クルーウェルに反抗する・男主
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歳下なんて
*ナマエ・ミョウジ
「えぇ、俺には恋人がいましてね」
「そうなのぉ?それってお兄さんより歳上?歳下?」
「歳下です」
「歳下かぁ……手がかかるんじゃないの?立候補できる?」
「はは、ご冗談を……手がかかるからこそ可愛いんですよ」
またモテてる……。トイレで席を立って帰ってきたらこれだ。少しスリットの入ったドキッとする露出のドレス姿のお姉さん、僕より若いお姉さんに囲まれる、口説かれてるのなんて日常茶飯事だ。
じと〜っと遠くから見ているとデイヴィスさんと目が合う。ふ、と口元に笑みが浮かんだのがわかった。
「レディ、申し訳ないですが俺の恋人が拗ねているので…失礼」
お店の外に出て待っているとケタケタ笑いながらデイヴィスさんが出てきた………笑いすぎじゃないか?
「なんですか」
「ふふ、可愛いなと……俺の可愛い恋人は何に拗ねている?」
「目を離したらすぐ言い寄られて……挙句悪口ですか」
「どこをどう捉えたら悪口になるんだ……
「む……」
「ふ、嫉妬か?可愛いな……家に帰ろう、俺のウルバノ」
でろりと甘ったるくなるデイヴィスさんの瞳から目が反らせない。僕は……デイヴィスさんとお付き合いをするようになって初めて嫉妬を覚えた。デイヴィスさんがモデルのような綺麗な人に声をかけられていると、どうにも不安になってしまう。だってこの世界は異性愛が『普通』で、法的関係として婚姻を認められているのは異性のみだ。同性同士の結婚は、法的関係を持たない。
つまり、他の夫婦や家庭のように持ち得る権利を持てない。国から認められていない関係だ。……嫉妬深い僕に気を遣って、デイヴィスさんは話さないけれど過去の恋人はきっと女性のみ……だと思う。
デイヴィスさんを信用してない訳ではない。僕に自信がなさすぎる。上司のウィスパーさんにも相談したことはあるが、あっけらかんと『考えすぎ』と言われた挙句、笑われた。人にとって『そんなこと』『考えすぎ』なことでも、僕にとっては大きな悩みだ……なんせ初めてだから。そもそも普通に分類される女性とのお付き合いもない。
「ナマエ」
「?はい」
「家に帰ったら可愛がってやるから、そんな寂しそうな顔をするな」
「………」
デイヴィスさんの『可愛がる』はベッドの上で、という意味だ。今はデイヴィスさんの借りているひっっろいお部屋の1つを僕の個室として借りて同棲させてもらっている状況。出張や、デイヴィスさんの場合は試験(採点)が重ならない場合、ほぼ毎夜抱かれている。おかげでへとへとだ。
「ふは、耳まで真っ赤だ……行くぞ」
全てにおいて余裕そうでムカついてすらくる……なんなんだこの人…!!!
*デイヴィス・クルーウェル
あ゛〜〜〜〜…なんっっっって可愛さだ、コイツは。きゅ、と結ばれた口元は何か不満を飲み込んでいるのだろう。ナマエにとって俺ははじめての恋人。キスもその先も何もかも初めてだらけのナマエの反応は見ていて実に胸がくすぐられる。
過去の恋人にどうしようもない嫉妬をし、レディに俺がナンパされていれば割り込みたいけど引っ込み思案のナマエにその度胸はないから、遠くからじっと見ているだけ。自己肯定感の低さはおいおい躾直すとして……いじらしくてたまったもんじゃない。毎回髪型が崩れるまで撫で回したいのを必死に我慢している。
もう少し俺にその嫉妬心をむき出しにしてくれてもいいのに。遠慮なのか、気遣いなのか……隠し通そうとするナマエの気持ちを引き出すのは毎回骨が折れる。
でろでろにナマエを可愛がって溶かせばナマエの本音がぽろぽろこぼれ出す。今日は『僕だけ見て』と可愛すぎるおねだりまでされた……年甲斐もなく盛ってしまい、無理をさせてしまった。
「ナマエ」
「ぅ…え…?」
「悪い、可愛すぎて無理をさせた……平気か?」
「……ん…」
控えめに手を握るナマエに心音がドッッッと増した。可愛すぎるだろ、なんだそれは。こんな可愛いのにどうしてお前はいつも不安そうなんだ。
「ナマエ、お前はどうしてそう可愛いんだ…?ん?お前こそ職場先で色んな奴から言い寄られてるそうじゃないか……ウィスパーから聞いてるぞ」
「へ…?言い寄られてないです…」
「嘘をつくな……最近やたらと色んな奴から付き添うと声をかけられてるそうじゃないか。首輪でもして俺の存在をアピールしたほうがいいか?」
「くびわ………指輪がいいです」
「ぐっ………明日買いに行こう」
なんで首輪もいいけど、みたいな満更でもない表情なんだ、このパピーは…!!
「いいんですか?」
嬉しそうに見上げてきたナマエの鼻や頬に唇を落としていく。冷えるだろうに、そのままでいるため俺のシャツをかぶせておく。
「もちろんだ、お前は俺のパピーなのだからな……変な虫が寄らないようにしておかないと」
抱き潰したせいでぽやぽやしたパピーが抱きついて擦り寄って来る。一緒の家で暮らすようになって、パピーは存外俺の予想していた数倍甘えん坊な性格と知った。これは相当兄上に甘やかされて可愛がられて育ったのだろう。風が強く轟々と吹き荒んでいた夜中、枕を持って不安で眠れないと言われたときはあまりの可愛さに天井を5分間見つめた。
俺なりの配慮で使っていない部屋を個室として貸し出し、個室にベッドも設け別々に寝ることを想定したが早々に二人で眠るようになるのが当たり前となった。俺の匂いが大層落ち着くそうで、勝手に個室に持っていったタオルやスウェット、マフラーは目を瞑って気付かないフリをしている。
つまるところ、ナマエが思って危惧しているより俺はナマエにゾッコンだ……恥ずかしながら、余裕なんてものはない。あったら毎夜抱くときに暴走しているだろうか?いつそれに気付くのかと俺からは言わないでいる。
*ナマエ・ミョウジ
「パピー、パピー……朝だ。起きるぞ」
「ん……やだ…」
「困ったパピーだな……しんどいか?」
優しい手つきで頭を撫でられるとあっという間に眠くなる。離れていってほしくなくてデイヴィスさんのシャツを掴む。体は……まあちょっと怠いけど、動けないほどではない。
「ナマエ」
「あと……2時間」
「ふ、長くないか?」
そう言いながらちゃっかりベッドに横になってくれるデイヴィスさんに腕を回す。今7時くらいだろう。……ということは、今…
「起きた?」
すっぴんのデイヴィスさんが見れる!同じ起きたてのはずなのに、僕とは違ってきらっきらしてる。
「ねてる」
「いつから目を開けて寝るタイプになったんだ………あんまり見るな」
「やだ」
「なんだ、やだやだと……反抗期か?パピー」
違うと首を振る。デイヴィスさんのせいで腰が痛くて重い。抱きしめられてされるがままになっているとキスの嵐だ。デイヴィスさんは、僕が予想していた倍スキンシップが激しい。正直こんなに……猫かわいがりされると思ってなかった。はじめましての印象が冷たかったのも大きいけれど。
「今日は指輪を買いにいくんだろ」
「ふ、ふふ…擽ったい…」
「ん……特性のカプチーノを入れてやるから起きておいで」
抱き起こされてしまえばもう二度寝はできない。諦めてこの寝癖をセットするか……。くせ毛すぎて大変だから魔法薬でも飲んで真っ直ぐにしようか悩む。
顔を洗って髪の毛をセットしてリビングに迎えばコーヒーとパンの焼けるいいにおい。コーヒー淹れてるだけでも様になるのはもはや才能の一種では?
「丁度できたぞ」
「ありがとうございます………あれ、ジャスパーさんからだ」
休日のしかも朝。緊急だろうと思いデイヴィスさんに断りを入れてから電話をかける。
「おはようございます」
『悪いなぁ、朝から……来週の英雄の国の魔法生物の保護出張なんだけど』
「はい、延期ですか?」
『いや……奥さんがウイルス性のモン貰ってきちまってな。俺も陽性なっちまったから、付き添いができない』
「………保護対象なんでしたっけ」
『名前忘れたけどでっかいカエルとサイの融合みたいなやつ』
「あ〜………ん〜…」
一人となると骨が折れそうな……かといって慣れてない誰かを付き添いに頼むとなると怪我の可能性もある。悩ましい。
『一人結構厳しいよな?』
「その子の大きさにもよりますが……平均値デカイ子ですから転がされそうですね」
『だよなぁ…誰かヘルプで付き添えねえか掛け合ってみる、悪いな』
「いえ。奥さまともどもお大事になさってくださいね」
リビングに戻る。
「……あ!」
「なんだ、大きな声を出して」
デイヴィスさんに出張のこというの忘れてた…!勝手に言った気になっていた。
「ふ、ようやく気付いたか?カレンダーに書き込んで満足したんだろ」
「お、仰るとおりです……一人で行くことになりました」
「お大事に、と聞こえたが何かあったか?」
「ウイルス性の風邪を貰ってきてしまったそうで…奥様と二人で陽性なので付き添いは不可と……すみません、ほんとに書いて満足してました」
「まあ結果的に共有できているからいいさ…ほら、飲め」
美味しそう……ふわふわのフォームにキャラメルがかけられてる。サクサクのクロワッサンと一緒にいただく。
(気乗りしてないな、どうした?)
(保護する魔法生物が大きめなので…一人で対処できるかなって思って)
(ふむ……俺もついてくか?)
(え!??!だ、だめです…!デイヴィスさんが怪我したら僕、悲しいし…)
(それは俺もだが?……英雄の国といえばケンタウロスたちもいるところか)
(あぁ…!森の子たちにお願いすればいっか)
(怪我だけはするなよ、パピー)
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