クルーウェルに反抗する・男主
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
痴話喧嘩
*ナマエ・ミョウジ
「で?喧嘩したって?………はぁ〜…お前らバカップルは手のかかる」
「バカップル…?」
「だっっっれがどう見てもバカップルでしょ、トレイン先生の顔見たことあるか?すごい顔して見てるからな」
「見たことないです」
昨日デイヴィスさんと口論になってしまった。ぎくしゃくして久々に貸してもらっている僕の部屋で寝た……けど全然寝付けなくてしっかり睡眠不足。
「あら……ナマエ、顔色が悪いわ」
「リリス…おはよ」
「ふふ、あの人も朝からイライラしてたわね……喧嘩?」
「うん……でも僕が悪いよ」
「それは間違いね、だってナマエ浮気したわけじゃないでしょう?」
「え?う、うん」
「じゃあ暴力でも振るったの?」
「そんなわけ…!」
「ご飯に毒物でも入れた?」
「入れないよ!」
ポプリ、リリス、アンナがしれっと怖いことをいうので三人を見上げる。ニコニコしてる彼女たちは顔を見合わせたあと、僕の鼻を撫でてくる。
「言い争いならお互いの言い分がズレて喧嘩になるんだから、どっちかが悪いなんてことないのよ…どっちも譲れないから喧嘩になるんでしょ」
「お〜、いいこと言うね。俺もそう思うよ……てかクルーウェルも『俺が悪い』って言ってそう」
「あの子なら言いそうね……でも先に…ナマエ、少し眠ったら?フラフラしてるもの」
ポプリに言われて頷く。ベンチに腰掛けて壁にもたれかかる。
「昨日眠れなかったんだ」
「あら、それはどうして?」
「……わかんない…」
「色々考えちゃうわよねえ、ナマエの性格なら」
ポプリとアンナが僕が冷えないようにとブランケットを魔法でかけてくれた。ついでに、と花やら植物をもさもさ重ねられて暖を取るようにしてくれてるらしい。肩や膝がお花だらけだ。
「……リリス、そこの棚の…タオルほしい」
「タオル?」
「うん」
「わぁ、ふわふわね」
「デイヴィスさんのなんだ」
顔を埋める。いい匂い……。日差しが暖かくて眠れそうだ。魔法生物たちも異常はなかったし、毎日の管理チェック表にも体調や体温、様子は記入し終わった。今度授業の予定があるからジャスパーさんと準備しにナイトレイブンカレッジヘ来た。今日は直帰していい日だから、魔法省に戻らなくていい。
「ナマエ、俺図書館行ってくるから……3人とも、見といてな」
「「「はーい」」」
ジャスパーさんに頷いて返し、目を瞑る。妖精の加護のおかげか、眠れそうだ。
*デイヴィス・クルーウェル
「ちょっと」
「顔貸しなさいよ」
「呪いをつけるわよ」
そうレディ3人に脅されて薬学室をあとにするとぎゃいぎゃいと詰め寄られる。間違いなくナマエのことだろう、この3人がしょぼくれたナマエを見て黙っているわけがない。
「誰かさんのタオルを抱きしめて寝てるわよ……可哀想に、寒いでしょうね」
「ちなみに、喧嘩の理由は?ナマエ、僕が悪いって教えてくれなかったのよ…ジャスパーも」
「……喧嘩に至った理由は、俺が悪い……が、ナマエがずっと気にしてることだ。解決して許可が降りたら話させてくれ」
「そうなの?分かったわ…早めに行ってあげてよ」
リリスに頷く。彼女は長女気質だ。末っ子のポプリと違っていつも俺の言い分も聞いてくれる。誰かさんのタオル……あいつ、タオルまで拝借してるのか。タオルは気付かなかった。緩む口元を抑えて、実験器具の片付けだけしてから向かおうと作業していると廊下を歩く生徒の声が聞こえてくる。
「今生物室であの人一人だってさ」
「マジ!?!俺狙ってんだよなぁ、最近蔓の拘束魔法覚えたし行こっかな」
「やめとけやめとけ、噂ではクル先とデキてるらしいし」
「げ、まじかよ……あれ、そしたらさっきC組のやつら生物室向かってなかったか?同じ理由?」
「多分そうじゃね?」
生物室へと急ぐ。C組のやつら、と言われて嫌な予感がする……。
「ははっ、お座りしてんのカワイイ〜……おら、
「や、……離せッ!」
震えるナマエの声が聞こえて鍵のかかった生物室の扉を蹴り飛ばす。……あとで大きな物音が苦手なニーズルたちには誠心誠意謝っておこう。
「ステイ……俺の可愛い恋人に手出しをしている駄犬はどいつだ?顔を見せてみろ」
ナマエのシャツに手をかけようの馬乗りになったバカ犬と、飛ばされてしまったらしいナマエの杖が這いずり蛇のケースの前にある。獣人族のパワーにはさすがに勝てないナマエは抑え込まれてしまったのだろう。
「げ…クル先…つか鍵かけとけっつったろ!」
「俺じゃねえって!」
「クワイエット……お前ら覚えておけよ」
ギャーギャーうるさい駄犬共の口をテープで塞ぎ、ひとまとめに拘束しておく。震えて怖がるナマエの肩に手をかけ、しゃがんでゆっくり声をかける。
「ナマエ、ナマエ……俺だ、分かるか?」
「ぁ…?…っうえ…っ!」
目線が合わないナマエに焦りを覚えていると、吐き戻したナマエが意識を飛ばす。サブドロップに陥ってしまった…?
手足が凍るような感覚になりながらも気道を塞がぬようナマエを起こした姿勢のまま抱えて保健室へ運ぶ。ちょうどジャスパーが帰ってきたタイミングだったので声をかける。
「!?おい、どうした?……気失ってる?」
「生徒に無理やりCommandを使われてサブドロップになった……駄犬共は縛り上げてある、逃げぬよう見張っててくれないか?」
「わ、ストップストップ!分かった、生徒は逃げないように俺が見張る。だがクルーウェル…顔、それとその威圧抑えろ……ナマエが怯える」
「…気をつける。それと……あの3人にはまだ言うな、凄いことになるだろうから」
「あーそりゃそうだ……頼んだ」
保健室に駆け込み、事情を話す。魔法薬を飲ませてしばらく様子見だ…あとは学園長に掛け合って、あのバカ犬共をどうしてくれようか。
目が覚めたときにパートナーがいた方がいいと言われ、ナマエの眠るベッドの横に腰掛ける。右手を繋げば、随分と冷たい。
つまらない喧嘩をして一人にさせてしまった。俺の手伝いをさせて二人で居れば今回のようなことは起きなかった……
『いつも誰かに取られそうになってるのはデイヴィスさんじゃないですか!』
『なんだと……?お前をどういう目で見てるやつがいるか理解してるのか?ナマエ』
『僕はきちんとノーが言えます、でもデイヴィスさんは……なんかいつも楽しそうだし、余裕そうだし、僕だけ…僕だけ気にしてるみたいでムカつく…っ!』
『そうやって駄々をこねるところが子供なんだ、ナマエ』
『子供って……僕だって貴方と同じ歳になれるならなりたいですよ…!』
「起きてくれ、パピー……すまなかった」
起きて謝りたい。ナマエの寂しさからくる可愛い嫉妬心を子供と突き放したのは俺だ。ただでさえ歳の差を気にしているナマエには酷な一言だった。もっと背伸びをしろと言ってるのと同じだ。
2時間経ってようやく目を開けたナマエの頬を優しく擦る。随分と体が冷えている……明日は病院へ付き添いしよう。
「デイヴィスさん…?ここは…?」
「バカ犬がナマエに無理やりCommandを使って従わせようとしてな……パニックになって倒れたんだ。一人にして悪かった……ナマエ、すまなかった」
「…ゔ、ぐるし……」
「抱きしめさせてくれ」
「い、いいから、いいけど苦し……っけほ」
気道を塞いでしまっていたようだ。謝って体勢を変えて抱きしめる。ナマエの頭を撫でて背中を擦る。
「僕も……昨日、すみませんでした……最近、なんか……気持ちが落ち込んでて」
「うん」
「すみません…」
「泣くな、パピー……お前は何も間違っちゃいないだろう……俺が言い寄るレディに対して楽しそうにしてるのは、逆恨みでお前が狙われるのが怖いんだ」
「……なんか経験あるみたいな言い方…」
「こら、勝手に想像して拗ねない。……3年のヴィル・シェーンハイトがいるだろう」
「ヴィル……あぁ、薬学が上手なポムフィオーレの」
頷く。ぱっと見は中性的な美しさを持つシェーンハイトを連れて薬学の材料とお互いに興味のあるブランドを見に行ったことがある………もちろん、デートなどはなく、だ。強調して伝える。
「ふふ……分かってますよ」
「ヤキモチ焼きの可愛い恋人がいるからな?……その時、シェーンハイトを同じレディと勘違いしたのがいてな。攻撃を仕掛けてきたことがあったんだ……まぁ、俺が手を出す間もなく返り討ちにしていたが。
あしらい方を間違えると、俺ではなく同伴者に敵意を向けるやつがいるのだと知っているから、当たり障りなく……且つやんわり拒否するようにしているんだ。分かってくれるか?」
「……そうなんですね。いつもありがとうございます」
「あぁ。パピーに向けている気持ちだけだ…他は見てなんぞ居ないし首輪をつけてしまいたいくらいには…歳上らしい余裕もない」
「へへ」
嬉しそうに笑うナマエの鼻を甘噛みする。
「……俺がお前を心配する気持ちは分かってくれたか?」
「はい……すみません、抵抗したんですけど……僕の魔法じゃだめでした」
「何を言う、ナイトレイブンカレッジのOBのお前の魔法のどこが駄目なんだ……先程、最近気持ちが落ち込んでると言っていたな」
「?はい」
「ナマエが思い悩んで溜め込んだこの数週間の中で、徐々にメンタルが落ちてサブドロップに向かっていたんだろう。だからあのバカ犬の威圧で魔法がうまく使えず、対処できなかっただけだ……まるごと否定するな、俺の自慢の恋人を」
「へへ……あの子達に怪我なくてよかったです」
「防衛魔法がかけられていたな、次に自分にかけようとしたのだろう?」
その前に圧にかけられ、体がうまく動かなくなってしまったんだろう。そしてCommandを使われ、拒否。尚も無理やり使われ、パニックになりかけのところで幸いなことに俺が割り込めた。
「上出来だ……あのバカ犬どもの処分は俺に任せろ」
「駄目ですよ、デイヴィスさん退学一択でしょう」
「…………」
「数週間くらいの停学が妥当じゃない…ですか?……え、違う?」
「……俺は退学にさせるべきだと思うが……まぁ、学園長に判断を仰ごう。聞き取りはされるだろうしな……ナマエ」
「?」
「リリスから俺のタオルに包まっていたと聞いたが……俺のスウェットやマフラーだけじゃ足りなかったか?」
「…っえ!?!し、知ってたんですか…?!」
「コソコソとバレてないつもりで靴下やらシャツやら拝借して満足そうにしているお前が可愛くてな……この間の出張の時も持っていったようだな」
首まで真っ赤な可愛い恋人に唇を落としていく。額、鼻、頬、耳の横、首……。真っ赤になりすぎて火照ってる。
「や、あの…その……ね、眠れなくて……すみません……」
蚊の鳴くような小さな声でごにょごにょと言い訳しているナマエに笑みが浮かぶ。
「ふは、真っ赤だな……可愛らしい」
頭を撫でるとぽす、と俺の胸元に頭を寄せてくる…照れ隠しか。耳が見えてるから意味がないのに……丸くて可愛い頭に唇を落とす。
「お取り込み中失礼〜……ナマエ、起きた?記憶障害とかはないか?」
「ジャスパーさん……はい、大丈夫です。お騒がせしました」
「いや……顔色真っ白で意識無いから焦ったわ…」
生徒の様子を聞けばジャスパーが淡々と叱ったからかかなり反省してるとのこと。
「ジャスパーさんに叱られて平気なんですか?あの子たち……よっぽどデイヴィスさんより怖いのに」
このジャスパーが?そう思い見やるとジャスパーも不満そうに眉を寄せている。
「おい、優しい先輩になんだ、その言いぐさは」
「トラウマになってないといいけど…って思って」
「……想像できないが、叱られたことでも?」
「魔法執行部にいたころ、ちょっと意地悪してくる人たちがいたのは覚えてますか?……1回腹割って話そうってジャスパーさんが会議室抑えた時が……まぁ凄くて…」
「なるほど」
「理詰めとはこういうことなのかと大変勉強になりましたね」
(で……仲直りしたの?)
(しました……重ねてすみません)
(仲直りしたんならいいけど!動けるようになったら聞き取りするから、二人とも学園長室に来いってさ)
(分かりました)
(手間をかけたな、ジャスパー)
(全くだよ……まぁバカップルの痴話喧嘩なんてすぐ解決するだろうって思ってたけど)
(バカップル……)
(バカップルだぞ、学園長も言ってた)
(が、学園長まで?)
4/4ページ