TWST × とうらぶ
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
With 謙信景光
えーっと……。
この状況は、一体?
「あ、あるじ!おかえり」
「ただいま……謙ちゃん、お顔に色を塗ってどうしたの?」
ま、まさかメイクをしてみたかったとか…?いやでも、本丸にいたときから多少なりともメイクはしてたし…。例えば政府の研修会やら、他本丸にお邪魔させてもらうときとか、本丸にいる時も最低限のメイクはしてたから今更?とはなる。
右目のあたりを私のくすみブルーのアイシャドウで塗りつぶすような謙ちゃんのお顔をじっと見る。なんか…見覚えがあるような……
「こ、これはその……あの…」
「謙ちゃん、べつに怒ってないよ?理由を聞いてるだけ」
謙ちゃんの視線の高さにあわせてしゃがみ、見上げるようにして言葉を待つ。ちょっともじもじしてるからこれは……ものすごく後ろめたいことがあるな。無理に聞き出すわけにもいかないけど、放置しておくのもきっとよくない。謙ちゃんが言い出しやすいタイミングを待つしかないかな……。
「監督生〜いる〜?」
私達の静寂を打ち破ったのはエースの間延びした声。合鍵を渡してあるから、勝手に入ってきた2つの足音が聞こえてくる。デュースだろうか?
「よーっす……お、カゲミツもいるじゃん」
「ぼ、ぼくちょっとゆうひをみてくる!」
「あ……いらっしゃいふたりとも」
「え、なんかマズかった?」
「う〜ん……なんかメイク…?しててどうしたの?って聞いてたけど、言いにくそうだったから待ってみようかなって思ってたところ」
「メイクぅ?……にしては右目だけじゃなかった?」
「そうなの……追いかけたほうがいいのかな…」
「ま〜……カゲミツ素直だし、言い出してくれるの待ったら?今日帰ってこないとか、何日も続くようなら切り出してもいいかもね。……で、デュースくんがまた補習になったから勉強付き合って」
「すまない………ヤマかけたところ全部外れた」
「ヤマかけは意味ないって……その様子じゃリドル先輩に絞られてきた?」
エースの少し棘のある言い方にも反応しないくらいしょんぼりしてるデュースの様子からそう尋ねればご名答だったようで、頷きだけが返ってくる。
テキストを開いて三人でしばし勉強。夜ご飯も二人が手伝ってくれたけど、その間も帰ってくる様子がない。流石に心配なので2人には寮にいてもらい、探しに行くことにした。
「謙ちゃん、夜ご飯できたよ〜!」
「謙ちゃんの好きなお出汁で煮込んだ大根もあるよ〜」
反応がない。私に謙ちゃんたちみたいな力があれば探し出せるんだろうけど、審神者の私は偵察力も隠蔽力も低い…霊力を頼りにしてもいいけど、無闇に消費すると体調を崩してしまうし謙ちゃんに影響も及ぶ……それは避けたい。
「謙ちゃん……どこだろう…」
どうしたものかと考えあぐねていると、背後の草むらががさがさと音を立てて大袈裟なくらい驚いてしまう。
「あるじ……」
「謙ちゃんか……!びっくりしたぁ……お腹空いてない?一緒に帰ろう?」
手を差し出すか迷ったけど、差し出す。ぎゅ、と弱々しいけど握り返してくれてほっとした。怪我なんかはしてなさそう。
顔を覗き込むとぐ、と唇を噛み締めて泣かないように我慢をしてる表情。これは……オンボロ寮に行く前にここでわだかまりを解決したほうがいいかもしれない。
「……謙ちゃん、別にね、苦しかったら泣いてもいいんだよ……私は、謙ちゃんが泣かないように我慢しすぎてるほうが辛いな」
「…ぼ、ぼく……あるじの物をかってに、つかってしまった」
「いいよ、あれくらい……前から使ってみたかったの?」
「……。ちがう、ぼくも……ぼくもおなじもようをかけば」
……模様?メイクでそんな図形を描いたことない。色味やシャドウのグラデーションを図として捉えてたら別だけど。
「もようをかけば、でゅーすみたいに、かっこよくなって……あるじがもっとすきになってくれるかと…」
「デュース…?……ああ、それで右目の方に模様を描こうとしたのね」
ついにぽろぽろと涙を零し始めた謙ちゃんの涙をハンカチで拭う。修行に行ってから、よりなかない!つよくなる!と頑張ってくれてた分、涙を流す姿を見るのは本当に久しい。
「だって、あるじ……あいつのこと、すいているのだろう?」
「…………ぅえ゛ッ??!!?!」
驚きすぎて蛙が潰れたような声を出してしまった、え、?私がデュースを??!いきなり言われて驚いてるのは私だけで、謙ちゃんは何を今更…という表情。
「あるじは、あいつとはなしていると、となりにいるとたのしそうだ……それに、でゅーすはせもたかくてこうときめたらいしをまげないつよくてかっこいいひとだ。ぼくも……ぼくも、そうなれたらって…」
「え、ぁ、うん、そ、そうだね、えと……私のことは一旦置いといて、謙ちゃんの言うとおりだね。デュースは……エースと比べると不器用だし、空回りしてることもあるけど絶対やるんだって決めたことは諦めずにやり通すよね。
でも謙ちゃんだってさ……初めて部隊長を頼んだとき、私が『謙ちゃんを信じてるから、皆をお願いね』って送り出したら…謙ちゃんが一番ぼろぼろになって、皆を護って一振りも欠けずに連れて帰ってきてくれたじゃない。謙ちゃんが無理にデュースみたくなろうとしなくたって、謙ちゃんはつよくてかっこいい、やさしいひとだと思うな。それに、私謙ちゃんのこととってもとってもとーーーっても大好き」
謙ちゃんの初めての隊長デビューは、本当にあのタイミングで良かったのかと今でも思う。この子達は刀の付喪神。逸話があって初めての人にするならこういう見目かなと顕現できる。
血も通ってるし、感情もある。でも資材を使って丁寧にお手入れすれば、腕が欠けようが足が折れようが本体…刀が折れない限り元に戻る。
『第二部隊、帰還しました!』
『……主、大変!謙信景光が…!!』
どたどたと転ぶ勢いで私を呼ぶ清光の焦った声に嫌な予感がして玄関口まで走ると、片腕がなく、足があらぬ方向へ折れ曲がり、血を流す謙ちゃんが毛利くんの肩に担がれてることで辛うじて立っていた………皆、血だらけだったけどそこまで重傷なのは謙ちゃんだけだった。
『あ、あるじ……みんなとかえったよ…』
手入れ部屋の外で泣いたのはあの日が初めてだった。もともと謙ちゃんは戦いが好きじゃないしちょっぴり怖がりだ。だけど私の本丸では比較的初期の頃から顕現してくれて、戦うしかなかったしその分経験も多かった。必然的に、隊長を任せるしかなかったタイミングだった。でも強くなりたいと修行に行かせてほしいとお願いしてきたのは、謙ちゃんだった。送り出して、やきもきしながら待って、帰ってきたらもっと優しい強い子になって帰ってきた。
「謙ちゃんはとっくに強いしかっこいいよ、だれかの真似をしなくても……ずっと」
「……ナマエ」
「「!!!」」
今度は謙ちゃんも私と同じくらいびっくりして私の背後を見上げている。この声はデュース本人だ。
「悪い、オンボロ寮出てから結構時間経ったから何かあったのかと思って探し回ってたんだ……二人とも怪我とかしてないか?」
「う、うん……大丈夫!ごめんね、待たせて」
「いや、いいさ……ケンシン」
「?」
「その……悪い、途中から盗み聞きみたいになっちまったんだが……き、聞く気はなくて!……僕も…僕も、ケンシンはかっこいいと思う」
「え…」
「僕には……僕らはこうして、どこの国や島でも戦争が起きてない世界で生きてる。
でも…僕からしたら子どもくらいしかない背丈のお前を始めとした奴らがナマエと一緒に、国のために戦ってたんだろ?
僕には到底マネできない」
「それに、ケンシンの主のナマエが強くてかっこいいって言ってるんなら、そうなんだって思わねえと!
そこで努力をやめるようなやつじゃないだろ、ケンシンは」
「……うん!ありがとう、でゅーす……あるじも、ごめんなさい」
「いいよ、謙ちゃんが気持ちを教えてくれて嬉しかった!」
ぎゅ、と抱きしめるとこども扱いしないで!と怒られちゃった…だけど、今日だけは!と抱っこしてオンボロ寮に帰った。(エースに何そんなラブラブなの?ってしらーっとした目線で見られたけど)
「エース〜…起きそうにないなァ、せっかく簡易ベッド用意したのに」
ソファで寝落ちちゃったエースにブランケットを被せる。先にお風呂入ってくれてよかった。
「あ、あのさ……ナマエ、ちょっといいか?」
「?うん」
手招きされてキッチンの奥へ。グリムももう上で寝てるかなあ……。今謙ちゃんがお風呂に入ってる。クレンジングを貸して、やり方を教えたけどちゃんとアイシャドウ落とせてるかな。
「……その、さっきの…」
「?」
「盗み聞きするつもりはなかったんだけど……」
「………あ、いや!え、と……」
何を言いたいか分かってしまってじわじわと顔に熱が集まる。何を言えばいいのか分からなくてしどろもどろだし、デュースもなんとなく居心地悪そう。
「……その……僕も同じだって言ったらめ…迷惑、か?」
「え……」
顔が真っ赤なデュースと目が合う。私も同じくらい赤いんだろうな……。
「め、迷惑じゃ、ない……です」
「な、なんで敬語なんだよ」
「だって…穴に埋まりたいくらい恥ずかしいんだよ…!け、謙ちゃんに言われるまで、その…自覚、なかったし…」
すぐに否定できなかったし、他の人なら否定できたと思う。そういう好きじゃないよ、って。
「そ、うか………」
「……待って無理、恥ずかしい、無理!!」
「な、ちょっと待ってくれ!」
広間に戻ろうと後ずさると腕を掴まれもっと距離が近くなる。
「あ、悪い!……は〜……カッコつかねえ…」
「だ、大丈夫……それは私もだから…!あ、あのさ一応確認、というか報告?なんだけど」
「?」
「わ、私誰かと付き合うっていうの初めて、だから……その、色々慣れてないけど…ゆっくり進めたらって思う」
「……じゃあ、手繋ぐのも?」
「!……うん」
する、と両手を繋がれて顔を覗き込まれて落ち着いてきた顔の熱が再び熱くなるのを感じる。
「……僕も、その…ここ来る前は喧嘩ばっかしてたし誰とも付き合ったりしたことない…から、何かあれば教えてほしい」
「わ、わかった!」
「……ふ、監督生リンゴみたいだ」
「仕方ないじゃん……!」
(で、やーーーーーっと付き合ったわけ?)
(や、やっと…?)
(お前ら、ダダ漏れだったかんね?!何回俺が気ィ遣って二人きりになるように差し向けたことか!デュース君は俺に感謝してほしいですね〜!)
(腹の立つ言い方だなお前ほんと……!…でもまあ、昨日もエースのおかげだし……昼飯くらいは奢る、補習の勉強も見てもらったしな)
(ウワ素直すぎてなんか怖い、熱でもある?浮かれ熱)
(んなもんねえ!!!……ケンシン、これからもよろしくな)
(うん!…でもあるじをなかせたりしたら、ぼくはでゅーすあいてでもようしゃしないからね!あるじはぼくの、たいせつなあるじなんだ)
(男の約束だ、絶対しねえ)
(…にしても、あんな見た目可愛らしいのに中身脳筋のデュースをカッコイイって思うの主にそっくりじゃん?)
(も〜、私まで揶揄うつもり??ふふ、謙ちゃんがかっこいいって思う人他にも居そう……ルーク先輩とか)
(あ〜〜確かに、大人って感じするもんな)
(ルーク先輩に似てるというか、気遣いの細やかさが凄い打刀とか太刀とかいたからね…謙ちゃんてば、ひよこみたいにあとついてって可愛いったらありゃしないんだから)
(あるじ!ぼくのかわいいはなしはきんしだぞ!)
(ほら可愛い)
(だめだ、デュース。監督生親バカすぎる)
13/14ページ