『学校どうなの?』『あっちで何してるの?』って質問責めに合う帰省を思い返す。
監督生と毎日一緒ではないし同級生でもないから最初は接点がなかったこと、割とトラブルに巻き込まれがちなこと、でも監督生の助力もあって毎回トラブルが収束してること、オレもお世話になったことを話す。
「ジャミルとは今もまだちょっとぎくしゃくしてるけど……監督生が人の気持ちは良くも悪くも移ろうものだから、って言ってくれたんだ。だから……ゆっくりでも変わればいいなって」
「…主はんらしいわ」
「ねー、お節介だね……まぁ俺らは刀だし、持ち主同士のいざこざはあっても俺らの間でのいざこざって刀の時はなかったから良く分かんないけど……うまくいくと思うよ。皆、そうして強くなってるから」
「いざこざとかあるのか?なんかあんまり無さそうに見えるけどな……」
「食べ物の取り合いで喧嘩とかまぁそういうのもあるし、前の主と敵対関係の刀の派閥もあるし…顕現したては皆凄かったよね」
「新撰組と攘夷組の喧嘩とか日常茶飯事でしたなぁ……毎度壁怖されてたまったもんやありまへん」
「そ、そんな乱闘騒ぎのレベルでか?!……今は?」
「前の主の時は因縁があったとしても今の主のもとに集まったんだから喧嘩してる場合じゃないよねえって話だし、過去と向き合ってくうちに折り合いをつけるっていうか……主の仲介もあって皆飲み込んだって感じかな。だから酒が入ると喧嘩することもたまーにあるよね」
折り合いをつける……そうか。ジャミルと俺も折り合いをつけて、前みたいに……いや、今度こそ本当の兄弟みたくちゃんと友達になれればいいな。
(ていうかかりむも物吉みたくニコニコしてるのに悩みとかあるんだ)
(こら、蛍丸。どっちにも失礼やで)
(褒めてるんだけど……ごめん)
(ありがとうございます、僕気にしないですよ。笑顔を心がけてるのは本当なので!)
(まあ確かに四六時中ムスッとされるよりかはええ事やな)
(さっ、お団子お団子…かりむ、お団子たべる?)
(おダンゴ?おお、美味そうだな!)
カリムも物吉くんも、辛いときとかこそ敢えて明るく居ようって無意識でも意識的でも考えてそうだなと思ってこのペアに。ニコニコ組として仲良くなってほしい……。